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2020/05/14 【FC】「FC本部構築:ロイヤルティはいくらにすべきか?」

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こんにちは。BIPの高木 仁(たかぎ ひとし)です。

前回のコラムでは「加盟金はいくらにすべきか?(https://www.bi-p.co.jp/column/10614/)」について解説しました。
今回は「ロイヤルティ」について解説したいと思います。

ロイヤルティの性質

「加盟金」は、FC契約締結時(最初)に加盟者から本部に支払われる金銭でした。

「ロイヤルティ」は、FC契約締結後(実際には店舗オープン後)に、加盟者から本部に定期的に支払われる金銭のことであり、継続的に提供されるフランチャイズパッケージに対する対価です。

継続的に提供されるフランチャイズパッケージとは、「商標の継続的使用の許可」「継続的な経営・運営指導(SV)」などが含まれますが、それ以外にも、ITシステムの使用料や本部による宣伝広告費などが含まれる場合もあります。逆に、商標の継続的使用料だけを「のれん代」「看板料」と称して徴収する場合もあります。

このように、本部から加盟店に提供されるものは様々あり、これらの対価をまとめて「ロイヤルティ」として徴収することもあれば、それぞれを別々の科目として徴収することもあります。いずれにせよ、加盟店に対しては、毎月徴収される金銭が何の対価なのかをきちんと説明しておく必要があります。

ロイヤルティの算定方法

ロイヤルティの算定方法には、毎月決まった額を徴収する「定額方式」と、一定率を用いて算定する「定率方式」があります。また、これらを組み合わせた方式を採る場合もあります。

定額方式の場合には、“1席(坪)あたり●●万円”と店舗サイズに比例する形で設定する場合や、店舗サイズに関係なく“毎月●●万円”と一定額を設定する場合などがあります。定額方式を採る理由としては、本部が加盟店の毎月の売上を把握しきれない場合や、加盟店の業績アップに向けた経営指導を十分に行えない(行いたくない)場合です。また、加盟店のやる気を出させるために、がんばった分だけ収入(利益)が増えるように定額にする場合もあります。

一方、定率方式での算定方式を用いる本部が多く、加盟者の売上高の実績に一定率を乗じて算定しています。コンビニエンスストアの本部では、加盟者の粗利益の実績に対して一定率を乗じて算定しているケースが大半です。

小売業や飲食業では、本部から加盟店へ供給する商品や材料の卸価格にロイヤルティ相当の利益を含めることで、ロイヤルティ0円としている(形を変えてロイヤルティを徴収している)本部もあります。

ロイヤルティの算定方法の決定に当たっては、FCシステムの特性を考慮しましょう。POSや顧客の予約システムなど、共通のITシステムを導入しており、加盟者の売上を容易に把握できる業態であれば定率で良いですが、それが把握しにくい業態では定額や卸価格に含む形の方が管理はしやすくなります。

ロイヤルティの設定方法

具体的に、ロイヤルティはどれくらいにすればよいのか?ということになりますが、これは、その業種の粗利益率の多少によって設定額を検討することになります。

一般的に、粗利益率は、小売業<飲食業<サービス業、一方で、本部から加盟者に対する商品・材料の量(総額)は、小売業>飲食業>サービス業というケースが多くなります。この関係から、ロイヤルティの設定額・率としては、小売業<飲食業<サービス業という形になります。売上高に対する定率方式の場合、小売業で3~5%、飲食業で5~7%、サービス業で7~10%というイメージでしょうか。

 

ロイヤルティは、先に述べたように、「商標の継続的使用の許可」「継続的な経営・運営指導(SV)」という無形なものに対する対価であり、慎重な設定と、加盟店への十分な説明、開業後の適正な運営(指導や報告など)が不可欠なものとなります。

加盟店にとってロイヤルティは、FC契約が継続する限り支払い続けなければならないものであり、その設定は、加盟者にとって過度な負担にならない水準に設定する必要があります。一方、本部はFCシステムを維持していかなければならないため、ただ安く設定すればよいというものではありません。FCシステムを維持するために必要な金額の設定が必要になります。

また、複数出店を推奨するために、複数店を出店する加盟者に対しては、インセンティブを与えるような仕組みにすることも検討すると良いでしょう。2店舗目、3店舗目となると、本部と加盟店の関係性ができているうえ、本部としても運営コストを低く抑えることができるので、その利益を加盟者にも還元することができます。

 

以上のような考え方のもと、同業他社や類似する業種の状況を参考にしながら、加盟店の収支モデルの検討、本部の中期事業計画策定の中でシミュレーションを繰り返し、妥当な金額を設定することになります。

 

参考書籍:フランチャイズ研究会 著「フランチャイズ本部構築ガイドブック」(同友館)

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thumbnail_takagi高木 仁(たかぎ ひとし)

コンサルタント(IT企業 企画提案力強化・人材育成、フランチャイズ本部構築)

私は、フランチャイズコンサルを専門領域の一つにしており、フランチャイズ本部の構築や本部機能の強化などの支援をしています。このコラムでは、フランチャイズビジネスの情報や、フランチャイズ事業化を検討中の皆様に役立つ情報を中心に発信していきます。

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●『フランチャイズ本部構築ガイドブック』(共著)同友館
●『よくわかる!フランチャイズ入門』(共著)同友館
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