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2018/05/30 事業承継・事業成長のためのM&A BIPの支援スタイル~M&Aの流れ

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 ここ数年でBIPへのM&Aに関するご相談やお問い合わせが急増しています。また、コンサルティングや経営アドバイスを行う中で、事業承継についての課題へと相談テーマが移行していく機会も多くなってきました。上場企業やファンドより買収案件のご依頼も寄せられています。

 BIPのM&A支援実績が増えてきた中、実際のM&Aの現場から多くのことが見えてきました。企業や経営者様の実情や悩み、市場状況、笑顔になれる幸せなM&Aとは何か、よい譲渡先を探すためのコツ、合併後のアフターフォロー等です。

 この特集コラムでは、M&Aや今後の事業の成長戦略作りを検討している多くの皆様に役立つ内容を、専門コンサルタントへのインタビュー形式で発信していきます。

2回コラム「事業承継・事業成長のためのM&A BIPの支援スタイル~M&Aの流れ」

専門コンサルタント:BIP(株)取締役 コンサルティング事業部長 事業承継・M&A部会長 大塚 直義
インタビュアー:BIP()代表取締役副社長 企画連携部長 コーポレートキャピタル事業部長 手塚 里美

1.事業承継・事業成長のためのM&A

手塚:以前大塚さんのコラムでご紹介頂きましたが、事業承継の後継者問題は深刻ですね。

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大塚:そうですね。今年の2月6日の日経新聞では、「どうなる中小“大廃業時代”」というテーマの記事が掲載されていました。その記事によると、「日本の産業競争力を支えてきた中小企業群が存続の危機に瀕している。全体の3割にあたる127万社で後継者が不在の状態となる見通し。」とのことです。実際に多くの会社で、経営者の高齢化が進み、60歳代後半や70歳代の社長が増えています。今後、団塊世代の社長の大量引退が見込まれる中、近い将来、まさに“大廃業時代”の到来が危惧されます。中小企業の事業承継は日本経済が抱える深刻な課題となってきているのです。

手塚:事業承継のために第三者への株式譲渡を選択する企業が増えていますね。

大塚:事業を誰に承継するかという選択肢では、中小企業白書の2014年版を見ると、息子・娘などの親族が43%と最も一般的です。次に社員への承継が39%、外部から有能な人材を招聘して承継するケースも13%あります。実は選択肢としてはこれだけでなく、第三者(他の会社)への株式譲渡という事業承継の方法があり、5%の割合となっています。そして、ここ数年で株式譲渡の割合が急速に増加しています。

少子化が進んだ関係もあって親族内で後継者を確保することが難しくなってきており、親族への承継の割合が減りつつあります。その一方で、社員、外部人材、株式譲渡の割合が増えています。親族に適当な後継者候補がいないからと事業承継を諦めるのではなく、4つの選択肢を視野に入れて、事業承継を考えるべきです。

手塚事業継続、さらには事業成長のためにもM&Aは有効な手段ということですね。

大塚:「企業は社会の公器」です。せっかく苦労して創り上げてきた事業を廃業にしてしまうのではなく、事業を承継して、顧客、社員、取引先などのステークホルダーに対しての貢献を将来にわたって継続していきたいものです。後継者不在という問題を抱える企業にとっては、株式譲渡による事業承継を行なうことで、事業を継続できます。買収企業は規模的に大きい会社の場合が多いので、買収後に事業をさらに成長させてもらえるという期待も持てます。

手塚:事業承継の準備をなかなか始められない経営者が多いと感じますが、それはなぜでしょうか?

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大塚:“事業承継は重要との認識を持ちつつも、事業承継の準備をしていない経営者が、なんと60歳代で6割、70歳代で5割、80歳代で4割いるとのデータがあります。私自身も経営者の方々と話をして感じるのは、事業承継については重い腰をなかなか上げられない高齢の経営者がたくさんいらっしゃるということです。それは理屈の問題ではなく、感情の問題が大きく左右していると思われます。創業社長にとって事業承継は自分の引退と表裏一体の関係にあります。経営者の皆さんは、自分は元気で、まだまだやれると思っておられます。それは確かにその通りだとは思いますが、永遠に経営の仕事を続けるというのは、人間である以上、不可能ですし、経営者もそれはわかっています。経営者は自分の引退に直結する事業承継についてはあまり考えたくないというのが本音なのではないでしょうか。

手塚:事業承継を行なおうとする場合には、どのくらいの準備期間が必要と考えればよいでしょうか?

