佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2010/05/10 “いーせー鹿児島”見どころ満載旅写真。美味・産業・自然・神話・歴史・敬愛に溢れる出会い!

江戸末期から明治初期、日本の植民地化の危機をチャンスに変えた幕末のリーダーが澎湃し、交流した薩摩。5月2~4日の連休、島津斉彬、天璋院篤姫、小松帯刀、西郷隆盛、坂本龍馬を訪ねる初めての鹿児島旅行が実現できました。

美味・産業・自然・神話・歴史・敬愛等多くの地域遺産・国家遺産に溢れた鹿児島を満喫し、深い感動をたくさん頂きました。関連した全ての方々に感謝で一杯です。

今回は、素人カメラマンである私が撮影した写真中心の短篇集です。ご覧頂ければ幸いです。そして、皆様も是非、鹿児島を訪ねてみて下さい。

(1)NHK大河ドラマ福山雅治「龍馬伝」の「龍馬・お龍」が、144年前の5月に新婚湯治した霧島温泉・塩浸温泉龍馬公園を巡る

塩浸温泉龍馬公園の「坂本龍馬・お龍新婚湯治碑」 霧島温泉 犬飼滝
写真 1.塩浸温泉龍馬公園の「坂本龍馬・お龍新婚湯治碑」 2.霧島温泉 3.犬飼滝

1.1886年5月。小松帯刀(こまつたてわき)の勧めで、京都から薩摩への坂本龍馬とお龍さんの旅は日本初めての新婚旅行と言われています。18日逗留した塩浸温泉に「龍馬公園」が新装開園。二人の記念碑の前で写真を撮る列が続いていました。

2.私が宿泊した霧島ホテルには、龍馬が霧島温泉郷に逗留した旨の龍馬直筆の手紙写しが展示されていました。

3.高さ36M、幅22Mの犬飼滝(いぬかいのたき)。「21世紀に残したい新かごしま百景」第一位にも選ばれているそうです。龍馬も「実にこの世の外かと思われ候ほどのめずらしき所なり」と手紙で絶賛しています。

(2)なんと、あの百年の木造駅舎嘉例川駅で、偶然に鉄道ファンに人気の特急「はやとの風」と5分間出会えました

嘉例川駅 特急列車「はやとの風」 特急列車「はやとの風」
写真 4.嘉例川駅 5・6.特急列車「はやとの風」

4.明治36年1月15日開業した107年の木造の駅舎嘉例川駅。鉄道ファンと乗車客で賑わっていました。特急「はやとの風」は上り・下り共に一日2本運転。

5・6.嘉例川駅に、特急「はやとの風」が5分間停車。偶然にも、カメラのシャッター音と笑顔が溢れる瞬間の仲間になれました。天の采配と感謝。特急列車の中は木造雰囲気。21のトンネルとスイッチバックの珍しい線路があるそうです。

(3)新緑の「霧島連峰」の花、自然、神話、霧島神宮に心癒される

高千穂牧場から見た高千穂峰 天然記念物ノカイドウの花 ミヤマキシマの花
天の逆鉾レプリカ 霧島神宮
写真7.高千穂牧場から見た高千穂峰 8.天然記念物ノカイドウの花 9.ミヤマキシマの花
10.天の逆鉾レプリカ 11.霧島神宮

7.家族連れで賑わう高千穂牧場。美味しいアイスクリームをほおばりながら見た高千穂峰。霧島連峰は人気のトレッキングコース。登山の家族、グループも大勢でした。

8・9.世界で霧島連峰だけに群生する天然記念物ノカイドウの花を見ることができます。ピンク色のミヤマキリシマも美しい。偶然に野生の鹿にも出会いました。

10.高千穂峰頂上の「天の逆鉾」。この写真は、高千穂河原ビジターセンター展示のレプリカです。高千穂峰まで登山した坂本龍馬夫妻は、逆鉾をみて「その形、たしかに天狗の面なり。二人多いに笑いたり・・・」と姉への手紙に記しているそうです。

11.霧島神宮は建国神話のニニギノミコトを祀る。朱塗りの美しい社殿には参拝客の列が長い。年間150万人が訪れるという。アカマツの大木、樹林が境内・周辺に林立する。

