佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2012/04/09 桜という日本の美に元気をもらう。山種美術館『桜・さくら・SAKURA 2012 ―美術館でお花見!』

今年は冬の寒さが長く続き、東京でも最近になってようやく春らしい陽気になってきました。皆様お花見はされましたか? 今年は桜の開花も遅れていましたが、ようやく関東も見ごろを迎えています。過去のエッセイでもこの季節、桜の事を書いてきました。
・BIエッセイ 2008/03/17 昼休み皇居散歩の季節-桜の見頃
・BIエッセイ 2010/04/05 群集の桜笑顔に溢れる4月「新年度」スタートに寄せて

今年は生の桜鑑賞の前に、美術館でお花見をしてきました。山種美術館にて「桜」を題材にした日本画の特別展「桜・さくら・SAKURA 2012 -美術館でお花見!-」(3月31日~5月20日)が開催されています。

先週夕方、ご案内頂き内覧会に参加してきました。華やかな桜色の着物姿の山﨑 妙子館長が本展について詳しく解説してくれました。横山大観、奥村土牛、東山魁夷、速水御舟、橋本雅邦はじめ日本画家が勢揃いでどの作品も華やかで春らしく、見ていてこちらも活き活きと元気な気持ちになってきます。作品の一部ですが、公式画像と共にご紹介したいと思います。是非春のお出かけの一つに美術館でお花見!いかがでしょうか。
参考資料 参考資料
※美術館の許可を得て撮影しています。

(1)山種美術館と桜

山種美術館は、1998年から2009年まで仮移転の為、千鳥ヶ淵の近くに位置していました。千鳥ヶ淵と言えば東京の桜の名所ですね。私も何度も桜の時期に千鳥ヶ淵を訪れた事があります。 この時期、千鳥ヶ淵の桜と合わせて山種美術館では桜をテーマにした展覧会が企画されていました。2009年に広尾に移転後も毎年桜を描いた作品を鑑賞したいというお客様の声が多く寄せられていたそうで、今回移転後初めて待望の「桜」を題材とした企画展を開催する事となったそうです。季節に合ったテーマでの展示は、季節感を感じられていいですね。

「絢爛と咲き誇り、いさぎよく散る桜の花は、古来より人々の心をとらえ、日本を象徴する花として愛されてきました。古くは平安時代の貴族の調度や器物にその姿が登場し、やがて鎌倉期の鎧や甲冑に見られる桜文様が武士の精神を表現するものとして好まれるようになります。その後、室町期に多様化した桜のモチーフは、桃山時代以降の屏風や調度の意匠に取り入れられ、元禄期にはお花見に興じる人々の姿とともに表現されるようになります。こうして日本人の生活や歴史と密接にかかわってきた桜は、明治以降も愛され続け、現代にいたるまでさらに多くの画家たちを魅了しています。

本展では、平安以降詠まれてきた和歌や俳句、あるいは「歴史画を描いて居る思いがした」(奥村土牛)、「桜は匂うかのように浮ぶ」(東山魁夷)、「古代裂を見る様な微妙な色の階調」(奥田元宋)など画家たちが桜を表現した言葉を添えながら、桜の名作をご紹介いたします。なかでも、冨田溪仙の屏風《嵐山の春》(当館蔵)は修復を終え、15年ぶりの公開となります。」(参考資料1)

(2)桜・さくら・SAKURA 2012 -美術館でお花見!-

展示紹介にもある通り、本展では作品と共に平安以降詠まれてきた和歌や俳句、画家達の言葉が添えられ展示されている。様々な視点から桜を楽しむ事ができ、心から春を感じられたひと時となりました。

(第1章)名所の桜
桜の名所というと皆様はどこを思い浮かべますか。京都の桜は有名ですね。京都の桜を題材とした作品は多く展示されていました。

参考資料
作品画像:奥村土牛≪醍醐≫1972(昭和47)年 紙本・彩色 山種美術館蔵

参考資料
作品画像:奥村土牛≪吉野≫1977(昭和52)年 紙本・彩色 山種美術館蔵

参考資料
作品画像:東山魁夷≪春静≫1968(昭和43)年 紙本・彩色 山種美術館蔵

参考資料
作品画像:冨田溪仙≪嵐山の春≫1919(大正8)年頃 絹本・彩色 山種美術館蔵

参考資料
作品画像:小林古径≪弥勒≫1933(昭和8)年 絹本・彩色 山種美術館蔵

京都は日本で最初に花見が行われたところだという。京都御所の左近の桜、円山公園の祇園枝垂れ桜、清水寺の山桜・染井吉野、平安神宮の八重紅枝垂、「哲学の道」の桜並木、祇園白川のライトアップされた宵桜など。

