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研究ノート 日本ベンチャー学会「ネットワンシステムズのベンチャー投資と競争戦略」など
六甲山麓にある神戸大学の紅葉した美しいキャンパスを会場に、11月15日(土)・16日(日)の2日間の日程で、日本ベンチャー学会第11回全国大会が開催されました。
早稲田大学大学院商学研究科 岸田伸幸氏『ネットワンシステムズのベンチャー投資と競争戦略』、(株)富士通総研 経済研究所 湯川 抗氏・NPO法人Japan Venture Research 北村 彰氏『資金調達に見るWEB2.0ベンチャーの実態』等の個別研究発表、パネルデスカッション『大学発知の事業化と地域活性化』を中心に参加しました。中小企業基盤機構整備機構 馬道 和尚氏・静岡県立大学 森 勇治氏『企業の成長とコーポレート・ガバナンス』は、ベンチャー企業対象のコーポレートガバンンス研究であり、私の問題意識と共有したテーマの先端実証研究であり、大変勇気をいただいた。
全体の構成は、「大学発ベンチャーと産学連携」「ベンチャーの成長と失敗」「企業家精神」「地域社会とベンチャー」「ベンチャーキャピタル」「海外ベンチャー」の5分科会と各研究部会で個別研究発表と討論が行われました。また、大会テーマの『地域社会と大学発ベンチャー』に沿って、全体統一パネルデスカッション「神戸医療産業クラスター形成・地域コンテキスト・企業家活動」「大学発知の事業化と地域活性化」が行われました。
最近、若い研究者の間で、海外理論分析に終始する傾向を脱皮して、理論研究と実証研究を統合した研究発表が増加しつつあることは、私のように現場にいる経営研究者にとっては大変嬉しい限りである。現実に寄り添うことの重要性に先輩研究者含め理解が広がりつつある印象を持った。
岸田氏の『ネットワンシステムズのベンチャー投資と競争戦略―キャズムを克服したシステムインテグレーション・ベンチャー企業のランチャスター戦略』は、日本ベンチャー学会誌No.11『ネットワンシステムズの企業改革と経営サイクル』に続く研究発表である。世界的に有名な理論と真っ向から格闘した大上段の本格的論題にどういう議論が展開されるか興味があった。米国輸入理論の純粋崇拝傾向が強いベンチャー経営論が多く、そのマネで失敗も多い中で、ネットワンシステムズの希なる成功事例とその王道的経営類型の実証研究は、理論の枠組みの広がりを提供したとして理解されたようだ。ベンチャー経営論に投じた新たな大きな一石が更に学術的に深められ、同時に現実の経営に生かされることを、元当事者の一人として願ってやまない。
大学発ベンチャーが10年程政策的に推進され、評価論議が起きている昨今である。
パネルデスカッション『大学発知の事業化と地域活性化』は、現実を反映した面白い議論であった。
パネリストは、日本ベンチャーキャピタル(株)代表取締役社長 津田晃氏、エイ・アイ・エル代表取締役 瀧 和男氏、神戸大学連携創造本部客員教授・神戸大学支援合同会社業務執行社員 石井 昭三氏、経済産業省政策局新規産業室長 吾郷 進平氏の4名、コーディネーターは、神戸大学大学院教授 加護野 忠男氏でした。
大学の社会貢献への意識転換の進展、評価視点の再整理の必要性、もっと長いスパンでの評価が必要ではないかという点では共通であった。浜松の製造業、神戸大学のバイオベンチャー等風土や地域特性があることが重要である点が再認識された。
大学発ベンチャーにも、(1)小企業として継続するタイプ(一番多い)、(2)重要研究を事業拡大追求するタイプ(まれ。支援者必要)、(3)実用化も事業でつまずくタイプ(別途社長必要)、(4)大規模事業に信念もつタイプ(支援者必要)等企業類型があるとの整理は有益であり、今後の発展論の端緒にはなったと思われる。但し、当初の政策論との関連整理は、継続して今後の課題であると思った。(佐々木)
早稲田大学大学院商学研究科 岸田伸幸氏『ネットワンシステムズのベンチャー投資と競争戦略』、(株)富士通総研 経済研究所 湯川 抗氏・NPO法人Japan Venture Research 北村 彰氏『資金調達に見るWEB2.0ベンチャーの実態』等の個別研究発表、パネルデスカッション『大学発知の事業化と地域活性化』を中心に参加しました。中小企業基盤機構整備機構 馬道 和尚氏・静岡県立大学 森 勇治氏『企業の成長とコーポレート・ガバナンス』は、ベンチャー企業対象のコーポレートガバンンス研究であり、私の問題意識と共有したテーマの先端実証研究であり、大変勇気をいただいた。
全体の構成は、「大学発ベンチャーと産学連携」「ベンチャーの成長と失敗」「企業家精神」「地域社会とベンチャー」「ベンチャーキャピタル」「海外ベンチャー」の5分科会と各研究部会で個別研究発表と討論が行われました。また、大会テーマの『地域社会と大学発ベンチャー』に沿って、全体統一パネルデスカッション「神戸医療産業クラスター形成・地域コンテキスト・企業家活動」「大学発知の事業化と地域活性化」が行われました。
最近、若い研究者の間で、海外理論分析に終始する傾向を脱皮して、理論研究と実証研究を統合した研究発表が増加しつつあることは、私のように現場にいる経営研究者にとっては大変嬉しい限りである。現実に寄り添うことの重要性に先輩研究者含め理解が広がりつつある印象を持った。
岸田氏の『ネットワンシステムズのベンチャー投資と競争戦略―キャズムを克服したシステムインテグレーション・ベンチャー企業のランチャスター戦略』は、日本ベンチャー学会誌No.11『ネットワンシステムズの企業改革と経営サイクル』に続く研究発表である。世界的に有名な理論と真っ向から格闘した大上段の本格的論題にどういう議論が展開されるか興味があった。米国輸入理論の純粋崇拝傾向が強いベンチャー経営論が多く、そのマネで失敗も多い中で、ネットワンシステムズの希なる成功事例とその王道的経営類型の実証研究は、理論の枠組みの広がりを提供したとして理解されたようだ。ベンチャー経営論に投じた新たな大きな一石が更に学術的に深められ、同時に現実の経営に生かされることを、元当事者の一人として願ってやまない。
大学発ベンチャーが10年程政策的に推進され、評価論議が起きている昨今である。
パネルデスカッション『大学発知の事業化と地域活性化』は、現実を反映した面白い議論であった。
パネリストは、日本ベンチャーキャピタル(株)代表取締役社長 津田晃氏、エイ・アイ・エル代表取締役 瀧 和男氏、神戸大学連携創造本部客員教授・神戸大学支援合同会社業務執行社員 石井 昭三氏、経済産業省政策局新規産業室長 吾郷 進平氏の4名、コーディネーターは、神戸大学大学院教授 加護野 忠男氏でした。
大学の社会貢献への意識転換の進展、評価視点の再整理の必要性、もっと長いスパンでの評価が必要ではないかという点では共通であった。浜松の製造業、神戸大学のバイオベンチャー等風土や地域特性があることが重要である点が再認識された。
大学発ベンチャーにも、(1)小企業として継続するタイプ(一番多い)、(2)重要研究を事業拡大追求するタイプ(まれ。支援者必要)、(3)実用化も事業でつまずくタイプ(別途社長必要)、(4)大規模事業に信念もつタイプ(支援者必要)等企業類型があるとの整理は有益であり、今後の発展論の端緒にはなったと思われる。但し、当初の政策論との関連整理は、継続して今後の課題であると思った。(佐々木)