(4)「かごしま黒豚」に舌鼓。人気の純米黒酢「壺畑」訪問。人気のいも焼酎「森伊蔵本店」。

「黒豚の館」の“「かごしま黒豚三昧定食” 純米黒酢「壺畑」 森伊蔵本店
写真 12.「黒豚の館」の“「かごしま黒豚三昧定食” 13.純米黒酢「壺畑」 14.森伊蔵本店

12.「かごしま黒豚」は、現在はバークシャー純粋種の肉に限定した商標です。霧島の地場会社が運営する産直レストラン「黒豚の館」で三味定食を注文しました。ヒレかつ、ロースかつ、しゃぶしゃぶ風味の三味を堪能しました。

13.テレビで紹介された黒酢に興味を持ち、坂元醸造(株)のくろず情報館「壺畑」を訪問。周囲には一面に広がる黒い壺群にビックリ。蒸し米と米麹と地下水のみを原料とし、春と秋の2回仕込みがおこなわれるそうです。1年もの、3年もの、5年ものの試飲をして、その違いを実感しました。

14.「森伊蔵」本店の前を通った。鹿児島産契約栽培のサツマイモを原料とし、手間をかけた伝統的なかめ壺仕込み。イモ臭さを除去したまろやかな味を特徴とした超人気焼酎。森伊蔵酒造4代目の名前が由来であるという。特約店と電話抽選のみで販売。

(5)島津から徳川御台所へ。「篤姫」人気の舞台となった指宿島津今和泉本家跡、鹿児島市内生誕地を特別に訪ねました。

指宿島津今和泉本家跡(現在小学校)” 指宿島津今和泉本家墓地 鹿児島市内「篤姫」生誕地
写真 15.指宿島津今和泉本家跡(現在小学校) 16.指宿島津今和泉本家墓地 17.鹿児島市内「篤姫」生誕地

15.22歳で近衛家養女となり、13代徳川家定へ嫁いだ篤姫。本家である島津今和泉本家跡は指宿市。現在は、小学校となっています。

16.本家近くに島津今和泉本家墓地があります。きれいに清掃維持されていました。篤姫の実のお父さんの墓には花が一杯手向けられていました。合掌。

17.篤姫の生誕地は鹿児島市内にあり、民家となって継承されています。NHK大河ドラマ『篤姫』上映中は多くの観光客が訪れたそうです。

(6)敬天愛人「西郷隆盛」が今も息づく薩摩。西郷南洲顕彰館、銅像、墓地、南洲神社、最後の地に佇む。

西郷隆盛像” 西郷隆盛最後の地跡 西郷南洲顕彰館で購入した冊子
西郷神社墓地” 南洲神社
写真18.西郷隆盛像  19.西郷隆盛最後の地跡 20.西郷南洲顕彰館で購入した冊子 
21.西郷神社墓地 22.南洲神社

18.鹿児島市内中心部にある西郷隆盛像の前で記念写真を撮った。銅像は離れた高台にあるので、このポーズがよいと地元のガイドさんに薦められた。ちょっと、西郷さんに失礼か?とも思ったが、逆に愛嬌があり、それ程庶民に親しまれている方だと再認識した次第です。

19.西郷隆盛最後の地に佇む。島津斉彬の腹心、2度の遠島、鳥羽伏見の戦い、薩長同盟、西郷・勝会談と江戸城無血開城、版籍奉還と藩政就任、参議就任し、廃藩置県・学制実施・国立銀行設立・国民皆兵・鉄道開通・太陽暦採用等断行、征韓論と下野、地元に私学校設立、西南戦争。新時代めざし駆け抜けた西郷翁は、最後の地で何を思ったのだろうか。49歳8ケ月の生涯であった。合掌。

20・21・22. 西郷神社と並んで西郷神社墓地には西郷隆盛ら2,023名の戦死者が埋葬されている。隣に昭和52年に西郷南洲顕彰館が、南洲翁を敬慕する20数万人の人々の浄財で建立された。『南洲翁遺訓』は、降伏した庄内藩を処分せず寛大に取り扱ったことから、庄内藩の方々が明治23年に庄内で刊行したのだと知りました。南洲翁が揮毫した「敬天愛人」の書は、山形県鶴岡氏の酒井家所蔵という。