大塚:事業承継についてはまだ考えたくないという気持ちは理解できますが、事業承継を円滑に行なうためには時間がかかります。親族の後継者へ承継する場合には、後継者の育成には最低でも5年以上は必要です。できれば10年は時間をかけたいところです。経営幹部の社員や外部人材への承継もすぐにバトンタッチというわけにはいきません。

会社の事業、社内の業務を理解するだけでなく、社員との関係性、顧客や取引先との関係性も構築していかなくてはいけません。もちろん、経営者として必要な経営知識・スキルの習得も必要です。また、後継社長の育成とともに、創業社長の事業にかける志、理念の承継も進めていくべきです。

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さらに言うと、単に事業を承継すればよいというものではなく、第二創業を併せて行なう必要があるケースが多いのです。創業社長を中心に創り上げてきたビジネスモデルが時代に適合しなくなっている会社が多いという実態があります。某家具販売会社で親子間の壮絶な経営支配を巡る争いがあったのは記憶に新しいところですが、あの争いの背景として、従来のビジネスモデルが行き詰っているという状況があります。従来のビジネスモデル、事業展開を今後どのようにしていくべきか、第二創業のビジョン・計画を、創業社長と後継社長が、時間をかけて話し合いながら構想を練っていくことが重要となります。また、創業社長が自らのリーダーシップで大きくしてきた会社を後継社長が承継し、発展させていくためには、経営体制の整備強化も課題となります。

事業承継は、現社長にとって10年を要する最後の壮大なプロジェクトです。計画的に早めに着手することが成功の鍵となります。

2.BIPの支援スタイル~M&Aの流れ

手塚:株式譲渡(M&A)による事業承継の場合は、どのようなプロセスで、期間としてはどのくらいかかりますか?

大塚:株式譲渡による事業承継では、大まかなプロセスとしては以下の通りです。
①専門家(アドバイザー)の起用
②仲介業者の選定
③企業概要書の作成
④譲渡先候補企業の選定
⑤候補企業への打診
⑥優先交渉先の選定
⑦優先交渉先との交渉
⑧株式譲渡契約の締結
⑨事業の引継ぎ
期間としては、半年程度と考えてよいかと思います。もちろん、もっと早くできる場合もありますし、望ましい相手企業がなかなか見つからない場合にはもっと時間がかかることもあります。

手塚:BIPはM&AコンサルタントとしてM&Aを決定する前の事業計画のご相談から、M&A準備、実行、実行後のPMI(統合作業)支援までトータルで行っていますよね。

大塚:そうですね。ここで株式譲渡による事業承継を成功させるための、ポイントについて説明したいと思います。

ポイントは4つです。

(1)秘密保持の厳守

株式譲渡を進める途中で情報が漏れるということが起こりえます。株式を売却しようとしているという情報が漏れると、不都合なことが発生してしまいます。例えば、現業の取引に悪影響が出たり、あるいは社員が動揺したりするようなことが起こります。また、買収を希望していた企業が買収を取り止めたりすることもありえるのです。

株式譲渡の案件を進めていく中では、秘密保持が極めて重要となります。関係者を絞り、秘密保持契約書を交わすなどして秘密保持の徹底を図る必要があります。

(2)競争入札方式による優先交渉先の選定

上記の株式譲渡の進め方の最大のポイントは、「⑥優先交渉先の選定」のプロセスにあります。なるべく多くの買収希望企業を集め、競争入札させるというプロセスを踏むことが株式譲渡を有利に進める最大のポイントと言ってよいかと思います。

私は、ニューヨーク大学のビジネススクールでファイナンスを専攻しましたが、そのカリキュラムの中でM&Aの科目も受講しました。その授業の中で、「売り側のM&Aを有利に行なうためには競争入札に持ち込むことが必要」と、競争入札の重要性を講師が盛んに強調していたことを鮮明に覚えています。卒業後、会社に戻り、多くのM&Aを経験しましたが、M&Aの実務を行なう中で、まさに競争入札に持ち込むことの重要性を実感しています。

