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「ビジネスプランニング:事業戦略シナリオ策定のためのフレームワーク【BP-S】」
こんにちは。高木 仁(たかぎ ひとし)です。
前回のコラム(https://www.bi-p.co.jp/column/3622/)では、ビジネスプランニング最強のフレームワークである【BP-ViMoSA】を紹介しました。今回は、この中で十分に説明できていなかった【Scenario:事業戦略シナリオの策定】についてご紹介したいと思います。
■Scenario:事業戦略シナリオの策定とは(前回の復習)
事業戦略シナリオとは、設計したビジネスモデルを具体的に事業化していくための、現状認識・分析を行うとともにストーリーを描いていくことです。事業戦略シナリオは次の12項目について考えます。
①ターゲット顧客特性と競争の本質、②市場規模、成長性、 ③解決すべき重要な課題、④競合他社の動向、⑤技術、標準化、規制動向等、⑥自社の強み、弱みの認識、⑦事業成功の鍵、⑧勝つ戦略の要点、⑨優先順位付けと経営資源配分、提携戦略等、⑩組織体制(開発、調達、生産、マーケティング、営業等)、⑪資本、資金政策、⑫数値シナリオ(3つ)と事業リスクの整理と対応
12項目も考えなければならないのか?と考えるかもしれませんね。
事業戦略シナリオの策定にあたっては、12のパーツを6つのブロックに分けて考えるフレームワーク「BP-S」を使うと整理がしやすくなります。それぞれのパーツ・ブロックの関係性に留意しながら、全体として整合性のとれたシナリオを描くことができます。
■シナリオ:現状認識・分析
BP-Sの上側と右側に注目してくだい。
ここでは、シナリオ全体の整合性を保つために、ビジネスモデル設計までに収集・分析した情報を戦略の戦局を想定して整理するとともに、必要に応じて詳細に分析を行います。
特に【市場・顧客】の把握は重要です。スタートアップ時点でターゲットにする市場・顧客を絞り込んだ上で、業界のキーパーソン、研究者、投資家、実際の顧客(候補)へのインタビューなどを通じて検証を行います。
一方、事業をスタートしていない段階で、いくら調査・分析を緻密に行ったとしても、実際に事業を始めると違っていたというケースがほとんどです。事業を進めながら修正をかけていくことが現実的です。
■シナリオ:ストーリー
BP-Sの左下に注目してくだい。
事業戦略の実行に向けて、「具体的な方策」を体系的に整理し、勝ちを得るまでのストーリー(一連の流れ)を組立てます。
実行段階では、事業の戦局ごとに部分的に対応するだけでは意味がありません。局面ごとに必要な要素(パーツ、ブロック)を連動させて、一つのストーリーを組み立てる必要があります。
また、経営環境の変化に応じた意思決定を可能にするために、複数のストーリーを用意しておくことも重要です。特に、リスクマネジメントの観点から、事業リスクが発生した場合の対応も検討しておく必要があります。
・新たな事業を立ち上げて実行していかなければならない
・今の事業を改革していかなければならない
そういう事業リーダーの方には、ぜひとも活用していただきたいフレームワークです。
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