2022/07/14 【FC】「FC本部の事業計画」
こんにちは。BIPの高木 仁(たかぎ ひとし)です。
「FC本部は、加盟者から搾取している」などと言われることがありますが、本当にFC本部は簡単に儲かるのでしょうか?
以前のコラムで、
・加盟金の設定方法(https://www.bi-p.co.jp/column/10614/)
・ロイヤルティの設定方法(https://www.bi-p.co.jp/column/10798/)
について解説しましたが、今回は、FC本部の事業計画について解説します。
■FC事業としてのビジネスプランを立てよう
ビジネスプランニングとは、企業を取り巻く環境の変化に対応し勝ち続けるために、顧客満足を追求し、社会経済的価値を創造し、その結果として企業を持続的に成長させるための一連の活動のことです。
FC本部を立ち上げるということは、「FC事業」という新しい事業を始めるということです。事業計画を立てる必要があるのか、どの程度のレベルで立てるのかは、その会社の状況(上場しているかどうかなど)によって異なりますが、FC事業としての最低限の事業計画やビジネスシナリオは立てておくべきでしょう。
参考:ビジネスプランニング・ビジネスシナリオについて(https://www.bi-p.co.jp/consul/bm/)
■FC事業の数値計画
事業計画のフォーマットは自分たちの使いやすいもので構いません。まずは、具体的な数値を設定してみましょう。以下が数値設定のフォーマット例です。
計画期間としては、業態によって異なりますが3~5年程度で考えるとよいでしょう。
まずは、目標とするオーナー数と開業店舗数を設定します。初年度は、FC本部としての経験も浅く体制も不十分なことから、簡単に加盟者を増やすことはできないでしょう。数年経過すると体制もでき始め、また、一人のオーナーが複数店舗を出店できるようになると出店の効率も上がってきて店舗数を大きく増加できる可能性が出てきます。当然、加盟者にしっかりと利益が出ていることが大前提です。
FC本部の収益源としては、FC加盟時のイニシャルフィーとして、加盟金、保証金(預り金)、開業前研修費、店舗設計・工事費のマージンなどがあります。
加盟店が開業した後のランニングフィーとしては、ロイヤルティ、ITシステム利用料、商品マージンなどがあります。加盟者が1年のうちのどの月に加盟したかによって、その年に受け取れるロイヤルティの総額は変わります(1月加盟は、ほぼ1年分が受け取れるが、12月加盟は基本ゼロ)。計画数値を設定する際には、どの月に加盟するかを想定することはできませんので、1年目の加盟者から受け取れる金額は半額で設定します。
例えば、ロイヤルティを5万円/月と設定した場合、1加盟者から受け取れる年間のロイヤルティは60万円(5万円×12か月)ですが、半分の30万円とします。1年目5加盟、2年目10加盟、3年目20加盟、4年目40加盟、5年目60加盟があった場合、以下のようなシミュレーションになります。
■FC本部は儲かるのか?
これらのシミュレーションをしてみると「思っていたよりもFC本部は儲からないかも」ということが見えてくることがあります。
業態やFCパッケージの設計によって変わりますが、30店舗くらいのFC加盟店が出店できて、ようやく儲かってきたなと実感できるレベルでしょうか。
そうなると、FC本部の立ち上げを考える方の頭に思い浮かぶことが、コストをかけずに本部収入を得られないか?具体的な例としては、「SV(経営指導)の回数を減らす(又はなくす)」という方法です(SV活動などによってかかる人件費や関連費用を抑える)。
しかし、これは大変危険な考え方です。加盟者の支援が十分にできない状態のまま店舗数だけを増やしていくと、店舗運営の品質が十分に保てず、加盟者の業績が落ちてくる可能性が上がりますし、チェーン全体のブランドイメージにつながります。
FCビジネスは、加盟者に十分な利益が出てこそ成り立つものです。加盟者が利益を上げられないようでは、FC展開をする意味はありません。
この次は、「事業計画における本部組織体制の検討」「FC本部の立ち上げにかかるコスト」などについて解説します。
高木 仁(たかぎ ひとし)
コンサルタント(IT企業 企画提案力強化・人材育成、フランチャイズ本部構築)
私は、フランチャイズコンサルを専門領域の一つにしており、フランチャイズ本部の構築や本部機能の強化などの支援をしています。このコラムでは、フランチャイズビジネスの情報や、フランチャイズ事業化を検討中の皆様に役立つ情報を中心に発信していきます。
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