佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション
2020/12/09 283号 恒例!年末年始にお薦めの本20冊
今年もBIエッセイをご愛読頂き、本当にありがとうございます。恒例の「年末年始にお薦めの本20冊」をお届けします。年末年始は、本を読む時間のある時期の一つですね。
今年後半に読んだ本を中心にお薦めの本20冊を紹介します。
皆様の公私共に明るい未来に役立てば幸いです。
厳寒の季節、お身体を大切にして、ご家族揃って良き新年をお迎え下さい。
(ご参考まで。過去の「お薦めの本」は こちら からご覧頂けます。)
2020年は、武漢コロナウイルスが世界へのパンデミックとなり、国境封鎖、移動制限、事業停止などによって健康・生命、社会経済への未曾有の打撃を与えた歴史的年として記憶されると思います。その対策には、特に主要TV・新聞に報道されない真実、1次情報・2次情報の発掘・収集の重要さを痛感した1年でもありました。メディアリテラシーは「生き抜く力」に必須と考え、一緒に読書、情報交換、意見交換しあいましょう。そして、緊急対策と同時に、個人、企業、日本・世界の未来への構想をしっかりと考える時期ですね。「お薦めの本」が、皆様の人生と仕事の調査・研究・企画・実践、なによりも読む楽しみに役立てば幸いです。今回は、絶対お薦めの本を必読書と強調させて頂きました。
1、(株)感性リサーチ代表・人工知能研究者・脳科学コメンテーター 黒川伊保子 『女と男はすれ違う!』
(ポプラ新書 2020年9月 定価 本体860円+税別)
必読書!「妻のトリセツ」「夫のトリセツ」「娘のトリセツ」等著者累計120万部超える人気の脳科学研究者で、私も啓発され続けています。「この本は女性のために書いた、女性脳を最大限生かすためのトリセツである。しかし、男性が読めば、女性脳のありようがつぶさに分かる本になっている。・・・女であれ、男であれ、女性脳を知っておくのは、人生のアドバンテージ。」女は面で、男は点で世の中を見る。女は「共感」のために会話する。
2、東日本国際大学教授・脳科学者 中野信子、東京藝術大学 大学美術館准教授 熊澤弘 『脳から見たミュージアム アートは人を耕す』
(講談社現代新書 2020年10月 定価 本体860円+税別)
必読書!私の趣味は日本・世界の美術館巡り。数年前に国際浮世絵学会正会員に入れてもらった。美術の素人で鑑賞しながら旅行を楽しむと言っても良い。中野教授は人気の脳科学者で、私は脳科学にも興味がありタイトルに惹かれ読んだ。更に驚いたのが、今東京藝術大学大学院で国際藝術創造研究科「博士課程」で、主にキュレーションを学んでいる。『美』は脳のどこで認知されるのか?ホモ・サピエンスは『美』を必要とした。もちろん、美術鑑賞へのアドバイスもたっぷりです。熊澤准教授は、日本は世界に類を見ないミュージアム大国と述べる。海外旅行には体力不足を感じる世代にも楽しめる日本に生まれた幸せを再認識した。
3、台湾デジタル担当政務委員(閣僚) オードリー・タン 『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』
(プレジデント社 2020年12月 定価1,800円+税別)
必読書!新型コロナウイルスの封じ込めに成功した台湾。その中心的役割を担い、今世界が注目するテクノロジー界の異才が、コロナ対策の成功の秘密、デジタルと民主主義、デジタルと教育、AIと社会・イノベーション、そして日本へのメッセージを語っています。民主主義社会で国民と協力しながらテクノロジーをツールとして活用する実例が身近にあります。
4、京都大学大学院工学研究科教授 藤井聡、京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授 宮沢孝幸 編著 『公衆免疫強靭化論~菅政権への提案~』
(啓文社書房 2020年11月 定価1,800円+税別)
