佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション
2007/07/26 本は、タイトルで売る?
本を出版するときに、一冊でも多く売れてほしいと著者も出版社も願っている。読者がどうしたら本を手に取ってもらうか。タイトル、装丁、帯、推薦者の選定、新聞広告、段積みなど、あらゆる販売手法が満載である。それぞれのプロフェショナルの数は少なく、依頼が集中するとあるTV番組で知った。
ネットであれば、本の表紙と広告コピー(文章表現)がすべてである。ネット販売が増加する現在では、コピーはもちろんだが表紙の写真、イラスト、絵が購買動機を大きく左右する要素となると思われる。
本は、何冊以上の販売実績をベストセラーというのでしょうか。
パコ・ムーロ著、板東智子訳「なぜ、エグゼクテイブはゴルフをするのか?」は、売れ始めているという。
読んでみて、納得した。
この本は、売るためにこのタイトルをつけたのである。
本には何故エグゼクテイブはゴルフをするのかは、十分に説明されてはいない。むしろ、この本は、ゴルフが好きなエグゼクテイグ層に、ビジネスの原理、原則を寓話の手法でわかりやすく説いた気軽に読めるビジネス啓蒙書であると思う。ゴルフをする方の多いエグゼクテイブに狙いをつけて、その想定読者層をイメージさせるライフスタイルをタイトルにもってきたのではないか。
本のタイトルは、一行の企画書の典型かもしれない。中身の紹介ではなく、まず買ってもらうためのタイトルである。
エグゼクテイブの多くがゴルフをする傾向は、私も直感的に肯定できる。そして今、ゴルフは、エグゼクテイブだけのスポーツや娯楽ではない広がりをもっている。読者市場のピラミッドのトップから攻めて、ボトムまでの広がりをねらうマーケテイング戦略と後講釈できる見事さである。
しかし、「なぜ、エグゼクテイブはゴルフをするのか?」を解明するような本を誰かが出版するのだろうか。
本のビジネスも、マーケテイングの時代である。
読書を趣味とする一人であるが、多くの揃った大型の書店は、やはり読者のニーズなのである。本は、少なくとも、目次と前書き、後書きは買う前に読みたいものである。インターネットも、すでにこのテーマに挑戦している。時と場所を越えて、低コストと瞬時にアクセスする便利さは、抜群である。
以上