売り手と買い手の一般的な取引で考えてみても、買い手が一人だけであれば、買い手側は圧倒的に有利です。逆に買い手が他にもたくさんいれば、売り手は高く買ってくれる人に売ればよいのです。買い手同士の競争がなければ、買収価格は高くなりません。従って、株式譲渡の取引でも、売り手側の企業としては、競争原理を取り入れ、買い手側企業同士を競わせることが大切となります。

この競争入札の際には、単に株式価格だけではなく、その他の買収条件も記載してもらいますので、事業承継する相手として最も希望に合う企業を選ぶことが可能となります。

このように競争入札が重要となりますので、M&Aの仲介業者を選ぶ際には、より多くの買収希望の企業を探し出してきて競争入札させることのできる、有力な仲介業者を選定することも大切となります。
BIPでは適切な仲介業者を選定するためのアドバイスも行なっています。

(3)優先交渉先との交渉

優先交渉先の企業と交渉を行なう前提として、相手企業から買収監査(デューデリジェンス)を受けます。この買収監査には誠意を持って対応することが重要となります。情報開示を正直にしっかり行なうことで、相手企業の不安を払拭することになりますし、結果として適正な買収価格とすることに繋がります。

株式の価格、即ち企業価値の評価にはいくつかの計算方法があり、株価の理論値が算出できます。この理論値は一点で決まるのではなく、範囲として認識されます。株式の譲渡価格は、その適正な範囲の中で決まるように交渉を進める必要があります。適正な価格を下回る価格で譲渡することは避けねばなりません。

株価だけではありません。その他の買収条件にも十分気をつけることが必要です。株式譲渡契約書では、表明保証条項などの形で売主の瑕疵担保責任について規定されます。譲渡後、もし表明保証条項に反するような瑕疵が発見されると、売主は多額の補償請求をされるということが起こりえます。従って過度な責任を負わないように契約書の内容を交渉していく必要があります。

(4)M&Aコンサルタントの活用

株式譲渡は高度に専門的な取引となりますので、経験豊富な信頼のおける専門家をアドバイザーとして起用して、一連のプロセスをサポートしてもらう必要があります。
BIPではM&A専門コンサルタントチームによるトータルサポートが可能です。

一般的なM&Aの仲介業者は売り手と買い手の仲介をしてM&Aを成立させることが仕事です。仲介業者のみと契約してM&Aを進めようと考える企業もありますが、仲介業者と契約する前に、株式譲渡のプロジェクト全体を支援してくれるコンサルタントと契約することをお薦めします。売り手と買い手の中に入るのではなく、株式の売り手としての自社のサイドに立って、自社の利益を最大化できるように株式譲渡のプロジェクト全体をサポートしてくれるコンサルタントを活用すべきです。

我々BIPでは株式譲渡の支援に多くの実績を有しています。有力な仲介業者とも連携していますので、顧客企業にとって有利な形での株式譲渡の実現を支援することができます。

単に株式が譲渡できて事業承継さえできればよいと考えるのではなく、事業を託すのに望ましい企業に対して、適正な価格と条件で、株式譲渡するのが望ましいですね。

3.BIPのM&A専門コンサルタントチーム紹介

M&Aでは価値評価、税務的な問題等に専門的な判断が必要です。BIPには公認会計士、税理士、司法書士、弁護士などの専門家がおります。多面的なトータルサポートが可能です。

・取締役会長 総合研究所所長 佐々木 昭美 >>詳細プロフィール
・取締役 事業承継・M&A部会長 大塚 直義 >>詳細プロフィール
M&A・事業承継アドバイザー 三塚 誠一 >>詳細プロフィール
・公認会計士・税理士 尾﨑 充 >>詳細プロフィール
・税理士 倉澤 瑤子 >>詳細プロフィール
・司法書士 仲村 文秀 >>詳細プロフィール

企業連携担当
・代表取締役副社長 企画連携部長 コーポレートキャピタル事業部長 手塚 里美 >>詳細プロフィール

BIPのM&A(事業承継・事業成長)支援コンサルティングサービス
詳しくはこちら>>https://www.bi-p.co.jp/consul/#service_menu2

>>BIPコンサルタントへのご相談はこちら


thumbnail_otsuka大塚 直義(おおつか なおよし)

BIP(株)取締役 コンサルティング事業部長 事業承継・M&A部会長

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thumbnail_tezukaインタビュアー 手塚 里美(てづか さとみ)

代表取締役副社長 企画連携部長 コーポレートキャピタル事業部長

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