佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション
2008/06/24 変革の“経営技術力”が企業盛衰を決める時代―創業1周年感謝セミナーへの思い
6月20日(金)に開催した創業1周年感謝セミナーは、お陰様で盛況でした。深く感謝申し上げると共に、企業幹部の変革への熱心な姿勢に感銘しました。1年間のコンサルテイング・教育研修の現場で感じたこと、また日本トップレベルの専門家の方々と共同研究して痛感したことも全く同様であった。現代は、変革の“経営技術力”が企業の盛衰を決める時代だとの痛切な思いである。何とかしなければならないし、できると思った。
(1)日本企業の再生・創造発展に知力と人間力のユビキタス大作戦を提唱
(近藤修司、藤井健也『経営DNAフロンテイア』日刊工業新聞社)
2002年出版された『経営DNAフロンテイア』は、経営技術競争力という視点でまとめられた先進的研究である。俗に「失われた10年」という時代は、日本全体は低成長であった。しかし、個別企業でみると高成長の企業とマイナス成長の企業の総和がGNP1-2%であった。国でみても5-10%前後の高成長国と1%前後の低成長国の総和が数%成長の本質であった。総和の数字だけと比較して、企業・国の競争力は相対的に劣化していると認識していないリーダーに警鐘を発している。そして、処方箋を提唱している。
1周年感謝セミナーの講師に、上記出版の共著者である現北陸先端大学院知識科学研究科 近藤修司教授にお願いしました。先生は、日本トップのコンサルタント集団であり、日本産業界の成功を指導してきた(株)日本能率協会コンサルテイング社長を5年間務められ、その後、“経営技術力”を世界で初めて知識科学研究科として先端研究する場で教鞭をとり、同時に経営の現場に足を運び実践をしておられる方です。私も共同研究の一部に参加させて頂いております。
「今日の危機的状況に陥った原因を経営技術の視点から分析すると次の三つの要因が考えられる。1-創造的な経営、人材の軽視、2、IT技術の幾何級数的発展への認識のズレ、3、各種の制度疲労の放置」と指摘している。
それでは、21世紀の処方箋、パラダイムシフトは何か。
「経営技術競争力の目指すものは新しい価値の創造である。価値の創造型の経営体を増やすことにその目的がある。日本の再生・創造シナリオは・・・“産業技術競争力”と“経営技術競争力”のバランスある総合競争力を特色とし、“先端的価値の創造”で、世界をリードすることである。」
(2)大企業、地元企業、病院、自治体で成功事例広がる“変革成功の真髄”とは
(近藤修司教授『四画面思考による事業開発・経営改革実践成功の真髄』BIP創業1周年感謝セミナー)
私が、学んだ一部を紹介します。
1.成功事例が広がる「我々が未来を創り出す」という“未来開発経営”
参加者から、成功事例があるのですかと言う当然の質問があった。
日本で世界的競争力ある自動車産業、電子産業も危機の時代があった。開発、技術の現場がやらされ感で閉塞した。産業技術競争力を社員に命令するだけでできるものではない。「我々が未来を創り出す」という厳しいが明るい世界的創造価値評価への経営技術力強化の10数年があったという具体的説明があった。
また、大企業だけでなく、地元企業、病院、自治体等への展開の結果、この分野での特定解も生まれつつあると写真付きで事例紹介があった。
2.「理想もち 技術と情緒 二刀流」
経営は、自然科学的アプローチと社会科学的アプローチの両方が必要である。実験できないことは、実践で試すしかありません。経営技術力は、“人間力と知力(技術力)の二刀流”であるという。
自然科学アプローチは、「検証は実験、動力は因果律、価値は正確性、論理形態は記号・数式、目的は現象救済、成果は法則化」である。
社会科学的アプローチは、「検証は調査、動力は理想律、価値は善、論理形態は言葉・文章、目的は人間救済(自由)、成果は毎日の実践」である。
個人知からチーム知、事業知、会社知、社会知に広げていく。改革は、一人から始められる。そして、場をつくり、交流、仲間、同士、全員主役へと、「場と事業のマネジメント」を推進する。
3.A4版1枚の「四画面思考法」は、誰でもできる“改革OS”
近藤教授の提唱する「四画面思考法」は、A4版1枚の言葉の記述から始まる。
4分割のマスに以下の4つの姿を考え、書くことが変革成功へのスタートです。
現状の姿は、ファクトファインデングである。一言で現状の姿を要約する。SWOT分析等と組み合わせて、強み、機会、弱み、脅威を直視する。
なりたい姿は、期限付きの目標、理想を一言で表現する。オンリーワン、ナンバーワンを戦略にすると勇気が出る。
ありたい姿は、ステークホルダーをあげ、世のため、人のための一言を表現する。思いの総和をあげると夢への人間広場が喜びに満ち、拡張する。
実践する姿は、改革実践のリズム、レスポンスを一言で見える化をする。毎日やる事、毎週やる事、毎月やる事、毎期やる事、毎年やる事、3年ごとにやる事、10年ごとにやる事を決め、習慣化する。
ほとんどの方が、講義に頷き、全員が発言しました。皆様の経営技術力向上の一助になれば幸いです。自社で具体的展開の際は、気軽にご相談をお願いします。
以上