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連載【電経新聞】第9回「人生100年時代に ~人的ネットワーク、個人の『社会資本』の大切さ」BIP代表取締役社長 手塚里美
情報通信系の業界紙【電経新聞】のコラムコーナーPoint Of Viewにて、弊社代表取締役社長の手塚がコラムを連載中です。第9回が掲載されましたのでご紹介します。
経営コンサルティング会社の女性社長の視点から、さまざまな業界、大小企業の変革現場の実情や、急増する事業承継・M&A、新たな人材育成・活用推進などを発信していきます。
2020/4/27紙面より 連載第9回 「人生100年時代に ~『社会資本』の大切さ」
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【記事全文】
「人生100年」時代、働き方はこれまでの年功序列型、一社専属勤務型から、人生の中で複数社を体験する「マルチステージ」型にシフトしてきている。
これからの時代を個々人が柔軟に乗り越えていくための一つの武器として「社会資本」(ソーシャルキャピタル)が注目を集めている。個人としての「社会資本」とは、人的なゆるいつながりや交流、信頼関係の構築などのことである。
これまで、リーダー人材育成やマネージャー層の人材紹介を通して、ミドルシニア層のリアルな姿を見てきた。50歳を過ぎて退職が視野に入る頃になって、ふと「それまで勤めてきた企業を出たときに自分はどんなスキルがあるのか?」「やりたいことはなんなのか?」と考えるようになる人が多いように感じる。また黒字企業であっても体質改善のため、40代以上のリストラ、希望退職者を募る場面も増えてきており、「なぜいままで先のことを考えてこなかったんだろう」「このままではいざというときに動けない」と、焦る人も多い。
大企業では40代からのマルチステージをサポートする取り組みも始まっている。
サントリーホールディングスは、今年4月から「カムバック制度」を導入した。45歳以上で4月以降に退職・起業などした社員を対象に、退職後3年以内1回限りで復職の道を開いて不安を減らし、ミドルの次へのチャレンジやマルチステージをバックアップするという。
実は弊社でも数年前に依頼を受けて、とある大企業からミドル人材の出向型研修を受け入れたことがある。それまで大企業の中で長年専門職を務めていた人に、弊社のようなベンチャーの小企業で多角的な職務を経験してもらうプログラムだった。
体験された人からは、「大企業の中にいると経営視点で考えることはなかった。いままでの視野が狭かったことにやっと気が付いた。能動的に考えて新しい仕事に取り組む経験は新鮮で、今後の人生について真剣に考えるきっかけになった」と感想が寄せられた。
わかっていてもいざ問題に直面しないと気付かないことは多いものだが、日頃どんな意識や、備えをしておけばよいのだろうか?
そこで意識したいのが「社会資本」なのである。ゆるい人的ネットワーク、個人の「社会資本」を築いておくことが大切だ。VUCA時代、変化の激しい時代の中で、長い人生と考えると、いまや10年先、20年先、自分がどんな分野で活躍しているかわからない。想像の範疇を超えているかもしれない。これからの時代を明るく生きていくためには、柔軟さや知識経験を通した選択肢を広げておくことが重要なのではないだろうか。
ポイントは、日頃から様々なことに興味を向け、繰り返し学び続けることだ。マインドセットを繰り返し、柔軟なチャレンジ精神を忘れないこと。定期的に自分のスキルや市場価値の棚卸しを行い、自分を客観視できるようにしておくこと。さらに周りの人達とゆるい交流を続けておくことだ。