必読書!京都大学レジリエンス実践ユニットの研究結果と公共政策への提言の書。私は、「公衆免疫」という概念に初めて接して極めて優れた内容に驚きました。特に宮沢准教授は獣医学が専門で、新型コロナウイルスは人獣共通ウイルス感染症で、コーモリ由来のコロナウイルスと言う。人を対象とする医師のウイルスの教科書を見ると、少しのウイルスのことしか書かれていない。獣医の教科書では数百のウイルスを勉強する。もっと獣医の知識を生かすべきと思った。3つのレベルの公衆免疫力の強靭化~①生得免疫②獲得免疫③社会免疫のサイエンスと公共政策への提案で日本を救う。
5、(株)シナ・コーポレーション代表取締役・元早稲田大学ビジネススクール教授 遠藤功 『コロナ後に生き残る会社 食える仕事 稼げる働き方』
(東洋経済新報社 定価 本体1,400円+税別)
必読書!欧州系コンサルティング会社ローランド・ベルガー日本法人元会長。コロナ禍で、会社は、仕事は、働き方は、どうなるのか?と心配な方が多いと思います。コロナ後の最強の処方箋が一冊で分かる貴重な本です。目次を紹介します。第1章コロナがもたらす「本質的変化」とは何か 第2章日本企業は何をどう変えるべきか 第3章「仕事」はどのように変わるのか 第4章「働き方」はどのように変わるのか
6、北里大学特別栄誉教授 大村智 『この苦難をどう乗り越えるのか』
(致知出版社 『致知12月号』2020年11月 定価 本体1,000円+税別)
ノーベル生理学・医学賞受賞者である大村智氏のインタビュー記事です。私は、複数の会社の取締役としての責任上、まず新型コロナウイルスの特徴と基本的対処方策を情報収集する1年でもありました。主要なTV・新聞報道に頼っていただけでは真実は不詳と痛感し、雑誌、SNS、本を沢山読み情報収集していますが、参考になる記事に出会いました。現段階で判明している新型コロナウイルスの特徴を述べ、「恐れない」「油断しない」マインドと謙虚の大切さを助言しています。
▼致知出版社「12 月号ピックアップ記事 /インタビューこの苦難をどう乗り越えるか」
https://www.chichi.co.jp/info/chichi/pickup_article/2020/12_omura_satoshi/
7、東洋大学教授・慶應義塾大学名誉教授 竹中平蔵 『ポストコロナの「日本改造計画」 デジタル資本主義で強者となるビジョン』
(PHP研究所 2020年8月 定価 本体1,250円+税別)
竹中教授の本書は、分析だけでなく提案がある。当否の意見如何にかかわらず議論を巻き起こす役割がある。パンデミックの歴史的教訓は、第1はパンデミック後に従来とは大きく異なる社会となる、第2は、その社会の持つ弱点が露呈する。医療崩壊論の裏側は、医師養成を禁止してきた医療利権により医師不足。ベッド数は世界一で長期入院と差額ベッド収入が依存の病院。一方ICUは人口比米国、ドイツの20%台レベル。オンライン教育・医療も当事者が反対の日本。ポストコロナで四つの改革プラン提案。「ポストコロナ構想会議」を設置し、日本の経済と企業がアメリカ・中国と互角に闘うための6つの提言もある。
8、日経BP編 『日経テクノロジー展望 新型コロナに立ち向かう100の技術』
(日経BP 2020年10月 第1版 定価2,400円+税別)
世界はテクノロジーで繋がっている。危機の時、人々は技術で立ち向かう。人類は、ワクチン、治療薬、環境技術などで感染症に勝ってきた。本書は、現在および5年後に重要な技術、6分野100の技術を展望。医療~抗ウイルス薬、重症化改善薬、ワクチン、オンライン医療、インシリコ創薬、医療・介護現場ロボット等。生活~リモート観戦、バーチャル一体感、非接触レストラン、VR住宅展示場等。仕事~オンライン教育、映像を使った遠隔検査、フォトグラメトリー、議事録自動生成、HRテック等。移動~接触確認アプリ、来館者システム、IoT宅配BOX、自動運転システム等。場所~深紫外線照射、抗ウイルスオフィス、ABW、都市OS等。基盤~五感センサー、5G・6G、ゼロトラストネットワーク、DAC、人工光合成等。
9、作家・ジャーナリスト・人口減少対策総合研究所理事長 『未来を見る力 人口減少に負けない思考法』
(PHP研究所 2020年9月 定価 本体880円+税別)
コロナ禍で「人口減少」という国難を忘れずに立ち向かう必要を提起している。ベストセラー『未来の年表』の著者が示す希望への指針の書。2020年から2040年の間に、人口は1525万人減る。マーケットは年々縮小し、企業も自治体も人材不足になり、一人暮らしの高齢者が激増する。日本人が初めて体験する事態が起きる。マーケット、地域、雇用、生活への見る眼と備えを考える好著です。