(7)「龍馬」「西郷」を支え、二人を超えたと称される家老「小松帯刀」像に会えました

「小松帯刀」像” 参考書籍
写真 23.「小松帯刀」像 24.参考書籍

23・24. NHK大河ドラマ『篤姫』による篤姫と小松帯刀の登場は鹿児島の方々にも劇的であったらしい。ガイドさんによると県民の半分位は二人を知らなかったと言う。当時、私も『篤姫』に熱中し毎週夜テレビを見続け、時代考証を担当した原口泉氏の著作『龍馬を超えた男 小松帯刀』(参考文献2)を読み、エッセイを書きました。(BIエッセイ2008/03/03 雛祭り-NHKTVドラマ 宮﨑あおい主演『篤姫』人気を探る 詳細はこちら>>

2005年鹿児島大学生涯学習教育研究センター長に就任した原口泉氏は、小松帯刀の功績を以下列挙しています。(参考文献1『世界危機をチャンンスに変えた幕末維新の知恵』)
① 斉彬の遺志を継ぎ、薩摩藩の近代工業導入に努力
② 薩英戦争における善戦、すばらしい戦後処理
③ 勝海舟の軍艦奉行罷免に際し、龍馬ら神戸海軍繰練所塾生三十名を保護
④ 洋学校である開成所を設置
⑤ 英国留学生を派遣
⑥ 英国公使パークスを招聘
⑦ 大和交易カンパニーを設立
⑧ パリ万博への薩摩藩独自参加を推進
⑨ 明治維新の「外務大臣」として神戸事件・堺事件を解決
⑩ 禁門の変の先頭に立ち、勝利へと導く
⑪ 薩長同盟を主導
⑫ 薩士盟約を主導
⑬ 二条城大会議で徳川慶喜に大政奉還を決意させる

(8)篤姫の父、島津斉彬が興した近代産業遺産「集成尚古館」:日本の産業革命先進地、明治初期に東洋一の産業コンビナートであったという。

製鉄業” 造船業 工芸品 薩摩切子”
「『篤姫』ロケ地となった島津別邸「仙厳園」 仙厳園から望む桜島”
写真 25.製鉄業  26.造船業 27.工芸品 薩摩切子
28.「『篤姫』ロケ地となった島津別邸「仙厳園」 29.仙厳園から望む桜島

25・26・27. 島津家の歴史資料館「尚古集成館」と隣接する島津家別邸「仙厳園」を訪ねました。

篤姫の義父島津斉彬が興した近代産業遺産「集成館」事業は、「世界の奇跡」として世界遺産への登録活動を推進中。鹿児島市北部には、集成館跡、旧集成館機械工場、日本最初の洋式紡績工場であった鹿児島紡績所跡、紡績所のイギリス人技師のために建てられた旧鹿児島紡績所技師館など多くの産業遺産があります。

南日本新聞の『かごしま近代化遺産』(参考文献3)によると、辺境にあった薩摩藩の産業革命は本当に広範である。反射炉、洋式高炉、いも焼酎改良、薩摩切子、銀板写真、活版印刷、火薬製造、洋式機械紡績、洋風建築、電気通信。短期間の開花は、「世界の奇跡」とされる。

さらに、薩摩から全国に散った藩士、技術者たちは、さっぽろ官営ビール工場、釜石溶鉱炉、江戸切子、紡績業興業へと全国に影響を与えた。

28・29.当時の時代を伝える島津別邸「仙厳園」。『篤姫』のロケ地ともなった。桜島を築山に、錦江湾を池に見立てた壮大な庭園。日本の伝統美と往来のあった中国・琉球文化が織りなす名勝です。

(9)薩摩に生き続ける桜島~世界一大きい「桜島大根」、世界一小さい「桜島みかん」、桜島の素材生きる「溶岩焼」。

桜島” 桜島大根 「溶岩焼」コーヒーカップ”
写真 30.桜島 31.桜島大根 32.「溶岩焼」コーヒーカップ

30.「桜島の姿を・・仰ぐのは・・これが最後になるであろうと篤姫は思いつつ、・・・」『天璋院篤姫』(宮尾登美子 上・下 講談社文庫)