東京千鳥ヶ淵を題材にした作品
参考資料
作品画像:石田武≪千鳥ヶ淵≫2005(平成17)年 紙本・彩色 山種美術館蔵

東北の風景を描いた作品も展示されています。
参考資料
作品画像:奥田元宋≪湖畔春燿≫1986(昭和61)年 絹本・彩色 山種美術館蔵
青森県 十和田湖の山桜を印象的に描いた作品。

参考資料
作品画像:橋本明治≪朝陽桜≫ 1970(昭和45)年 紙本・彩色 山種美術館蔵
福島県三春町にある滝桜(ベニシダレザクラ)を元に描かれた作品。滝桜は、日本五大桜または三大巨桜の1つであり、震災の後にも咲き昨年も話題になりましたね。1922年(大正11年)10月12日には2本の桜と共に国の天然記念物に指定されている。1645年三春藩主が封ぜられた時、すでにこの桜は大木だったと伝えられているそうです。樹齢は1000年以上との事。この作品からも迫力が伝わってくる。 

(第2章)桜を愛でる
第2章の展示では、桜を愛でる人々の様子を描いた作品が多く展示されていました。その中の1つをご紹介します。

参考資料
作品画像:橋本雅邦≪児島高徳≫ 1899(明治32)年頃 絹本・彩色 山種美術館蔵
『太平記』「備後三郎高徳事付呉越軍事」の一場面を描いた作品。淡い桜色が印象的に表現されている。

(第3章)桜を描く
いつの時代も多くの画家が「桜」を題材に作品を描いてきた。見る場所、見る時間、見る人によって桜は様々な表情を見せてくれますが、どの場面の桜も華やかで美しいという事に間違いはありませんね。

参考資料
作品画像:横山大観≪山桜≫ 1934(昭和9)年 絹本・彩色 山種美術館蔵

参考資料
作品画像:速水御舟≪夜桜≫ 1928(昭和3)年 絹本・彩色 山種美術館蔵

参考資料
作品画像:小茂田青樹≪春庭≫ 1918(大正7)年 絹本・彩色 山種美術館

花見という独特の雰囲気は日本にしかない習慣・文化だという。
「日本の花見を構成する重要な3要素は、群桜(ぐんおう)と飲食、群集というのが私の持論です。1本とか数本のサクラではなく、群れ咲く花の下で大勢の人々が、詩歌などの教養ではなく飲食を伴いながら愛(め)でる。長屋の花見のような都市民衆文化の光景が広まったのは、江戸時代の享保期のことです」(参考文献2)

いつの世も桜を愛し、桜と共に春の訪れを感じ、桜と共に生きてきた日本人。日本の国花の1つとして海外にも贈られるなど、近代化や平和を象徴する「希望の花」とも呼ばれている。今年の桜もようやく見ごろを迎えた事ですし、桜に元気をもらって、今年度も張り切って活躍しましょう!

参考資料
写真:BIP事務所の近所でも桜が満開になりました。

「【特別展】 桜・さくら・SAKURA 2012 ―美術館でお花見!―」
会期:2012年3月31日(土)~5月20日(日)
会場:山種美術館(東京都渋谷区広尾 3-12-36) http://www.yamatane-museum.jp/
主催:山種美術館、日本経済新聞社
一般お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル 受付時間:8:00~22:00 年中無休)

(参考文献)
1.山種美術館所蔵 桜 さくら SAKURA 名品画集
2.讀賣新聞2010年3月25日号(夕刊)
3.世界文化社『家庭画報』 2012年5月号

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thumbnail_sasaki佐々木 昭美(ささき あきよし)

取締役会長 総合研究所所長

経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)

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