佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション
2022/07/28 BIエッセイ15周年記念 286号 恒例!夏休みにお薦めの本15冊
「明るく楽しくイノベーション」のサブタイトルで開始したBIエッセイも今年7月10日で15周年、本号で286号を迎えました。読者の皆様に深く感謝申し上げます。
恒例の「夏休みにお薦めの本15冊」をお届けします。夏休みは、本を読む時間のある時期の一つですね。
15周年の私なりの成果として、3Mレイヤー統合知性(ミクロレイヤー=個人・家族、ミドルレイヤー=企業・教育機関・団体、マクロレイヤー=内外政治・経済・技術・外交・軍事)が仕事や人生、日本に役立つと思うようになりました。
主に今年発売された本の中から、仕事・人生・日本に与える影響の大きい本や、再読して役立つと思ったお薦めの本15冊を紹介します。歴史軸、世界空間軸、諸科学統合軸など新たな視点や知見は未来実装に役立つと思います。
皆様の明るく楽しい三喜人生(働く喜び・学ぶ喜び・遊ぶ喜び)に役立てば幸いです。
(ご参考まで。過去の「お薦めの本」は こちら からご覧頂けます。)
【1】 個人・家族=ミクロレイヤー
~人生100年時代を自分事として考える
1.グロービス経営大学院著、田久保善彦執筆・監修 『志を育てる 増補改訂版』
(東洋経済新報社 2019年5月 定価 本体1,700円+税別)
志には、小志と大志がある。志を醸成するバイブルとなったロングセラーに最新の研究成果を加筆した決定版。グロービス経営大学院MBA入学する社会人の必読書。リーダーとして自己を成長させ、道を切り開き、有意義な人生を歩むために役立ちます。目次 1、「志」とは何か 2、志醸成のサイクル 3、志のサイクルに影響を与える要素 4、志の成長の方向性 5、事例編
2.元ソニー社長・会長・CEO 出井伸之 『人生の経営』
(小学館 2022年4月 定価 本体800円+税別)
「自分の人生を“経営”するのは自分なのです。」元ソニーCEOが伝えたいことを率直に語っている。ソニーで学び、84歳現役経営者として自ら切り開いた後半生のキャリア論です。目次 はじめに 定年という考え方をやめよう 1、サラリーマンこそ冒険しよう 2、左遷だって自らの糧にできる 3、変化の兆しをつかまえよう 4、培ったキャリアを外で活かす 5、ものづくり神話から脱却しよう 6、定年延長も退職金も要らない 7、ソニーに学んだ新しい企業の形 8、国内と対外の並列的な二重戦略に活路
3.藤尾秀昭監修 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』
(致知出版社 2022年3月 定価 本体2,350円+税別)
安藤忠雄、浅利慶太、伊調馨、五木寛之、加藤一二三、黒柳徹子、古賀稔彦、佐藤愛子、瀬戸内寂聴、長淵剛、永守重信氏ら365名の生き方が登場する。日本人の心を熱く燃やす本ですね。読者が選ぶビジネス書グランプリ2022年総合グランプリ第1位『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』に続く第2弾です。既にシリーズ35万部突破しています。1人1ページに365人の生き方が詰まっています。興味のある方からでも、月日順でも、各自の興味や気分で。読みやすさ抜群です。朝でも、夜寝る前でも読めますね。
4.精神科医 和田秀樹 『人は「感情」から老化するー前頭葉の若さを保つ習慣術―』
(祥伝社 2007年8月第12刷 定価 本体740円+税別)
最初に「感情老化テスト」があり、私もやりました。私の「感情年齢」は何と38歳で安心し自信を持ちました。「脳年齢」より「感情年齢」がまず注意だ。40代から始まる「感情老化」がすべての元凶だという。最近、和田秀樹氏の著書を数冊読んでいたが、この本があるのを知って早速読みました。読んで良かったです。感情の老化を防ぐ習慣術も述べています。
5.脳科学者 中野信子 『フェイク』
(小学館 2022年6月 定価 本体800円+税別)
表紙に「ウソ、ニセに惑わされる人たちへ」と少し挑戦的言葉が書いてあります。フェイクニュース、マルチ商法、振り込め詐欺・・・日常生活において、ウソやニセにまつわる事件やエピソードは数知れず。私は騙されないと信じていても、気付いてみたら、相手の術中に陥ってしまうのはなぜ? 目次 1、何のために人はウソをつくのか 2、人はなぜ騙されるのか 3、社会性とウソ 4、生産的ウソの効用と活用法 5、悪意のウソ 6、歴史から見るフェイクの活用例 7、ウソとどう付き合い、生きていくのか
