佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2010/03/23 麗らかな春分の日。暦と季節行事に曖昧な知識の自分に気づき、新暦と旧暦を調べてみました。

 昼と夜の時間が同じ日である3月21日は春分の日。新暦の太陽暦は、春分を起点としている。旧暦を継承して18日は彼岸の入り、21日は彼岸中日、24日は彼岸の明け、7日間は春の彼岸ですね。

 私たち日本人は、新暦と旧暦両方を使っていると漠然と理解していると思いますが、もしかしたら正確に理解している方は私も含めて意外に少ないのではないかと思いました。
 子どもを持つ親としても、ビジネスリーダーとしても、暦と季節行事はこの機会に一度きちんと理解しておいた方が良いと思い、近くの図書館と書店で調べてみました。図書館で『暦と行事の民族誌』『和のしきたり-日本の暦と年中行事』『歳時記のある暮らし』を借り、書店で子ども図鑑『きせつの図鑑』を買いました。

 今回はエッセイというより調査報告になってしまいましたが、何かを感じて頂ければうれしい限りです。
参考書籍 参考書籍

(1)多様な暦に溢れた日本の手帳・カレンダー。日本人は、新暦と旧暦両方の行事、生活習慣が続いている。

カレンダー 手帳
 日頃、私たちが使っている暦は手帳・カレンダーですね。その日本の手帳・カレンダーには多くのことが記されていることが多い。暦は天文学の領域を超えて、“今日は何の日か”を知る生活そのものと一体ですね。

 新暦の年月日(2010年3月21日)、曜日(日)、国民の祝日(春分の日)、旧暦の日付(2月16日)、毎日の干支(かのえ・うま)・九星(四緑)・六曜(先勝)、二十四節気(啓蟄、春分)、雑節(社日、彼岸)は基本事項。

 さらに3月であれば、耳の日(3/3)、消防記念日(3/7)、東京大空襲記念日(3/10)、ホワイトデー(3/14)、涅槃会(3/15)、放送記念日(3/22)、夫婦の日(3/22)、普通選挙法成立の日(3/31)等があります。

 また、特定の業界や団体の手帳・カレンダーには、その業界・団体の行事・特徴を網羅したのもあります。実家は農家でしたので、幼少の頃は父が農事暦を重宝していた記憶があります。手帳・カレンダーという概念を超えて、素敵なデザインの多様な必携実用ノートに近づいていますね。年末には多様な新年手帳・新年カレンダーが人気となる秘密の一端を少し知った気がします。

(2) 春は、2月からか3月からかご存じでしたか?
  -旧暦(太陰太陽暦)から新暦(太陽暦)へ賢い併用-

 今年の立春は、2月4日。春分の日は、3月21日です。皆様は、春は2月~4月だと思っていますか? 3月~5月と思っていますか? 

学校の試験は別として、正解は両方だと私は思います。中国から導入され、日本で長く使われていた二十四節気(にじゅうしせっき)の季節では、新暦2月~4月が春、旧暦では1月~3月が春となります。実際の季節は、3~5月と言われています。

 日本では、明治初期1872年の旧暦12月3日を1873年の新暦1月1日にして暦を改訂しました。旧暦と新暦は約1ケ月のずれがあったので、多くの行事も新暦に変わりましたが、お盆は「月おくれ」で旧暦と同じ8月になっています。

 子ども用の『きせつの図鑑』は、大変わかりやすい図表を掲載しています。私は、それを参考にさらに再編集しましたので、日本人の新暦・旧暦一体活用の姿を感じて頂きたいと思います。

表 日本人の新暦・旧暦一体活用表(佐々木編集)
日本人の新暦・旧暦一体活用表(佐々木編集)

【二十四節気(にじゅうしせっき)とは】
 「太陽が春分点を過ぎ、再び春分点に帰るまでの1年を均等に二十四等分した「二十四節気」。ひと月に二つある節気は、前半を「節」、後半を「中」と呼び、それぞれの気候現象を表した言葉がつけられます。」(参考文献3:P9)3月は、前半が啓蟄、後半が春分です。

【五節句(ごせっく)とは】
「「節」とは、季節の変わり目のことで、昔から二十四節気といった暦日とは別に、季節を表す目安とされてきました。その節目の日を「節日(せちにち)」といい、祝祭を行う日としてきました。」(参考文献2:P20)人日(1/7)、上巳(3/3)、端午(5/5)、七夕(7/7)、重陽(9/9)の5日は江戸時代の公的行事・祝日でした。

