佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2010/01/18 2010年初夢(仕事編):BIP創立3周年!「BI経営、改革実践力、eラーニング」を描く-プロフェッショナルへの「再スタート元年」-

 前週の2010年初夢(個人編)に続き、今週は2010年初夢(仕事編)です。2010年1月5日BIPビーアイピーは創立3周年を迎えました。これもひとえに皆様のご愛顧、ご支援の賜物と深く感謝申し上げます。引き続きご支援、ご指導の程、お願い致します。

今年の正月は、創立3周年を迎えて、やはりBIPビーアイピーの将来「中長期ビジョン」を考え続けていました。昨年より社員やコンサルタントパートナーの方々と意見交換をして来ました。主題は、どうすればプロフェッショナルとして一流の仕事ができるか?『今や唯一の意味ある競争力要因は、知識労働の生産性である。その知識労働の生産性を左右するのが知識労働者である。』ドラッカーの言葉である。

1月15日に「中期ビジョン:領域一番事業・改革実践力を共創するBIP」を発表させて頂きました。要旨は2010年事業計画4画面をご覧下さい。(詳細はこちら>>)

 今回は、BIP中長期3目標の背景と私の思いを整理してみます。皆様の初夢(仕事編)はどんなことだったでしょうか?

(1)「BI経営」:ビジネスインテグレーション(事業開発)とビジネスインテリジェンス(経営管理)の両輪経営を深化・普及する。

BI経営

 「BI経営」という言葉は、経営の王道を示す私の造語です。2つのBI、ビジネスインテグレーション(事業開発)とビジネスインテリジェンス(経営管理)の両輪経営を言います。

 事業経営に当たっては、事業開発と経営管理の両輪経営で相乗効果を出すことが大事なことは自明ですが、色々な事情で現実には簡単なことではありません。第2・第3の事業成長と共に経営管理分野の基盤整備を同時に考え、一緒に推進したいと思いました。

環境激変に対応しては、機敏な短期最適化対策とキャッシュフロー対策が必須ですし、同時に中期的事業成長戦略が必要です。その見直しと技術・人材戦略が不可欠です。また、M&A、ポストM&Aマネジメント力が企業力を左右する時代を迎えている現実もあります。

 「BI経営」というある意味で自分の専門領域を掘り下げるということは、知識社会における自分の競争力優位を磨くという当然のことですが、何かを捨て集中することも必要です。自分の経験した、得意な、或いは好きなことが継続する心理的面での整理も必要です。私的なことを少し述べるのは、自らの職業史の主体的客観的再総括が重要と思ったからです。自分の一皮むけた体験を振り返ってみました。


①流通事業のビジネスモデル創造と急速成長(20~30歳台)、ICT企業のビジネスモデル創造と急速成長(40~50歳台)体験を生かす

 15~20年毎に、私は流通事業とICT(情報通信)事業が産業として大きく急速成長する時代に、実際にその成功と失敗から、また厳しい現実体験と必死の調査研修を通じて、ビジネスモデルイノベーションの重要性と領域一番の大切さを学ぶ経験に恵まれました。当時、未だビジネスモデルという言葉が広く普及していなかった時代だと思います。

 元職場のコープさっぽろは、苦難の時期もありましたが、現在北海道における地域一番流通事業で2,000億規模に発展しています。店舗と協働購入、個別配達、生産事業等も行っています。アメリカ研修にも何回も出かけ、様々な業態を学び、バイヤー、店長、広告マネジャーとして現場第一線での挑戦の時代でした。一緒にアメリカ研修に出かけた北海道の企業には、HC(ホームセンター)のホーマック様、HF(ホームファニシング)のニトリ様等がおりました。今や、日本を代表する専門業態の領域一番企業に成長されました。アメリカから導入したコンビニエンスストアの7-11(セブンイレブン)は今や日本の7&I(セブン&アイHD)様が所有する世界的大チェーンとなりました。ビジネスモデルイノベーション盛衰の現実です。

 前職ネットワンシステム(株)時代には、実際にNI(ネットワークインテグレーション)事業、ITFE(ファシリティエンジニアリング)事業というビジネスモデルを創造し、短期間に領域一番の1,000億企業に成長する仕事も経験しました。ガースナー会長による世界一企業IBMのビジネスモデル変革が大きな刺激になりました。