嘉永6年8月21日、篤姫が故郷薩摩を出立する場面のこの書き出しから原作者宮尾登美子さんの小説が始まっている。故郷との別れの場面を読みながら自然と涙が流れました。別れは、頭では分かっていてもその時が来て始めて、その惜別の大きさに心を揺さぶられるものである。篤姫は、再び薩摩の地を踏むことを自らに許さなかった。

鹿児島港では40分待ちでフェリーにのり、桜島を訪ねた。離島であったが、大正時代の噴火で溶岩が流失し、大隅半島と繋がった。毎日、白い煙を噴出している活火山である。
31・32. 世界一大きい「桜島大根」は、本当に大きく重い。実は、世界一小さい「桜島みかん」も育つ。桜島の土、花・草の染料等で製作する「溶岩焼」を購入しました。

(10)深く感動した「知覧特攻平和会館」、日本一?「知覧茶」、薩摩の小京都「知覧の武家屋敷庭園」。

「知覧特攻平和会館」” 「知覧の武家屋敷庭園」”
写真 33.「知覧特攻平和会館」 34.「知覧の武家屋敷庭園」

33.「知覧特攻平和会館」を初めて訪問。国を思い、父母を思い、沖縄特攻で散華した1,036柱の若い隊員の遺影、遺書、遺品に時間を忘れて佇む。若い家族連れが多く、会館は一杯でした。国を守るとは、どの国も若い命を捧げる尊いものであることを改めて胸に刻む。

34.知覧は、薩摩藩が武士を分散させ統治させた外城と呼ばれる武家屋敷集落の一つ。京都の庭園と琉球庭園の伝播を知る名勝であり、2007年「美しい日本の歴史的風土100選」にも選ばれています。 また、鹿児島県は、静岡県と日本一を競うお茶の産地でもあります。茶に疎い私は、今回の旅で知覧茶が有名であることを知りました。

薩摩藩は、日本だけから見れば辺境であるが、長崎と琉球とを通じて世界に最も近い地域であった。そのリーダー島津斉彬は、日本植民地化への危機から薩摩益だけでなく日本国益のために殖産興業、富国強兵の先頭に立ったのではないかと思う。ギリシャ危機情報で世界が瞬時に政治・経済に影響する現代。今や日本全国どこも情報辺境地域ではないという意識が当然必要な時代ではないかと痛感しました。

鹿児島県経済は、2007年に観光消費額が農業出荷額を上回ったという。産業遺産の世界遺産登録もめざし、遺産、観光資源の多様化を進めている。ボランティアガイドも目立つ。地場産業も活発である。農業と観光、工業と観光の融合を進めている。私の感じた明るく元気な鹿児島の根源は、先人の歴史と遺産を大事にし、自立自尊を基本に汗と知恵で働いているからではないかと改めて再認識した次第です。

以上

(参考文献)
1.原口泉『世界危機をチャンスに変えた幕末維新の知恵』(PHP新書 2009年7月)
2.原口泉『龍馬を超えた男 小松帯刀』(グラフ社2008年4月)
3.南日本新聞社『かごしま近代化遺産』(南日本新聞社 2005年10月)
4.東郷實晴『西郷隆盛-その生涯-』(斯文堂 2005年8月 10版)
5.編集 山口貴生『フルベッキ博士と幕末維新の志士達』((有)採生陶器2008年12月 第4版)
6.編集発行 財団法人 西郷南洲顕彰会『西郷南洲翁遺訓』(2008年9月)
7.鹿児島県霧島市 「塩浸温泉龍馬公園」パンフレット
8.高千穂河原ビジターセンター 「霧島トレッキングマップ」
9.高千穂牧場パンフレット
10.産直レストラン 「黒豚の館」 FK株式会社フロンティア霧島 パンフレット
11.くろず情報館「壺畑」パンフレット
12.仙厳園・尚古集成館 パンフレット
13.鹿児島県南九州市 「知覧特攻平和会館」パンフレット
14.知覧武家屋敷庭園保存会 「知覧の庭園」パンフレット

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