【2】 企業・大学・組織=ミドルレイヤー
~BI=ビジネスイノベーションが経済と価値を創出する
6.グロービス経営大学院著、グロービス経営大学院経営研究科研究科長 田久保善彦監修・執筆 『「人的ネットワーク」づくりの教科書』
(東洋経済新報社 2022年4月 定価 本体1,800円+税別)
人脈のつくり方、ビジネスへの活かし方を体系化した画期的教科書です。本書では、人的ネットワークを「1対1の人のつながり」と定義して、「コミュニティ」はネットワークの集合体と捉えています。7人の事例が紹介されており、多面的角度から人的ネットワークをイメージし易いので是非読んで欲しい。目次 1、人的ネットワークの意味、価値を知る 2、人的ネットワーク構築の要所を知る 3、自分を知る 4、行動する。
7.ソニーグループシニアアドバイザー、元ソニー社長・会長 平井一夫 『ソニー再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」』
(日経BP 2021年7月 定価 本体1,600円+税別)
超大企業も凋落するし、同時に改革も出来る。ある経営書によれば、世界主要エリアで一定のシェアを持つ日本のグローバル企業はソニーとキヤノン2社と言われていた。トヨタでさえ欧州が弱い。そのソニーの凋落と再生復活の真相を語る。平井氏はソニー含め3度の事業再生に携わって来た。再生の原動力は何か、まずは読んで現実に触れて下さい。歴史小説のような目次 プロローグ 約束 1、異邦人 2、プレイステーションとの出会い 3、「ソニーを潰す気か!」 4、嵐の中で 5、痛みを伴う改革 6、新たな息吹 エピローグ 卒業
8.経済・経営ジャーナリスト 桑原晃弥 『ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」 資産10兆円の投資家は世界をどう見ているのか』
(KADOKAWA 2021年12月 定価 本体1,500円+税別)
「世界一の投資家」「世界有数の資産家」「オマハの賢人」と呼ばれるウォーレン・バフェット80年の知恵・哲学が桑原氏によって分かり易く整理された必携書。90歳超えた今も、毎日膨大な資料を読み、調査研究を続けている。 序章 「オマハの賢人」バフェットはなぜ勝ち続けられるのか 1、バフェットの見方 2、バフェットの考え方 3、バフェットの守備範囲 4、バフェットのリスク対策 5、バフェットの習慣 6、バフェットのお金のルール 7、バフェットの時間管理 8、バフェットの自分磨き
9.立教大学経営学部教授、同学部長 石川 淳 『シェアド・リーダーシップ チーム全員の影響力が職場を強くする』
(中央経済社 2021年11月第1版12刷 定価 本体2,400円+税別)
著者は、本書のメインテーマであるシェアド・リーダーシップとは、「職場の誰もが、必要なときに必要なシーダーシップを発揮している状態のこと」と述べる。これはどの職場でも見られる現象なのは私も含めて体験的には分っていた。但し、リーダーシップ論としては新鮮に映る。私は極めて好意的に読みました。一般的リーダーシップ論への新しい貢献と思います。1、時と場所によってリーダーシップは異なる 2、リーダーシップの有効性は、その人の性格と能力に依存する 3、リーダーシップに必要なのは、ポジションに依存しないこと。まず、読んで考えてみてください。
10.経営・マーケティングコンサルタント、作家 神田昌典 『未来実現マーケティング 人生と社会の変革を加速する35の技術』
(PHP研究所 2022年5月 定価 本体1,020円+税別)
神田氏は著名なマーケティングコンサルタント・作家である。本のタイトルにあるマーケティング技術35をまず読んで欲しい(21ページ)。マーケティングを広告宣伝と狭く理解している方は戸惑うだろう。CMOというマーケティングポストがあるが、CDO=事業開発責任者という言葉がふさわしい。要は、事業開発の仕組みづくりがマーケティングなのである。神田氏は“世直し”言葉となったSDGsを媒介に35の技術を説明しています。奥が深く、テクニックも巧みである。ビジネスモデルキャンバスと二人組の法則があったが、私自身大切にしているので大変気に入った。特に後者は、ロケット工学の糸川博士が述べた組織論でペアこそ最強であると述べていた。マーケティングの意味を再構成する好著と思う。
