佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2011/09/26 ライフワークから見た30~40代

先週9月20日、BIP『第4期事業リーダー実践塾』募集(詳細はこちら>>)に当たって、30~40代中堅幹部の会社における役割の視点から皆様と考えてみました。(・BIエッセイ2011/09/20 トップとして事業領域一番を体験した特別講師陣招請―『BIP第4回事業リーダー実践塾』募集に当たって―

今週は、ライフワークの視点から30~40代を考えてみたいと思います。
参考資料

(1)人生三分法と「三喜計画」~塾長として『事業リーダー実践塾』開設の思い

図1:「人生3分法」のライフステージイメージ
図1:「人生3分法」のライフステージイメージ
準備期( 0~20歳)動物から人間への家庭教育、学校教育、地域教育で成長する時代
Ⅰ期 (21~40歳)大人として仕事で生きる職業能力実践習得、家族形成の時代
Ⅱ期 (41~55歳)領域一番で日本・世界で活躍し、子供の高等教育をする時代
Ⅲ期 (56歳~生涯)個人の適性・生き方に沿って、「生涯現役社会」に生きる時代 

私が塾長として、昨年第3期『事業リーダー実践塾』開催の冒頭に塾生の皆様に伝えたメッセージを紹介します。

私は、健康寿命75年を3回に区分し、キャリアデザイン、人生成功を提案しています。
21~40歳は、仕事経験と専門能力形成に挑戦する。
41~55歳は、どの分野でも日本一・世界一のプロ・リーダーで活躍する。
56~75歳は、自己選択による好きな仕事、趣味等で実りある人生を送る。

30~40代は、20代の職業選択に続く、質的転換の大事な時期です。企業に勤めた方も、独立した方も、事業リーダーとしての成功が人生に大きな影響を与えます。

ところが、モッタイナイことに事業リーダーとして必要な勉強をしていない方が多いことに気づきました。それが、塾開設の動機です。皆さんには、是非成功してほしいという先輩からのエールです。

――塾の縁を大切にしよう――
塾は、塾生はもとより、講師含め全員が学ぶ仲間です。
塾生・講師の背景には、100名から1、000名の人間的絆があります。
塾は、人的ネットワーク、知的ネットワークの小さな太陽でありたいと願っています。」


これは、人生三分法という私の「人生計画フレームワーク」が背景にあります。それを具体化したライフスタイルを「三喜計画」として提案しています。
(・BIエッセイ 2011/04/04 大震災に負けず、新年度スタート、『三喜計画(働く喜び、学ぶ喜び、遊ぶ喜び)』を!

(2)「新・四住期」のすすめ~齋藤孝 明治大学文学部教授『最強の人生時間術』

50代を迎えた齋藤教授が、ライフワークについて、「新・四住期」を提案しています。「四住期(しじゅうき)」とは、インド思想にある人生を四つに区分する考え方だそうです。

図2:人生「新・四住期」と2つの山脈 (参考文献2 P39)
参考資料
第1期 狩猟期(30~45歳) 社会的人生の「盛り」の時期(仕事と子育て)
第2期 ダブルスタンダード期(45~60歳) 仕事と後半生の準備の併存の時期
第3期 円熟期(60~75歳) ゴールデンタイムの人生を望める時期
第4期 ゼロ出力期(75歳~) 楽しく時を過ごす時期

齋藤教授は、人生には2つの山脈があると言います。

「会社に勤めている場合など、最も収穫が多く見えるのは、45歳~60歳ぐらいの間です。社会的地位も収入も高く、人生の中で最もやりたいことができる時期だと考えている人も少なくないと思います。

社会的パワー(地位や権力)はたしかにありますが、身体的な下降は確実におそってきます。
人生の本当のピークは第2期ではなく、その前の第1期と、第3期にそれぞれ異なる性質のピークが一つずつ存在しています。

まず一つ目の山脈は、30歳~45歳の間にピークを迎える「一人前山脈」です。これは、仕事人生の盛りを示す山脈といえます。
世間と戦って、自分のポジションを獲得し、より高みへと登っていく。この山脈のピークをどこまで高くすることができるかで、社会における立ち位置が決まる大切な山脈です。そういう意味では、30歳~45歳の第1期は、人生の第一回目の勝負どころです。」

私の健康寿命75歳説に合わせて、齋藤教授の第4期が仮に無いとすると、私の人生三分法とほとんど同じ人生区分のような気がします。

30~40代の「一人前山脈」を築くのは、努力やパワーが必要です。TV出演では優しく語る齋藤教授が、「戦い」という激しい言葉を使って競争魂と能力を持てと叱咤激励しています。

