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こんにちは。BIPの高木 仁(たかぎ ひとし)です。

少し前の話題にはなりますが、日経MJやがっちりマンデーなどで「ステルスFC」なるビジネスモデルが紹介されました。ステルスFCとはいったい何でしょう?

フランチャイズの展開パターン

「フランチャイズ」と一言で言っても、社会構造や政治・経済、市場環境の変化に伴い、昨今では、様々なタイプのFCビジネスが展開されています。

例えば、
■ 商材や商売のやり方は揃えるが、店舗名や商標は統一しない
■ 看板は統一するが経営のやり方には自由度がある
■ 加盟金を徴収し店舗オープン支援まで行うが、その後の指導はせずロイヤルティも発生しない
など。

FCビジネスでは、FCパッケージとして、
■ 商標の継続的使用の許可
■ 経営ノウハウの提供
■ 継続的な経営・運営指導
■ 差別化された製品の供給
の4つを加盟店へ提供しますが、これらのすべてを提供するのか、一部だけを提供するかによって展開パターンが変わります。

図

表

この他、「フランチャイズ」という名称を使わずにチェーン展開をしている例などもありますが、FCビジネスかどうかは実体で判断されます。商標の使用や、経営に対する指示・指導、それに対する対価の受領などについて、一定の要件を満たす場合、FCビジネスと同様の法的制約を受けることがあるので注意が必要です。

ステルスFCとは?

冒頭に紹介した「ステルスFC」について、日経MJ紙(2019/10/4P1P13)に、FCとしての機能を一部持ちながらも、屋号やメニューについて加盟店の自由度をある程度認め、各オーナーのやる気を促す仕組みとして紹介されました。

横浜家系ラーメンのギフト社をはじめとして、いくつかの企業の事例が紹介されており、FCでありながらも、
■ 決められた屋号でなく自由に店舗名を決められる
■ メニューや店舗内外装は、ある程度自由に決められる
■ 加盟金・ロイヤルティがゼロ(または安価)
■ 原材料の仕入れは本部から行う
といった特徴について説明されていました。

通常のFCと異なり統一した看板を掲げないため、顧客からは一見してチェーンとは見られないことから、ステルス(=こっそりと隠れる)FCという意味で名づけられたものと思われます。

加盟店に対して「自由度が与えられるFC」というのは、新しいFCのモデルのように感じるかもしれませんが、実は以前から食材業者等が展開してきていたモデルであり、「フリーネーム」「フリーブランド」などという名称でFC展開している例が多数あります。私が以前にご支援したクライアントのなかにも、この形で60店舗以上展開している焼き鳥居酒屋のFC本部があります。

ステルスFCは、前述したFC展開パターンの「開業請負型」と、「商材提供型」を組み合わせたようなモデルです。一見、チェーン店に見られないことから、世の中一般からは気づかれにくいものだったと思います。それがここへきて、FC業界(特にコンビニエンスストア)において、加盟店と本部とのトラブルが目立つようになったため、マスコミによって取り上げられるようになったのでしょう。

ビジネスの実態としてFCではないため、中小小売商業振興法による情報開示書面の提示が不要になるケースが多いと思われます。一方、競業禁止の法的根拠が希薄になったり、加盟店から食材取引を打ち切られたりするリスクがあり、本部としては注意が必要です。

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