記事の詳細

前回は、オリンピックのトップアスリートを例にとって、勝つためには戦略戦術が必要であることを見てきました。今回は戦略を立案するプロセスについて考えてみたいと思います。

戦略を立案するためには、何が経営課題であるかを捉える必要があります。そのためには、自社の事業、組織の状況などの内部環境、市場動向など外部の経営環境を分析していく必要があります。

分析の作業として、3C分析、5フォース分析、SWOT分析、PPMなどのフレームワーク分析や財務分析を行なっていきます。この際に、情報の収集はしっかりと行う必要があります。十分な情報収集を行なわずに形式的な分析作業をしている会社が少なくないように感じています。 

戦略を立案するために大切なことは、「情報 x 考える」ということです。十分な情報が無い限り、適切な戦略を立案することはできません。現場・現物・現実の“三現主義”の観点から事業の生の情報を収集するとともに、市場動向や技術動向などマクロ的な観点からの情報も収集します。 

しっかりと情報収集を行い、その情報をフレームワーク分析手法などを活用して、客観的、体系的に分析していきます。分析作業を通して、事業の実態を捉え、経営課題を抽出します。

情報収集や分析作業は泥臭い作業ですが、戦略立案とは単に頭の中で考えるということではなく、足を使って情報を収集し、手を使って分析作業を行い、頭を使って考えていくことが必要なのです。

分析作業を行なって正しく経営課題を捉えることが大切です。何が一番本質的で重要な課題なのかを正しく捉えることが勝負です。 

経営課題の把握や戦略立案に関する指導をしてきた、私の経験からすると、一番本質的で重要な課題は何かという観点で課題を把握すべきところを、重要度の低い課題に飛びついてしまう経営者や経営幹部の方が多いように感じています。この課題把握を的確に行なえないと、戦略も適切なものがつくれないことになってしまいます。 

“鳥の目、虫の目、魚の目”という言葉があります。鳥の目は大所高所から俯瞰的に視ること、虫の目は細かく分析的に視ること、そして、魚の目は変化の流れを感じ取ることです。

正しく経営実態を捉え、真の経営課題を抽出するためには、この3つの視点で分析を行うことが必要です。虫の目での分析を行い、鳥の目で大局的に重要なポイントを押さえ、魚の目で先を読みます。

「先を読む」というと難しそうに聞こえるかもしれませんが、これはYTT分析の考え方です。YはYesterday(昨日)、TはToday(今日)、2番目のTはTomorrow(明日)の頭文字で、過去から現在の推移を分析して将来の動向を予測するというものです。これは当たり前の考え方ではありますが、こうした視方で、自社を取り巻く経営環境、自社のビジネスや会社内部の状況をしっかりと見つめ、先を読みましょう。 

分析作業を行なって、実態を把握、真の経営課題が抽出できたら、戦略の立案に入っていきます。戦略立案を行なう際のポイントが幾つかありますが、これについては次回お話をしたいと思います。

以 上

[page_content お問い合せボタンコラム]
[page_content プロフィール大塚直義] [page_content 無料相談会CTA]

BIPコラム

ページ上部へ戻る