10、産経新聞ワシントン駐在客員特派員・麗沢澤大学特別教授 古森義久、作家・ジャーナリスト 門田隆将 『米中“文明の衝突”崖っ淵に立つ日本の決断』
(PHP研究所 2020年12月 定価1,630円+税別)
2020年は、戦後の国際秩序の上でも特筆する年となったと言う。稀有のジャーナリストが鮮明になった中国、米国という日本の運命を左右する国際関係の現実を対話する。そして、日本の政治、経済、メディアの現状とタブーに斬りこむ。日本は「内なる敵」の利益のために、世界から侮辱される道を歩むのか?また、日本の政治家・経済人は自由VS独裁どちらを選ぶのか?と問うています。逃げずにしっかりと考えるテーマですね。
11、京都大学大学院総合生存学館特任准教授・ハーバード大学客員研究員 山本康久 『2025年を制覇する破壊的企業』
(SBクリエティブ(株) 2020年11月 定価 本体900円+税別)
5年度の未来は11社が決定づけると、刺激的というか、挑発するタイトルの本です。Google、Amazon、Facebook、Apple、マイクロソフト、ネットフリックス、テスラ、クラウドストライク、ロビンフッド、インポッシブル・フーズ、ショッピファイという、2025年の世界に影響力を持つ世界最先端11社を分析することで、5年後を読み解く未来予測書です。各社はコロナで開発を加速させている。業界問わず注目!
12、牛島総合法律事務所主宰、NPO日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク理事長 牛島信 『身捨つるほどの祖国はありや 日本と企業』
(幻冬舎 2020年11月 定価1,800円+税別)
読み始めて引き込まれた。弊社BIP(株)は、上場企業の「社外取締役・コーポレートガバナンス研究会」で毎月調査研究と上場企業へのアドバイスを生業にしています。上場企業Gへの社外取締役就任もあります。私自身、NPO日本コーポレート・ガバナンス・ネットワークの会員であり、著者はその理事長です。牛島氏の法律系雑誌への寄稿論集です。コーポレート・ガバナンスを巡る話題だけでなく、日本と世界、企業と個人、お金と倫理等博識な読書家が語る問いは深い。日本への愛と未来への思いを一緒に考える良い本です。
13、嘉悦大学教授・(株)政策工房代表取締役会長 高橋洋一、(株)政策工房代表取締役社長 原英史 『国家の怠慢』
(新潮社 2020年8月 定価 本体740円+税別)
「コロナ禍で見えた日本の弱点を統治機構のエキスパートが徹底分析」という帯タイトルに惹かれ読みました。高橋氏は財務省、原氏は経済産業省のOBです。結論を急ぐ。「すべては、政治・行政・マスコミの不作為がもたらした怠慢のツケである。オンラインの診療、授業は機能せず、政府の給付金さえスムーズに届かない。新型コロナウイルスは、日本の社会システムの不備を残酷なまでに炙りだした。」なぜ役人は行革を嫌がるのか?マスコミ報道に未来はあるのか?報道されない真実に驚愕する。
14、三菱UFJリサーチ&コンサルティング編 『2021年 日本はこうなる』
(東洋経済新報社 2020年11月 定価 本体1,600円+税別)
毎年出版されていても今まで紹介していなかったが、来年に向けてコロナ禍でWITHコロナ、アフターコロナのテーマはもちろん、報道されない重要なテーマの基礎情報として参考になります。2021年を理解するキーワードを国際社会・海外ビジネス、産業、企業経営、働く場、社会・文化、少子化・高齢化、地域、地球環境・エネルギーの8分野74のキーワードを解説しています。
15、carta代表 藤寺郁光 『「鬼滅の刃」の折れない心をつくる言葉』
(あさ出版 2020年8月 定価 本体1,300円+税別)
人気漫画の名言がこの一冊にある。テレビアニメ化によりブームに火がつき、今年最大のヒットとなった「鬼滅の刃」のコミックシリーズ本、映画人気が凄い。世代を超える魅力の源を知りたくて読みました。『本書は、「鬼滅の刃」主人公の炭治郎少年の「強さ」と「優しさ」で困難を乗り越える言葉はもちろんのこと、それぞれのキャラクターが語る言葉からその意味を掘り下げ、折れない心をつくるヒントを次の5つのテーマにそって考察していきます。①感情を動かす②自分を信じる③あきらめない④強くなる⑤仲間を想う』