 2つの職業体験で、領域一番事業(オンリーワン、ナンバーワン)の隔絶した業績とそのプレミアムの存在を教えられました。SONYという言葉が、世界のプレミアムブランドである様に。

 ビジネスモデル、領域一番が、競争力・成長力・収益力の根源であることは今や実践的にも理論的にも解明されつつありますが、その実践は、熟慮と格闘技の連続です。私は、よく“ヘッドワーク”と“フットワーク”とも言ってもいます。その点では、大浦勇三『イノベーションノート』は、イノベーションマネジメントの網羅的マニュアルへ挑戦した野心作であり、高い志に尊敬の念を抱いています。


②人事・教育、TQC、総務、IT、経理・財務、IR、IPO、買収、合併体験を生かす

 私は、偶然か必然かこれまで人事、教育、TQC、総務、IT、経理・財務、IR等の経営管理部門のマネジメントも体験しました。コープさっぽろ、ネットワンシステムズ(株)を通じて、人事政策、教育研修プログラム、経営改善・現場改善、事業統合、買収、合併、IPO(上場)、IR等の貴重な実践をしました。教育・人事分野の経験は、人材中心のICT企業経営に大変役立ちました。私は、そのノウハウをハードウェア・ソフトウェアになぞらえて“ヒューマンウェア”と名付けました。

 日本企業は、経営管理機能は今尚狭い場合が少なくありませんが、事業発展にとって経営管理分野は、単純作業はアウトシーシングしても構いませんが、政策立案、戦略機能はむしろ強化すべきだと思います。例えば、内外グローバル企業はM&Aを通じて成長しています。元信越化学常務で会計専門家である金児昭(かねこ・あきら)氏が2007年に出版した『「利益力世界一」をつくったM&A』は経営管理部門幹部が考えるべきテーマを鋭く提起しています。

 特に経営管理分野で深めたいのは、過去の結果を示す財務会計偏重から将来のP/L、B/Sを示す事業指標を「(未来)事業会計」という造語ですが体系化する試みです。日本では管理会計という蓄積した分野がありますが、欧米のPKI(重要指標)と合わせて、事業開発と経営管理という両輪経営の王道をわかりやすく説明する枠組みの必要を感じています。1992年に出版された西澤脩『管理会計を語る』は、未来会計という構想を語り、大変啓発を受けました。改めて、日本における「事業会計」、経営管理分野が発展することを願っています。

「戦略は細部に宿る」という竹中平蔵教授の公共政策へのポリシーウォッチの視点は慧眼ですが、民間セクターにも当てはまります。BA(業務プロセス分析・改善)は改めて重要な仕事になっています。ERPシステムが相当導入され、続いてBI(ビジネスインテリジェンス)ソフト導入が欧米ソフトウエアメーカーの次世代商品の一つとして販売強化されつつある現在、IT製品優先でなくビジネス戦略を支援するITかどうか吟味が必要ですね。

 自分の職務体験をあえて書いたのは、特に自慢するためではありません。そうではなくて、人生のⅢ期に当たって、自分の過去を神様から与えられた所与として素直に受け入れ、事業開発と経営管理両方を実践した貴重な体験を生かし、佐々木二刀流「BI経営」として深化、普及することで「一隅を照らす」生き方をしようと考えました。

そのために「BI経営研究所」を2010年早期に設立することにしました。
 

(2)競争力・持続的成長を推進する「改革実践力」をバトンリレーする

改革実践力

 昨年の年末に総括的に書いたことですが、「改革実践力」を経営戦略として深化・普及したいと思います。

 変える力、企業風土づくりが、持続的成長の要因として認識され、トップマネジメントの最大のリーダーシップ事項になりつつあります。NTTデータ様のカエルが勢いよく泳いでいるTVコマーシャル「変える力」はご存知でしょう。

 「改革」という言葉は、「敵」をつくることであるという有名な著書があるように、何事も「改革」は簡単なことではありませんね。

 P「プラン(計画)」は時間かけて作るが、「実践力」が不足する部門、会社が多いという書籍が増えていますが、それは昔も今も変わらないと思います。日本には、TQC活動の実践知、理論知の膨大な蓄積があります。米国型のシックスシグマも導入されました。

