2014/03/14 第6回「「評価」と「考課」と「査定」の違い-人事における言葉選びの大切さ」
今回は、企業内のさまざまな人事の取り組みをしていく上で、呼び名や言葉、用語といったものが大切であるというお話です。
私がいろいろな企業のお手伝いをしている中で、人事制度上のいわゆる“評価制度の運用”のことを、「評価」と呼ぶところ、「考課」と呼ぶところ、「査定」と呼ぶところの、大きく三つの呼び方に出会います。
実際に皆さんは、それほど意識して使い分けているという訳ではないようです。たぶん、会社内で前から何となく使ってきた用語がいつの間にか定着して、それをそのまま使っているようなことが多いのではないでしょうか。
こういう私自身も、何となくニュアンスの違いは感じながら、その会社の言い方に合わせて使っていることが大半ではあるのですが、実際に言葉が違うということは何かしら意味合いも違うはずということで、実際に辞書で調べてみるとこんな感じでした。
【評価】
1.品物の価格を決めること。また、その価格。ねぶみ。「―額」
2.事物や人物の、善悪・美醜などの価値を判断して決めること。「外見で人を―する」
3.ある事物や人物について、その意義・価値を認めること。「―できる内容」「仕事ぶりを―する」
4.「教育評価」の略。
【考課】
1.公務員・会社員などの勤務成績を調査して優劣を定めること。
2.銀行・会社などの営業成績を調査・報告すること。
3.律令制における官吏の勤務評定。
【査定】
金額・等級・合否などを調査したうえで決定すること。「税額を―する」「勤務態度を―する」
どうも、「評価」は広い意味でいろいろな物の価値判断をすること、「考課」は主に勤務成績上の“優劣”を決めること、「査定」は金額や合否など、もう少し白黒はっきり決めること、という感じのようです。
なぜこんなことを思ったかというと、私が以前在籍していた会社では、当初は主に「評価」と言葉を使っていましたが、会社の合併を機に、これが「査定」という言葉に置き換わることとなり、実はこの「査定」という言葉に何となく違和感があったからです。
この違和感を明確に説明はできませんが、何か一方的に決められるというか、問答無用というか、言葉自体にそんなニュアンスを感じていたからということだと思います。
実際には何か一方的に押し付けられた訳でも、問答無用だった訳でもありませんが、言葉のイメージでそんな風に思っていたということです。
このように、言葉や用語のイメージというのは、ニュアンスを適切に伝える上では意外に大切で、例えば「精神力」とか「気合い」とか言われると共感できないが、「メンタル」などと言われるとすんなり入ってくる、なんていうことがあります。
私が人事制度づくりをお手伝いする際も、制度の中に出て来る言葉や用語の表現には、非常に気を使います。一般的に定着している言葉、とらえ方に差が出ない言葉は良いのですが、そうではない物で、言葉や用語の選択を誤ると、そもそもの意義を理解してもらえなかったり、制度定着が滞ったりします。
言葉や用語には、人それぞれのイメージや先入観があります。今回は人事制度での例ですが、それ以外のこと、例えば経営理念、事業計画、方針説明、日々の作業指示など、何をするにおいても、すべてのことで“言葉選び”はとても重要なのではないかと思います。
小笠原 隆夫(おがさわら たかお)
コンサルタント(人事制度、組織活性化、採用支援)
人事制度構築、組織活性化といった人事の悩みは、多くの企業で抱えている のではないでしょうか。
人事コンサルタントとして直面した課題事例や、人の感情ややる気・ムードといった人間の感覚的な切り口を合わせ、みんながハッピーになれる人事、組織とはどんなものなのかを考えて行きたいと思っています。
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