16、スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長 星友啓 『スタンフォード式生き抜く力』
(ダイヤモンド社 2020年9月 定価 本体1,600円+税別)
スタンフォード大学は、1990年代前半に前職ネットワンシステムズ(略称NOS)時代に私が社員数名を1年単位で実地研修に派遣する契約をした思い出の大学です。当時、若い女性の幹部は心よく受け入れてくれました。シリコンバレーは極めて狭い地域に集積した人材の人間関係で成り立っていることを知る良書です。日本人校長も驚きですね。「おもいやりセンター」はダライ・ラマの寄付で設立されました。利他の「コラボ力」で最高の人間関係をつくる「共感力」が「生き抜く力」。イメージが変わり、驚くでしょう。読んでみてください。
17、あまねキャリア工房代表・作家・業務プロセス/オフィスコミュニケーション改善士 沢渡あまね 『職場の科学 日本マイクロソフト働き方改革推進チーム×業務改善士が読み解く「成果が上がる働き方」』
(文藝春秋 2020年8月 定価 本体1,800円+税別)
『仕事ごっこ』『職場の問題地図』『マネージャーの問題地図』など働き方、業務改善関連の著書多数の沢渡氏。職場のデータを活用した日本マイクロソフト(略称MS)の働き方改革について「職場の科学」として編纂。MSの事例が各社の正解とは限らないと明言。各社毎に総合データを活用して各社らしい「職場の科学」を期待する。
18、日経トレンディ 『永守重信の人材革命 実践力人材を育てる』
(日経BP 2020年9月 定価 本体1,700+税別)
「人材がいない。このままでは日本はダメになる」という危機感。日本電産会長の永守資重信氏が挑む大学改革の全貌を日経トレンディが取材した。2019年4月より京都学園大学が「京都先端科学大学」に変わった。理事長となり約130億円の私財を投入して実践力ある人材を育てる世界トップクラスの大学を目指す。50年にわたる人材育成から「『IQの高さ=尊敬』の時代はとうに終わっている。頭が良いから社会で成功するとは限らない」。大学も社会に必要な人材を育成すべきと語る。その実相を知って欲しい。
19、ハーバード・ビジネス・レビュー編集部編 『ハーバード・ビジネス・レビューHR論文11 人材育成・人事の教科書』
(ダイヤモンド社 2020年8月 定価 本体1,800円+税別)
私は、教育MGR、人事統括、上場企業CHROを歴任した経験から、日本だけでなく海外論文も参考に読みます。単なる模倣はダメですが。HBR=ハーバード・ビジネス・レビュー編集部とダイヤモンド社が提携したDHBR=DIANONDハーバード・ビジネス・レビュー誌に掲載された論文から「人材を再開発するうえで必読」として厳選した11本の論文を集めたものです。「CHROは経営者たれ」「人材は潜在能力で見極める」「社員の成長につながる人事評価システムをつくる」等。人事戦略は経営戦略の時代になった日本が世界に負けない為に参考に学ぶ意味があると思います。
20、漫画家・文筆家 ヤマザキマリ 『たちどまって考える』
(中公新書ラクレ 2020年9月 定価840円+税別)
私は本書を読み、パンデミックに遭って文化により対応がかなり異なることを具体的に知りました。ヤマザキマリさんは、今イタリア在住ですが、日本とイタリアのほか、ご主人の仕事の関係でシリア、ポルトガル、アメリカのシカゴと複数の国で生活した経験があるそうです。香港やブラジル、キューバに長く滞在したことも。旅を封じられて「立ち止まった私と見えてきた世界」を具体的に記しています。イタリアの事情は詳細です。
以上
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佐々木 昭美(ささき あきよし)
取締役会長 総合研究所所長
経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)
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