【雑節(ざつせつ)とは】
「二十四節気や五節句以外に、季節の変化を的確につかみ、農業に役立てる指標を定めた日本独自の節目。」(参考文献3:P8)一般的には、次の九つです。節分、彼岸、社日、八十八夜、入梅、半夏生、土用、二百十日、二百二十日。

(3)「和の暮らし術」を支える日本の暦変遷史に驚く

 暦を知ることは、日本人の生活・産業・文化・歴史を知ることに深くつながっていますね。 

【明治6年(1873年)新暦(太陽暦)採用】
 明治6年に明治政府が採用した新暦のグレーゴリオ暦法に基づく太陽暦は、飛行機での海外旅行やグローバルな経済活動にとって格別に意識しない程必須の便利な暦であることは改めて言うまでもありません。

「太陽暦は、太陽が春分点を通過してからふたたび春分点に帰るまでの時間である太陽年を基準とした暦であるが、一太陽年は約365.2422日であるから、歴年と太陽年では誤差を生ずる。太陽暦は、その誤差を閏年を間に入れることで修正している。グレオゴリオ歴は4年に1回、西暦年数が4で割り切れる年は閏年とし、それでも生じてくる誤差を下二桁が0で、上二桁が4で割り切れない年、たとえば2100年などは閏年にしないことで調整するものである。この暦法によると、一太陽年との誤差は2600年間でほぼ1日程度に抑えることができる。」(参考文献1:P16)

【1000年以上に渡る旧暦(太陰太陽暦)の使用改善】
 日本の暦は、中国や朝鮮半島の影響を受けて、中国の暦法の基づいた太陰太陽暦を明治5年まで使用してきました。古代の暦は中国の暦法変化に関連して数回変わったとされるが、859年に唐の宣明歴が伝えられ採用されてから江戸初期1684年貞享歴が編纂されるまで823年間の長期間使われたという。
 
 江戸時代に数度改暦されたが、特に天保歴は、それまでの中国歴に加えて、西洋暦法や数値も参考にして編纂され、中国歴の水準を超える太陰太陽暦としては最も完成された暦だと言われる程、祖先の叡智と努力が偲ばれます。飛鳥時代から江戸時代までの1000年以上に及ぶ日本文化と生活は、太陰太陽歴と一体で形成された。

【日本の正式な暦は?】
 ところで、日本の正式な暦はどこが発行しているのでしょうか? ご存知でしたか?少し長いが、大事なことなので専門家の研究を引用します。

「ちなみに、今の日本で正式な暦、官暦とされているのは東京天文台で昭和21年から、編集発行するようになった『暦象年表』である。これは部内資料で、一般に頒布されていないので現物をみることは難しいが、同じものが『理科年表』暦部に収録されている。一般に市販されている暦は理科年表の暦部をもとに作成されている。

 暦部には各種の天文事象の他に二十四節気や雑節が記されている。官暦に最も近い内容の暦は、神社司庁で編纂、発行している神宮暦であろう。神宮暦は明治16年暦から昭和20年暦まで本暦として発行されていたが、敗戦によって官暦としての資格を剥奪され、民間暦として発行されるようになったものである。しかし、内容は本暦当時のものをよく受け継いでおり、月日、七曜、干支、通日(元日からの通算日数)、国民の祝日、祭日、節気、雑節、主要神社の例祭日の他は、毎日の日出・日入・月出・月入・月齢・満潮・干潮、その他詳細な天文事象のデータに占められており、極めて科学的な内容をもった暦であるといえる。しかし、神宮暦にも付録として一枚刷りの七曜・六曜表が付けられており、旧暦が六曜とともに対照できるようになっている。」(参考文献1:P23~25)

 春秋のお彼岸は、日本だけの祖先を大事にする仏事なそうです。今は実家から離れ彼岸の墓参りはできませんが、供養の気持ちを表し、我が家も牡丹餅(ぼたもち)を食べました。秋はおはぎといわれますが同じものです。実家の宮城県では、幼少時代には春も秋もおはぎと呼んでいた記憶があります。近くのスーパーでは両方の名称のものがそれぞれ用意されていました。

「和のくらし術」を支える暦や歳時記への大切さを心に刻んだ春分の日でした。

以上

(参考文献)
1.佐藤健一郎・田村善治郎『暦と行事の民俗誌』(八坂書房 2001年11月)
2.新谷尚紀監修『和のしきたり 日本の暦と年中行事』(日本文芸社 2007年4月)
3.坂東眞理子監修『和のくらし術1 歳時記のある暮らし』(JTBパブリッシング 2008年11月)
4.長谷川康男監修『きせつの図鑑』(小学館 2007年3月)

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thumbnail_sasaki佐々木 昭美(ささき あきよし)

取締役会長 総合研究所所長

経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)

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