「世間に対して戦うとか、勝ち取るという意識を持って仕事に臨まなければピークの高い山脈を築くことはできません。ここで気を抜いてしまうと、その後の人生プランも立たなくなってしまうので、ここでは多少無理をしてでも。出力をマックスにするつもりで自分の能力を伸ばすことが大切です。」

(3)切り花でなく、球根で花を咲かす~外山滋比古 お茶の水女子大学名誉教授『ライフワークの思想』

ライフワークという言葉は今や簡単に使われていますが、その意味を深く考えさせてくれた著書に出逢いました。お茶の水女子大学名誉教授外山滋比古『ライフワークの思想』。

図3:外山滋比古 人生の往路と復路(平均寿命80歳と仮定)
参考資料

外山名誉教授は、人生を大きく2区分していますが、復路は定年60歳からでなく、40代後半から始まっていることに注目したいと思いました。人生に余生はないという凜としたライフワーク論が背景にあります。

「日本では昔から、このフィナーレが迫力に乏しかったように思われる。ひとつには“身をひく”という考え方があって、ある時期に達すると第一線の活動から引退してしまう。若い人にたちに活動の世界をゆずろうというので、意味のないことではないが、その人個人の人生を考えると、この隠居、隠遁の思想というのはフィナーレというものの充実感をいちじるしく削ぐ。終わりが曖昧になる。・・(略)・・やはりわれわれは、最後の最後まで、このレース、勝負というものを捨ててはならない。」

ライフワークは、長い発酵でできる酒に喩えられると言う。

「ライフワークとは、それまでバラバラになっていた断片につながりを与えて、ある有機的な統一にもたらしてゆくひとつの奇跡、個人の奇跡を行うことにほかならない。」

「人生の酒に必要なのは経験である。この経験を本など読んで代用したのではカクテルになってします。やはり、その人が毎日生きて積んだ経験というものを土台にしなければならない。そして、それに加えるに、経験を超越した形而上の考え方、つまりアイデア、思いつきをもってする。経験と思いつきとを一緒にし、これに時間を加える。この時間なしには酒はできない。時間は酒を“ねかせる”ため、経験とアイデアをねかせて作用させるのだ。頭の中にねかせておいてもよいが、この二つのことを何かに書きとめておくのが便利である。」

外山名誉教授は、花に喩えてあるべきライフワークを語る。まず“切り花から球根へ”という発想の転換です。明治以降は、欧米に咲いた文明の“花”を切り取って、飾ることだけで勉強だ、進歩だと思っていた。翻訳文化であったという表現も使っています。

球根から、じっくりと育てて、花を咲かすのが、日本人に求められるライフワークではないのか?!

思いがけない四囲の事情で自由時間を持つことになった日本人。いよいよライフワークの花を咲かせる時代である。そのためには、忙しい30~40代が大切である。

「これからの社会では、絶えずバッテリーに充電するか、他日に備えてスペアを持っていないと危険である。いま勤めている会社に万一のことがあったら、スペアを使って生き抜かねばならない。それは単に保険の意味ではない。自分の生きがいとして、人生の豊かさにつながるところで、能力の備蓄、可能性のゆとりを持つことである。
毎週末の、あるいは毎日の自由時間は、こうした精神的な貯金をつくり、生涯の自由時間にライフワークの花を咲かせるために使われるべきだ。」


最後に、改めて、『BIP第4期事業リーダー実践塾』への参加をお願いする次第です。
30~40代の皆様。自己啓発として最適ですので、是非自らご参加下さい。
社長・役員・幹部の皆様。企業研修として、是非適任者の塾受講にお力を発揮願います。

塾生は、講義終了後も懇親会やゴルフなど公私共に交流を続けています。大変嬉しいことです。

以上

(参考文献)
1.外山滋比古『ライフワークの思想』(ちくま文庫 2009年7月 第1刷)
2.齋藤孝『最強の人生時間術』(祥伝社新書 2011年9月 初版第1刷)
3.佐々木昭美 BIエッセイ 2010/01/12「 2010年初夢(個人編):「働く喜び、学ぶ喜び、遊ぶ喜び」の生きる喜び「三喜計画」を描く-2010年は「再スタート元年」-」
4.佐々木昭美 BIエッセイ 2011/04/04 「大震災に負けず、新年度スタート、『三喜計画(働く喜び、学ぶ喜び、遊ぶ喜び)』を!」

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thumbnail_sasaki佐々木 昭美(ささき あきよし)

取締役会長 総合研究所所長

経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)

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