 私は、事業のライフサイクルが短くなり、今までの管理型マネジャーから企業家的事業開発型マネジャー育成に転換する必要があると考え、BIPは、2008年、2009年と「事業リーダー実践塾」を開催しています。企業家的改革人材の育成事業です。そのカリキュラム要旨を見てみます。(詳細はこちら>>)

 私は講義の中で、ビジネスモデル論の標準的教科書的論文を網羅したDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部『ビジネスモデル戦略論』等既に相当高いレベルに実践知・理論知が達していることを詳細に紹介しました。欧米のMBA・MOT卒業生は当然として、20~30代ビジネス幹部の常識なのです。
 
<第2期事業リーダー実践塾カリキュラム>
 ■第1回 『企業業績を抜本的に変えるビジネスモデル創造の事例と理論』
 【講師】佐々木昭美氏 BIP代表取締役社長(元ネットワンシステムズ(株)取締役)

 ■第2回 『永続する企業進化のOS!実績広がる四画面思考による改革実践力!』
 【講師】近藤修司氏 四画面思考研究所所長
   (前北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科教授、元日本能率協会コンサルティング(株)代表取  締役社長)
 
 ■第3回 『成功のための事業計画とMOT(技術経営)ノウハウ』
 【講師】岸田伸幸氏 コーチャーズオフィス代表
  (元安田企業投資㈱投資部マネジャー、早稲田大学ビジネススクールMBA(MOT専攻)課程修了)

 ■第4回 『エグゼクティブサーチから実際にみた成功するリーダーシップ』
 【講師】 加藤春一氏 元東京エグゼクティブサーチ(株)代表取締役社長 

 ■第5回 『赤字体質から黒字体質への展開事例と経営改善・現場改善の重要手法』
 【講師】関本哲志氏 BIP経営コンサルタント(元ソニー(株)品質保証部長) 
      『事業成功への私の学び方と実践方法』 
 【講師】佐々木昭美氏 BIP代表取締役社長(元ネットワンシステムズ(株)取締役)
  
 多くの専門家講師の方々には、30~40歳台幹部の教育に全力で打ち込んで頂いています。「改革実践力」のバトンリレーです。  
 
 トップとミドル一体での中期事業方針立案、クロスファンクショナルなプロジェクトによる業務改善・改革、運営・コミュニケーション改善など、改革実践力も細部に宿ります。 現在は経済戦時です。経営改善と現場改善を一体で実行する必要があります。経営陣とミドル層の関係、上司と部下の関係、何よりもリーダーシップの重要性を痛感しています。

 BIPは、「改革実践力セミナー」「事業リーダー実践塾」開催はじめ、改革組織、改革人材と一緒に考え、一緒に活動を推進したいと思います。

(3)個別コンサルティング、集合教育研修に加え、eラーニングによる広がりを夢みる

BIPの広がる夢

 正月、BIP2010年事業計画四画面の最終確定作業をしていて、10年毎にやることを書く欄で、手が止まった。人生Ⅲ期をどの時間軸で考えるかで、その内容と志が試される。75歳キャリアデザイン論者である私も一呼吸したが、「生涯現役社会」への未来を確信して“何とかなるさ、気軽に行こう”と「広がり」という長い仕事への「再スタート元年」を決断した。

 個別コンサルティングや集合教育研修を通じて、「BI経営」「改革実践力」普及活動は少しずつ増えつつあるが、日本全国の企業、ビジネスマンからすればわずかである。多くの方々への「広がり」を考えさせられた。
 
 eラーニング・本出版等、「広がり」の可能性を調査研究することにしました。そのトライアルを今年から始めたいと思います。

以上

(参考文献)
1.P・F・ドラッカー著 上田惇生編訳『プロフェッショナルの条件』
(ダイヤモンド社 2000年6月 第1刷 2009年6月 第54刷)
2.DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部『ビジネスモデル戦略論』
 (ダイヤモンド社 2006年10月 第1刷)
3.大浦勇三『イノベーションノート』(PHP研究所 2006年9月 第1版)
4.西澤脩『管理会計を語る』(白桃書房 1992年3月初版)
5.金児昭『「利益力世界一」をつくったM&A』
(日本経済新聞出版社 2007年9月1版)
6.竹中平蔵『改革はどこへ行った?』(東洋経済新報社 2009年11月 第1刷)

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