2013/05/01 第25話「マネジメントの必要性 ~めざせ、プロのマネージャー~」
少し前、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という本が話題になりました。
私自身、プロジェクトマネージャーとして御依頼いただいた企業に入り社員と一緒にプロジェクトを進めたり、プロジェクトマネージャーの育成を日頃行っていますが、「マネジメント」というものの有効性、必要性がまだまだ理解されていない印象を受けます。しかし本来はとても身近でどこにでも応用できるものだと思います。
「マネジメント」での采配によりその最終的な「結果」はもちろんですが、一番私がやりがいを感じるのは、活動に関わる全ての人のモチベーションを維持させ、それぞれが自身の責任を認識しながら考えて行動できるような意識変革と環境を作り、組織の力を想像以上に引き出すというマネージャーの仕事の醍醐味です。どんなに目的の成果物ができたとしても、そこに関わった人が身も心も疲弊し、根性だけでなんとか終わらせたような企画はマネジメント不在と言わざるを得ず、次の成長も期待できません。
さて、マネジメントというと堅苦しいですが、「もしドラ」は、マネジメントがもっと身近でどんな活動にも応用できることを一例として伝えてくれた面白い本だと思います。プロジェクトマネージャー養成の資格研修はたくさんありますが、その知識をどこに応用することができるのかを感覚的にすばやく察知できるかどうかが、本当のプロジェクトマネージャー素養だと思います。
前置きは長くなりましたが、こういう思考で普段活動をしていると、ふとしたところでマネージャーの血が騒ぐことがあります。
先日、ある地方イベントにボランティアスタッフとしてお手伝い参加しました。協働事業として市に提案し採択された初めての行政と市民団体の大イベントということで、主催団体の方々はお客様に楽しい一日をどうやったら過ごしていただけるか、意見を出し合いとても気持ちのこもった企画を考えていました。今回はボランティアという立場だったことから、第三者としてこの二日間のイベント運営を見ることができたおかげで、ここにマネジメントの要素をもう少しだけ加えてみたらきっともっと良いイベント運営ができそうなのにと思い当たることをいくつか感じました。主となるイベントステージ以外の運営、たとえば、ボランティアを含めたたくさんの人の配置、責任担当分担、リスクマネジメント(事故の対応や駐車場管理)、限られた予算の効率的配分、そして、関わる人すべての行動心理を配慮した気配り心配り先回りなどです。しかしこれらは、企業の大きなプロジェクトで行うマネジメントの考え方となにも変わりません。その組織が生み出せる「“最高”で“適度”な達成レベル」、これを冷静な判断の下で設定し、実行すること、そして知識だけでなく感覚的にできる人が、本当のプロのマネージャーではないかと思います。私自身も目指すはそういうマネージャー、日々現場で鍛えられています。短いボランティア活動の中でもいろいろ勉強させていただきました。
マネジメントはまだまだ堅苦しく難しいイメージがあるようですが、言ってみれば江戸時代の家老も大奥総取締もいわばマネジメントをしているのです。お殿様とその領内をマネジメントできないお家が繁栄しないのは考えてみれば納得かもしれません。