INDEX 

2021/09/15 【FC】「FCとM&A」

bn_franchise

こんにちは。BIPの高木 仁(たかぎ ひとし)です。

日本国内におけるM&Aが活性化しています。いわゆる事業承継問題の解決の手段としてだけではなく、中小企業においても、新事業展開や商圏拡大等を目的として他社の買収を選択することが増えています。

これはフランチャイズ業界においても同様の状況になっています。

社長の高齢化と後継者不在の問題

日本国内の中小企業では、社長の高齢化と後継者不在が主な原因となり、休廃業や解散は年々増加しています。

「全国社長の年齢調査(2019年12月31日時点)|東京商工リサーチ」によると、全国社長の平均年齢は62.16歳、社長の年齢分布は、70代以上が構成比で30.37%となっています。さらに、社長の年齢別の企業業績は、「増収」は30代以下で58.6%と最も大きく、年齢と反比例して減少していき、70代以上では42.5%にとどまっています。

日本人の健康寿命は徐々に伸びてはきているものの、男性は約70歳、女性は約73歳となっています。日本の社長の最多レンジが70代以上ということを考えると、多くの経営者にとって、事業承継が差し迫った問題であることを意味しています。事業承継先として親族内承継は減少し、半分以上の会社が外部に引き継がれており、親族外承継という選択肢は当たり前になってきています。

 

一方、新しい事業に取り組む企業も多くあります。しかし、特に中小企業においては、経営資源の不足から簡単には進んではいないと思われます。多様な働き方が広まる中で個人の起業も進んでいますが成功は容易ではありません。

このような背景のもと、M&Aによる「引き継ぐ企業=親族外への承継」と「引き継がれる企業や個人=新規事業・起業への取り組み」のマッチングが増えています。

成長しつづけるFC業界 しかし課題も

FC業界における現在の売上規模は26兆円を超えており、40年以上にわたり成長を続けています。FCビジネスでは、個人の起業だけでなく、法人加盟による新規事業の展開で多くの成果が出ています。FCビジネスは地域社会や経済、消費者を支える重要な役割を果たしています。

しかし、コロナの影響もあり、FCチェーンが抱える課題が顕著になっています。

「コロナの影響を受けて新たな業態の開発が急務である」

「頻繁に変わる顧客ニーズに適応するために新業態の開発は必要だが思うように進んでいない」

「労働人口の減少から働き手の不足が発生している」

「オーナーの高齢化に伴い本部および加盟店の事業継続に不安が出てきている」

 

日本にFCビジネスがやってきて約50年、FC業界においても、加盟店オーナーの高齢化・事業承継が問題になっています。経営不振、高齢化等で加盟店の減少が見込まれる中、同一のチェーン内、あるいはチェーンを超えた加盟店の譲渡・集約を行うことは必要不可欠です。

既に米国などFC先進国では、本部や加盟者のM&Aは事業承継の一部としても活発に行われています。FC×M&Aを推進することは、この業界にとって、企業や個人にとって、そして我が国が抱える課題を解決するためにも重要な取り組みです。

FCビジネスにおいて様々な場面で活用されるM&A

M&Aは、事業承継の解決だけではなく、本部の成長戦略の実現に向けた取り組みとしても活用されています。

新業態の売却・買収

  • 大手チェーンの規模感では思うほど伸びなかった業態を中堅チェーンに売却。
  • 小規模チェーンが立ち上げた新業態であり成長性は見込めるが、自社だけでは更なる発展が難しいと判断。全国展開を目指すため大手チェーンの傘下に入ることを決断。
  • 直営店やの展開や商品・サービスの開発は自社で行うが、FC本部の権利のみを、実績のある大手チェーンに売却することで資本を持たず収益率を向上する。

財務バランス確保のための直営店・エリア権利売却

  • 不採算事業の売却により多額の利益の獲得、事業構造の根本的な改革を実現する。
  • 自社にとっては不要事業であっても、他社にとっては必要な事業であるケースも。
  • 売却利益に加えて、不採算事業に投入していた経営資源が余裕資産として残り、それらを主力事業に集中させる事で、全社的な収益構造の改善を図る。

既存(直営)店引継ぎ型のFC展開

  • すでに営業実績のある直営店をそのまま引き継いで独立・開業が出来るFC制度(直営店引継ぎ制度)の展開。
  • 加盟者は、物件探し・設備準備の時間が省略でき、安定したキャッシュフローも見込みやすい。開業後のトラブルも起きづらい。

本部・加盟店オーナーの事業承継

  • 本部や加盟店オーナーの高齢化、健康状態の不安に伴い、後継者不在を原因とした廃業を回避するための親族外承継(M&A)の準備。
  • オーナーの急死に伴う、事業継続の為の支援と事業引継ぎ(売却)先のリサーチ。

エリア展開戦略(拡大・縮小)

  • チェーン展開できていないエリアへ拡大展開するため、そのエリアを得意とする中堅・小規模チェーンを買収して速やかな展開を図る。
  • ドミナントエリアから離れた直営店を、同エリアで他業態のチェーン運営で実績のある他社に売却することで経営効率を上げる。

今やM&AはFCチェーンにとって有効な経営手段の一つとなっており、事業承継問題の解決にとどまらず、成長戦略の実現に向けてM&Aを利用する動きが当たり前になっています。

>>高木コンサルタントへのご相談はこちら


thumbnail_takagi高木 仁(たかぎ ひとし)

コンサルタント(IT企業 企画提案力強化・人材育成、フランチャイズ本部構築)

私は、フランチャイズコンサルを専門領域の一つにしており、フランチャイズ本部の構築や本部機能の強化などの支援をしています。このコラムでは、フランチャイズビジネスの情報や、フランチャイズ事業化を検討中の皆様に役立つ情報を中心に発信していきます。

>>プロフィールはこちら

 高木コンサルタントの書籍 

  

●『フランチャイズ本部構築ガイドブック』(共著)同友館
●『よくわかる!フランチャイズ入門』(共著)同友館
●『フランチャイズマニュアル作成ガイド』(共著)同友館

※読者の皆様へ、より便利に参考情報・参考書籍をご紹介するために、Amazon.co.jpアソシエイト・プログラムを採用しています。

◆ご質問・お問い合わせはこちらから
専門コンサルタントへの、ご質問、ご相談等、お気軽にお問い合わせ下さい。

BIPコンサルティング無料相談会のご案内 IT系企業/フランチャイズビジネス/M&A/組織・人事/小売業/建設業関連企業

各分野プロコンサルタントとの無料相談会を実施しています。
お気軽にお申し込みください。

受付中の無料相談会はこちら

執筆者別

トップへ

サービスのご案内

無料相談会

お問い合わせ

コラム「ミニ講座」

BIエッセイ

特集コラム

採用情報

無料メルマガ

無料メルマガ
BIPニュース
配信中!

BIPからのお知らせ、ビジネスに役立つ情報、佐々木昭美のBIエッセイ要約等、月2回配信!

メールアドレス:

東北復興支援

ページ上部へ戻る
Top