佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション
2019/07/25 280号 恒例!夏休みにお薦めの本20冊
夏休みは、本を読む時間のある時期の一つですね。
私は、還暦を迎えた10年前に三喜(働く喜び、学ぶ喜び、遊ぶ喜び)人生をモットーに掲げました。それに従って、読書の幅も仕事関連、学び、遊びの3領域と広くなりました。皆様も、自分のモットーに従って、読書を楽しんで頂きたいと思います。
今年前半に読んだ本を中心にお薦めの20冊を紹介します。
皆様の明るく楽しい三喜人生作りに役立てば幸いです。
猛暑の季節、お身体を大切にして、ご家族揃って楽しい夏休みをお過ごし下さい。
(ご参考まで。過去の「お薦めの本」はこちらからご覧頂けます。)
1、元経済企画庁長官・作家 堺屋太一 『団塊の後 三度目の日本』
(毎日文庫 2019年4月初版 定価 本体750円+税別)
本書は未来予測小説です。2026年、日本は再び這い上がる!あるべき<日本の未来>を描いてきた堺屋太一が最も伝えたかった希望のメッセージが熱い。「団塊の世代」リタイア後の日本を活写。堺屋氏は今年2月逝去され本書が遺作となった。ご冥福をお祈りします。
2、京都大学iPS細胞研究所所長 山中 伸弥編 『友情2 平尾誠二を忘れない』
(講談社 2019年5月 定価1,400円+税別)
友情という青いが熱い言葉に惹きつけられて読み、心を揺さぶられました。53歳という若さで癌で亡くなったラガーマン平尾さん。親交のあった山中教授、12名の友人、奥様、2人のお子様が平尾誠二さんを語っています。死んでも影響を与えてくれる人がいる。
3、京都大学教授 本庶 佑 『いのちとは何か ――幸福・ゲノム・病』
(岩波書店 2009年12月 第一刷 定価1,900円+税別)
2018年ノーベル賞生理学・医学部門を受賞した本庶先生の本は、生命科学を超えて、哲学・思想まで広い。ヒトはどのようなときに、幸せを感じるのだろうか。生き物としてのヒトは、幸せを感じるべくつくられていると言う。物理学者との対話も魅力です。
4、人工知能研究者、脳科学コメンテーター 黒川伊保子 『ことばのトリセツ』
(集英社インターナショナル新書 2019年6月第一刷 定価780円+税別)
黒川さんの提言を実践したら、男女問わず貴方の魅力が数倍アップするでしょう。「あー、いいね」は憧れを伝え、「おー、いいね」は感動を伝える。大人なら感じている語感の正体を教えてくれる。人工知能研究に専念し、28年にも及ぶ「語感分析」の成果は秀逸。
5、脳科学者 茂木健一郎 『「書く」習慣で脳は本気になる なぜ言葉にすると夢は実現するのか』
(廣済堂出版 2019年4月第一版 定価850円+税別)
タイトルに惹かれて読みました。弊社BIP(株)では、日報が習慣で「書く」効果は体験していましたが、脳科学のメカニズムを知って、いたく納得した次第です。脳は休養も必要なので怠け者です。「書く」ことで脳は本気モードになる。本気脳は想像以上の働きをする。
6、東京大学大学院工学系研究科教授 古澤明 『光の量子コンピューター』
(集英社インターナショナル新書 2019年2月第一刷 定価780円+税別)
5G通信時代に、光を使った日本発・世界初の量子コンピューター実現の秒読みは始まっていると知った。既存のスーパー・コンピューターを稼働させるのには、計算処理ではなく冷却に大量の電力が必要。光の量子コンピューターは、理論上排熱ゼロだ。凄い。
7、経団連会長中西宏明、経営共創基盤代表取締役CEO冨山和彦 『社長の条件』
(文藝春秋 2019年5月第一刷 定価1,500円+税別)
大変革時代のリーダー論、コーポレートガバナンス論です。驚く程率直に日立の事例を語っている。DX時代の経営とは、なぜコーポレートガバナンスが大事なのか、いかにして、後継者・次世代の人材を採用し育てていくのか。上場企業3社トップも誌上登場。
8、SAPジャパン(株)人事・人財ソリューションアドバイザリー本部本部長 南和気 『人事こそ最強の経営戦略 日本型・グローバル人事の教科書』
(かんき出版 2018年6月第一刷 定価1,700円+税別)
早稲田大学ビジネススクール入山章栄准教授が、「日本企業の人事の方に教科書的に読んで頂きたい本」と絶賛。日本企業と外資企業両方のグローバル人事の事例で分かり易い。
人事こそ最強の経営戦略の時代です。私は経営者にも是非読んでもらいたいと思いました。
9、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長 大前研一 『稼ぐ力をつける「リカレント教育」』
(プレジデント社 2019年6月 定価1,400円+税別)
リカレント教育とは、社会人が自身のキャリアのために10年毎などに学び直しを繰り返し行うことである。「教育」「勤労」「引退」の「単線型」から、「仕事」と「学ぶ」を繰り返す「マルチステージ型」のライフモデルに変わる時代となった。北欧・ドイツに学べ。
10、(株)BIOTOPE代表、大学院大学至善館准教授 佐宗邦威 『直観と論理をつなぐ思考法』
(ダイヤモンド社 2019年3月第一刷 定価1,600円+税別)
これまでに思考領域では、①カイゼン思考 ②戦略思考 ③デザイン思考の3つのタイプがあった。本書は、強烈なインパクトを生む ④ビション思考 を提案している。内発的な「直感」や「妄想」から、それを稼働力にしながら、具体的なアイデアを磨き上げる。
