2011/07/01 第15話「~映画『ソーシャルネットワーク』を観て~私とマーク・ザッカーバーグ」
蒸し暑い日が続きますね。東京は街中節電モード、クーラーがあまり好きではなく冷やしすぎだと毎年文句を言っていた私でさえ、じんわり汗ばむ温度設定の地下鉄、昼間でもなぜか通勤ラッシュのように混雑していて間引き運転し過ぎじゃないかと思いたくなる銀座線に、どうも脱力感を覚えてしまう今日この頃。みなさんいかがお過ごしですか?
さて先日、かなり遅ればせですが、映画「ソーシャルネットワーク」を借りて観てみました。いろんな評判は聴いていましたが、正直大した期待もせず観始めたところ、これはなかなか。Myお勧め映画ランキング入り。ということで、ちょっと話題的には古いですが、この映画の感想など少しばかり触れたいと思います。
SNSサイト「Facebook」を創設したマーク・ザッカーバーグ、ビジネスパートナーで親友だったエドゥアルド・サベリン、ナップスター設立者の一人でフェイスブック事業拡大にいつのまにか絡んでいくショーン・パーカー、3人がまきおこす実話ストーリー。映画製作に際して実際には本人たちはインタビューにも応じていないとのことなので、事実と違うことも多いとは思いますが。
頭脳、性格、社会に送り出したものも、影響の大きさ、私自身とマーク・サッカーバーグは到底比較にならないくらい全く違いますが、なぜか映画を見ている間中、気持ち的にシンクロするものがありました。おそらく、一つの会社を起こした駆け出し経営者というところがシンクロポイントだったのかと。
私は、経営者に向いているのかな、ふと自問することがあります。もしかしたらこんなことを思う経営者はたくさんいるかもしれません。でも爽やかな空の下で心も落ち着くと、きっとこんな自問をしてしまう時は目先の小さな問題にとらわれて悩んでいる瞬間なんだと気づくのです。(ちなみに、この原稿を書いている今日も、雲ひとつない青空が広がっています)。お金を回すこと、会社の売上を伸ばすこと、責任もって仕事をこなすことももちろん役目ですが、社会に向けて何を産み出すか、自分が信じる志・思いを社会に発信し、リーダーとして多くの人のモチベーションをその魅力で牽引し、行動・実現できることが経営者としての最も大切なミッション、経営者だからできる魅力的な生き方の一つなのだと思います。
そして、この生き方が魅力的だと思うから私は経営者の道を選んだのであって、向いているから経営者になったのではないんだと。
映画の中でのFacebook創業者の二人、マーク・ザッカーバーグと親友エドゥアルド・サベリンの感性の違い。二人の目指す方向は一緒なのだろうけど、そこに向かって取るそれぞれの行動や物事社会にたいする感じ方の違い、そもそもの性格の違い、お互いに無いものを持ち合わせたコンビ。ものすごく魅力的でパワフルな関係である半面、お互いを求めつつも「個人」の主張を素直に認め合うことができない繊細な関係。この時の彼らは、まだ経営者ではなく「自分」から脱していなかったのでしょう。
もともと大親友であった彼らは、最後にはお互い法廷で闘うことになり、見る人によっては莫大な資産と引き換えに大切な友情を失った映画と取られるかもしれません。でも私は、二人がこの映画に描かれたままの私が感じた人間像なのであれば、Facebookの早すぎる成長の中で一時的に離れたものの、本当に失ったものなど無いと思います。きっとマークとエドゥアルドは、いつか若いころを振り返って笑いあえる親友に戻るときが来るだろう、そんなハッピーエンドストーリーを追加したいと思いました。