2020/03/18 【FC】「FC本部構築:加盟金はいくらにすべきか?」
こんにちは。BIPの高木 仁(たかぎ ひとし)です。
フランチャイズ本部の構築をご支援する際に「加盟金はいくらぐらいにしたら良いでしょうか?」という質問をよく聞かれます。
質問:「加盟金」の妥当な金額はいくらでしょうか?
答え:FC本部によって様々
身もふたもない答えですが、この点について、今回のコラムで解説したいと思います。
■加盟金の性質
「加盟金」とは、FC契約締結時に加盟者から本部に支払われる金銭です。加盟金は、FC契約によっては「権利金」「入会金」「分担金」などと呼ぶこともあります。
加盟金の性質は、一般的には、
① 営業許諾料(営業権の付与)
② 商標・サービスマークの使用料(ブランド使用料)
③ 開業準備費用(立地診断費用・開業前研修費用等)
④ ノウハウ開示の対価(ノウハウ使用料)
として支払われるものとされています。
FC契約によっては、加盟金は①~④の一部のみの対価する場合があり、そのような場合には「開業前研修費」「マーケティング費用」などという名目で別途徴収とすることがあります。
■加盟金の金額設定
大前提として、加盟金は、加盟者側がFC加盟によって得られるメリットに見合う額でなければなりません。加盟金の額の設定に当たっては、それが第三者から見て暴利に当たるようなレベルであってはならず、同業他社の事例にならいながら妥当な金額を探っていくことになります。
まだ本部としての経験が浅く、ノウハウが十分でない場合や、そのノウハウがマニュアルという形にしきれていない場合、ブランド力が不十分な段階である場合などには、その金額は低く設定しておくべきでしょう。そして、本部やFCチェーン全体の成長とともに加盟金の金額を増やしていくという考え方もあります。
最初に「加盟金」の金額はFC本部によって様々と述べましたが、このような背景があります。
■加盟金は返さない?
多くのFC契約書には、「加盟金は理由の如何を問わず返還しない」という規定が設けられています。これを、「加盟金不返還特約」という呼び方をしますが、このような加盟金の不返還特約は、法律上、原則として尊重されています。
しかし、近年では、この加盟金の不返還特約について、FC本部が敗訴する事例も出てきています。加盟金不返還特約は絶対的なものではなく、慎重に取り扱っていただきたいところです。FC加盟の勧誘に当たっては、加盟金が何の対価であるのか、加盟金不返還特約とは何かといったことについてもしっかりと説明することが重要です。
そして、何かしらの原因により、開業にいたらずに加盟契約が解除となったような場合、本部は、加盟金不返還特約を盾に「何が何でも返さない!!」という態度を取るのではなく、互いによく話し合いの場を持ち、場合によっては一部を返金するなど慎重な対応を取るべきです(ただし、明らかに加盟店に瑕疵があるようなケースでは本部は毅然とした態度を取るべきです)。
■保証金の設定
加盟金は加盟時に本部が徴収するものですが、同じタイミングで加盟店から預かるものとして「保証金」があります。
保証金とは、加盟者が差し入れる担保としての性質を持つものです。具体的には、「ロイヤルティの支払い」「商品等の仕入」などの担保として設定します。
そして、FC契約が終了した時には、担保としての必要性が無くなるため、本部は加盟者への債権が残っている場合には、その金額を差し引いて返金することになります。
保証金の金額設定は、加盟店1店舗あたりの売上高が大きくなる(=ロイヤルティが大きくなる)につれて、あるいは小売店や飲食店のように、加盟者が本部から仕入れる額が大きくなるにつれて、大きく設定することなります。要するに本部のリスクが大きくなる分だけ、保証金を大きくするという考え方になりますが、あまりに大きくすると、加盟店が開業する際に用意すべき最初の金銭が大きくなり過ぎます。
本部のリスク(おおよその1ヶ月間の仕入額など)と、開業時の初期投資額をにらみながら妥当な金額を設定することになります。
今回は、加盟店が本部に対して最初に支払うお金(加盟金、保証金)について解説しました。次回は、継続的に支払う「ロイヤルティ」について解説したいと思います。
参考書籍:フランチャイズ研究会 著「フランチャイズ本部構築ガイドブック」(同友館)
高木 仁(たかぎ ひとし)
コンサルタント(IT企業 企画提案力強化・人材育成、フランチャイズ本部構築)
私は、フランチャイズコンサルを専門領域の一つにしており、フランチャイズ本部の構築や本部機能の強化などの支援をしています。このコラムでは、フランチャイズビジネスの情報や、フランチャイズ事業化を検討中の皆様に役立つ情報を中心に発信していきます。
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