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2020/11/11 【FC】「FC本部構築:FC契約書作成の留意点」

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こんにちは。BIPの高木 仁(たかぎ ひとし)です。

以前のコラムでは加盟金やロイヤルティの設定方法について解説しました。
加盟金はいくらにすべきか?」(https://www.bi-p.co.jp/column/10614/
ロイヤルティはいくらにすべきか?」(https://www.bi-p.co.jp/column/10798/

今回は、FC契約書の作成の留意点について解説します。

FC契約書に定める本部と加盟者の権利・義務

FC契約書には、加盟時に支払う加盟金や開業研修費、継続的に支払うロイヤルティなどの金銭面を含め、本部と加盟者間の権利・義務関係を体系的・包括的に定める必要があります。本部と加盟者間の権利・義務関係の概略は以下のようになります。

●  本部は、加盟者に対してFCパッケージを提供する義務がある

●  加盟者は、そのFCパッケージを使用する権利がある

●  加盟者は、FCパッケージの対価として本部に対して加盟金やロイヤルティを支払う義務がある

●  本部は、チェーン全体の水準や統一性を保つために、加盟者に対して店舗運営等についての一定の指示、指導を行う権利がある

●  加盟者は、その指示、指導に従う義務がある

実際には開業準備~運営~契約終了という流れの中で、様々な権利と義務が入り組んでいます。

FC契約書の作成の留意点

FC契約書の作成では、ビジネスモデルやFCパッケージの内容を契約書に落とし込んでいく作業が必要であり、本部の理念やビジョン、事業コンセプト、ビジネスモデル等に合わせ、個別具体的に進める必要があります。

契約書は、加盟者が加盟して契約が終了するまでの一連の流れに沿って作成していくと分かりやすく、抜け漏れがなくなります。ビジネスモデルの特徴から始まって、基本的な権利・義務の確認、重要な金銭関連の規定、開業準備と許可、店舗の運営方法、経営指導・研修、禁止事項と違約金、契約期間・終了、一般的事項というイメージです。

FC契約書を作成する際には、本部の利益ばかりを考えていては、チェーンは成り立ちません。加盟者にとって加盟すること・加盟し続けることのメリットがあるように考える必要があります。

その一方で、本部を守る手段が網羅されているように作成することも大事です。「本部を守り過ぎると独占禁止法に反するのではないか?」と心配する人がいますが、本部がチェーン全体をコントロールする力を十分に持っていなければ、秩序が保てずチェーンとして成り立ちませんし、その結果として加盟者の利益も維持できません。

ただし、加盟者との良好な関係があり、加盟者の理解を得られていることが前提となります。本部としては加盟前後の十分な説明と理論武装が必要となります。そして、契約書に書いてあるからと言って、一方的な押し付けをするだけではチェーンは破綻します。契約書が全てではありません。日ごろの加盟店との関係が大事です。SVによる加盟者との適切なコミュニケーション、加盟者の声を吸い上げる制度(加盟者会の運営など)の構築などとセットで考えましょう。

契約書は弁護士に任せれば安心なのか?

時々、他社の契約書やWEB上にアップされている契約書の雛形を、少し変えただけで対応している本部が見受けられますが、その内容が実態にあっていないと契約書としての拘束力が弱まります(例えば、「・・・については○○規約に委ねる」と記述があるのに規約が用意されていないなど)。

また、契約書の作成は弁護士に任せれば良いと考える企業もありますが、基本的に弁護士はビジネスのプロではありません。そのため、弁護士へ依頼する場合には、どのようなビジネスをやろうとしており、加盟者とどのような約束事をしておきたいのかというビジネスモデルの全体像を説明し、その上で法的に問題ない契約書を作ってもらうことになります。

日本にはFCの規制を直接の目的とした法律はなく、本部と加盟者の間で起きる訴訟問題は、過去のFC関連の判例がもとになります。弁護士へ依頼する場合には、この判例を熟知している弁護士がベストです(そのような弁護士は非常に少ないですが)。

法定開示書面(情報開示書面)について

中小小売商業振興法では、小売業、飲食業のFC本部に対して法定開示書面の準備と交付を義務付けています。また、フランチャイズ・ガイドラインはサービス業のFCも含めて、全ての本部に情報開示を求めています。

法定開示書面の作成にあたっては、日本フランチャイズチェーン協会が運営する「JFAフランチャイズガイドhttp://fc-g.jfa-fc.or.jp/)」が参考になります。法定開示書面の作成ガイドラインとサンプルが「JFA開示自主基準についてhttps://www.jfa-fc.or.jp/particle/41.html)」に掲載されています。

また、日本フランチャイズチェーン協会の正会員を中心とした法定開示書面が「情報開示書面http://fc-g.jfa-fc.or.jp/article/article_36.html)」に掲載されていますので参考にして下さい。

参考書籍:フランチャイズ研究会 著「フランチャイズ本部構築ガイドブック」(同友館)

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thumbnail_takagi高木 仁(たかぎ ひとし)

コンサルタント(IT企業 企画提案力強化・人材育成、フランチャイズ本部構築)

私は、フランチャイズコンサルを専門領域の一つにしており、フランチャイズ本部の構築や本部機能の強化などの支援をしています。このコラムでは、フランチャイズビジネスの情報や、フランチャイズ事業化を検討中の皆様に役立つ情報を中心に発信していきます。

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 高木コンサルタントの書籍 

  

●『フランチャイズ本部構築ガイドブック』(共著)同友館
●『よくわかる!フランチャイズ入門』(共著)同友館
●『フランチャイズマニュアル作成ガイド』(共著)同友館

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