2016/07/13 第19回「会社にとっての「最適な人事制度」は常に変化する」
人事制度だけに関わらず、組織の仕組み作りで大切なのは、「自社に合った制度構築を行うこと」と「制度と運用のバランスを考えること」であると考えています。
さらにもう一つ意識していく必要があるのは、この「自社に合った制度」や「制度と運用のバランス」は、その時その時の状況や時間の経過に伴って、“常に変化していくもの”だということです。
この変化というのは、会社規模、事業内容、業績、組織構成、年齢構成や男女比ほか人員構成などの内部的な要因によるものから、業界構造や市場、景気動向といった外部要因によるものまで、企業の周辺では常に起こっていることです。
そしてこれらの変化は、人事制度ほかの仕組み作りとは決して無縁ではなく、その状況によって“自社に合うもの”も“最適なバランス”も変わってきます。
しかし、例えば人事制度作りに関わる方々は、主に管理部門、間接部門に所属していることが多いですが、どちらかといえば顧客に直接接する機会があまりない人が多いせいか、会社によってはこのあたりの環境変化への関心の薄かったり、現場の事情にうとかったり、市場の変化を捉えられていなかったりということがあります。
人事制度のような仕組み作りを、「頑丈な建物を建てること」と同じような感覚でいて、一度完成すると「これで当分の間は大丈夫」と思っているような様子が見えることがあります。
しかし、昨今の企業を取り巻く環境変化は、思いのほか激しいものがあります。企業内の仕組みも、その変化に合わせて様々な改革、改善が求められますし、それが必要な頻度は確実に増しています。
組織をパソコンやコンピューターシステムに例えたとして、人事制度などの仕組みを「ハードウェア」、制度運用を「ソフトウェア」という捉え方をすることがあります。
しかし、企業を取り巻く環境変化の速さ、大きさを考えると、「ハードウェア」は企業組織の基幹部分のみであり、制度はその上で動作する「ソフトウェア」にあたるのではないかと思います。さらに制度運用は、「操作、オペレーション」というような位置づけになるのではないでしょうか。
ある目的に応じた結果を得るために、「ソフトウェア(制度)」を作って、その「操作、オペレーション(運用)」を行います。
そこで期待していた結果が得られないならば、「操作、オペレーション(運用)」を工夫するか、「ソフトウェア(制度)」の改修を考え、その時点で必要な結果を得られていたとしても、「ハードウェア(組織)」の進化を考えながら、「ソフトウェア(制度)」の更なるバージョンアップを図っていく、というような関係です。
人事制度のような仕組み作りも、制度運用の改善や見直しも、「これで完了!」というような最終的なゴールはありません。変化のサイクルは速まっており、それに対応していく必要がある一方で、普遍的で変わらないこと、理念やポリシーなど守らなければいけないこともあります。変えるものと守るもののバランスもとらなければなりません。
いずれにしても、「最適な人事制度」は常に変わっていくものであることを念頭に、環境変化に感度を働かせ、継続した取り組みを心掛けることが大切だと思います。
小笠原 隆夫(おがさわら たかお)
コンサルタント(人事制度、組織活性化、採用支援)
人事制度構築、組織活性化といった人事の悩みは、多くの企業で抱えている のではないでしょうか。
人事コンサルタントとして直面した課題事例や、人の感情ややる気・ムードといった人間の感覚的な切り口を合わせ、みんながハッピーになれる人事、組織とはどんなものなのかを考えて行きたいと思っています。
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