11、ブレトン・アダムソン、マシュー・ディクソン、パット・スペナー、ニック・トーマン 『隠れたキーマンを探せ データが解明した最新B2B営業法』
(実業之日本社 2018年12月初版 定価2,000円+税別)
大企業法人営業担当者には必須のテキストになる。購買メカニズムが変わった。企業の意思決定者は平均5.4人。しかも特定の資質を持った複数の組み合わせである。ありきたりのコンテンツでは突破できない。「自分たちは間違っていた」と顧客が驚くアイデアが必要と説く。
12、数量政策学者・喜悦大学ビジネス創造学部教授 高橋洋一 『日本の「老後」の正体』
(幻冬舎新書 2019年3月第一刷 定価800円+税別)
年金や財政の本当の姿をデータで示す。バランスシートで見ると、日本政府粗債務1,470兆円から資産986兆円を引くと純債務484兆円。日銀は443兆円の資産超過。政府と子会社日銀の一体会計では債務超過額はたった41兆円。IMFレポートも同様に記載。
13、小西美術工藝社社長 デービット・アトキンソン 『日本人の勝算 人口減少×高齢化×資本主義』
(東洋経済新報社 2019年1月 定価1,500円+税別)
在日30年、元ゴールドマン・サックス金融調査室長、そして今や日本文化の精通する「国宝の守り人」が、世界の英知を集め、日本人の未来を提言しています。第1章人口減少を直視せよ 第2章資本主義をアップデートせよ 第3章海外市場を目指せ 第4章企業規模を拡大せよ 第5章最低賃金を引き上げよ 第6章生産性を高めよ 第7章人材トレーニングを強制せよ
14、京都大学レジリエンス実践ユニット長、前内閣参与 『令和日本・再生計画―前内閣参与の救国の提言』
(小学館新書 2019年6月初版 定価820年+税別)
P211の図表をまず見て驚く。日本は世界で唯一貧困化している「衰退途上国」である。日本再生のための八大方針=令和八策を提言している。更に、生活経済大国を実現する未来投資10項目を具体的に提案している。平成デフレの悪夢からの脱却を説く。
15、高知大学客員教授・大正大学客員教授 河合雅司 『未来の地図帳 人口減少日本で各地に起こること』
(講談社現代新書 2019年6月第一刷 定価860円+税別)
『未来の年表』シリーズ累計76万部の著者が、20年後日本人はどこに暮らしているか?を予測。1989年平成元年に「合計特殊出生率1.57ショック」が起こったが、少子化を国民は傍観した。40年後には、9,000万人を下回って「7割国家」になる。
16、ユヴァル・ノア・ハラリ 『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 上・下』
(河出書房新社 2016年9月初版 各 定価1,900円+税別)
全世界で1,000万部突破した本書を読みたいと思っていた。人類進歩の鍵を「虚構」という概念で解明している。近代に至って、なぜ文明は爆発的成長を遂げ、ヨーロッパは世界の覇権を握ったのか?
第19章「文明は人間を幸福にしたのか」で幸福も語る。
17、脳科学者 茂木健一郎 『なぜ日本の当たり前に世界は熱狂するのか』
(角川新書 2019年5月初版 定価860円+税別)
今、世界は日本ブームだという。こんまり現象、アニメから高校野球、ラーメン・・・まで。「礼賛」でも「自虐」でもなく、等身大の日本人に目を向けよ、というメッセージに誘われ読んだ。辺境性や自然が日本の「OS」を生んだ。日本人の「古層」に注目せよ!
18、ハーディ智砂子 『古き佳きエジンバラから新しい日本が見える』
(講談社+@新書 2019年4月第一刷 定価860円+税別)
1990よりエジンバラ在住。AXAの資産運用会社の日本株アクティブ投資責任者。私は数年前英国を旅行して欧州と異なる風情が好きになり、英国発著作はよく読む。美しい金融都市エジンバラから見た率直な日本を知る好著です。スコットランドも知れる。
19、(株)タグボート代表取締役 『教養としてのアート 投資としてのアート』
(クロウメディア・パブリッシング 2019年4月 定価1480円+税別)
私は美術鑑賞が趣味でよく美術館を訪ね、ささやかながら絵や陶器をたまに買うこともあります。アートビジネスの世界を知りたいと思っていたら好著が出版されました。世界のアートマーケットは8兆円、日本は500億円。驚きました。
20、コモンズ投信会長 渋沢 健 『渋沢栄一 100の訓言 日本資本主義の父が教える黄金の知恵』
(日経ビジネス人文庫 2010年8月第一刷 定価648円+税別)
私は、短いことばに気軽に触れるのは大事な習慣だと感じています。その意味で、『渋沢栄一 100の訓言』は役立っています。例えば、1 心を常に楽しもう 2 毎日新しいものを探そう 26 口は幸運の門でもある 53 習慣は他人に感染する
以上
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佐々木 昭美(ささき あきよし)
取締役会長 総合研究所所長
経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)
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