【3】 日本・世界=マクロレイヤー
~内外の政治、経済、外交、軍事、技術を情報収集する
11.自民党外交部会長 参議院議員 佐藤正久 『中国に勝つための地政学と地経学 日本人に隠されている真のチャイナクライシス』
(徳間書店 2022年2月 定価1、500円+税別)
極めて冷静に、事実に基づく総合的地政学と地経学の総合書である。2022年は防衛基本戦略を5年毎に改訂する時期。政府に先立って与党自民党の外交部会長が公刊した。野党も批判だけでなく建設的な日本防衛戦略の出版を期待したい。執筆直後にロシアによるウクライナ侵略があり、中露北の日本周辺での軍事活動が活発化している今、必読書の一つである。「国民が知るべき中国の脅威を発信することが今の私の最大の務めだ。」と危機感が強い。目次 1、地政学から見た日本列島の価値 2、アフガニスタンを見れば明日の日本がわかる 3、「345+11」中国多重包囲網 4、バイデン政権の憂鬱 5、日本人が知らない中国の軍事技術の脅威 6、地経学を利用した日本の「シン」防衛構想
12.元インターポール・サイバーセキュリティ総局長 中谷 昇 『超入門 デジタルセキュリティ』
(講談社 2022年1月 定価 本体900円+税別)
インターポール(国際刑事警察機構)はご存じと思うが、その元サイバー犯罪対策責任者が出版した。今、世界では「21世紀の石油」といわれる「データ」が国際情勢の鍵になっている。だが、日本人はまだそれに気がついていない。データは漏洩ではなく「盗まれている」現実を知らねばならない。第1章 デジタルセキュリティ 何が問題なのか 第2章 世界のデジタルデータ勢力図と日本 第3章 日本に迫るサーバー危機 デジタルセキュリティの現在地 第4章 私と「デジタルセキュリティ」 ハイテクニカル・デジタルデータ覇権
13.数量経済学者、嘉悦大学ビジネス創造学部教授、(株)政策工房代表取締役会長 高橋洋一 『財務省、偽りの代償 国家財政は破綻しない』
(扶桑社 2022年5月 定価 本体860円+税別)
財務省官僚出身の高橋洋一氏が財務省の偽りを論駁している。「国家財政は破綻しない」
それなのに、なぜ「日本は破綻する」と言い続けるのか?その裏側を暴く。序章 矢野論文の評価はゼロ点 第1章 岸田政権下でのZの暗躍 第2章 ケチでがめつい天下り集団 第3章 省益を優先する功罪 第4章 財政破綻を煽る手口 第5章 Zを解体する方法
14.作家 橘 玲 『上級国民/下級国民』
(小学館 2019年8月 定価 本体820円+税別)
センセーショナルなタイトルだが、読むとやっぱり本当だったと気付く。ベスセラー『言ってはいけない』の著者が世界レベルで急速に進行する分断の正体を分析した著書です。
1、「下級国民」の誕生~バブル崩壊後の労働市場の変化 2、「モテ」と「非モテ」の分断~「上級国民/下級国民」が「モテ/非モテ」に繋がる事由 3、世界を揺るがす「上級国民/下級国民」の分断~「白人」や「男」は先進国の主流とみなされていたが、その中核に深い亀裂が起きている
15.国際政治学者 グレンコ・アンドリー 『NATOの教訓 世界最強の軍事同盟と日本が手をむすんだら』
(PHP研究所 2021年5月 定価 本体900円+税別)
NATOは、加盟国の本土が70年間、武力攻撃を受けたことがない。著者は、なぜこの本を書いたのかをまえがきに記しています。『本書のメインテーマはNATOですが、NATOの歴史や詳しい仕組みについては全体像が分かる程度にとどめ、具体例を詳述します。なぜならこの本は教科書ではなく、実際に日本人の「国防」に役立つことを目指すからです。・・・重要なのは「今の日本が直面している問題の多くは、すでに他国が経験している」ということです。』また、「アメリカが日本を守る気になるにはどうすればいのか」という点が大事だが抜けた議論をしていると指摘しています。
以上
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佐々木 昭美(ささき あきよし)
取締役会長 総合研究所所長
経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)
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