佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション
2010/03/15 「仕事」と「遊び」の「シーソー」試論? リーダーこそ身近で気軽なリフレッシュで活力を!
関東は先週3月上旬にこの冬一番の雪に“えっ?!”と驚きましたが、いよいよ春満開の季節になりそうですね。北国育ちですが寒がりの私にとっては、心待ちしていた暖かい季節の訪れです。多くの企業では、4月1日から新年度、新入社、新組織、新番組、新企画、新連載等新たな忙しい仕事がまた始まりますね。私も、40~50才台の超繁忙時代当初は仕事一本やりでしたが、段々と心身をリフレッシュする趣味や遊びの大切さを学びました。
幼少時に遊び体験した「シーソー」に例えてみると意外に分かりやい。「仕事」と「遊び」は対立するものではなく、「仕事」の密度が高くなると「遊び」の密度もバランスをとって低い所から高い所に行きたくなるような気がします。
今回は、最も忙しいビジネスリーダーこそ「仕事」の計画は当然ながら「遊び」の計画も大事なことだと思い、新年度準備の一つとして、リーダーのOFF、リフレッシュについて私の事例も少し話しながら一緒に考えてみたいと思います。
(1)「遊ぶ喜び」計画を意識し始めた最繁忙の40才台
図:多色の見る美、聞く美、創る美見る美:旅、自然、花、美術・建築、遺跡、映画など
聞く美:生のコンサート、歌舞伎・オペラ・芸能など
創る美:出合いの場、縁、美遊、交流、カメラ、エッセイ、カラオケ、食事など
OFFという言葉で言われることもあります「遊び」「リフレッシュ」の大切さを私が痛感したのは40才台後半だと思います。リタイア後の遊びのことではなく、第一線時代の遊び・リフレッシュのことです。
もちろん、親として小さな子供たちとの遊び、役員・社長として職場での懇親、多くのお客様との交流等は本当に一生懸命でした。しかし、それだけでは何か自分への満足感が今一歩不足でした。
何度も何度も自分と対話してみて、自分のために・自分の好きな遊びを・自分一人や親しい友人等と過ごす時間が大事なのではないかと思い当たりました。「大人のOFF」が未熟なのではないかと気付きました。私は、「遊び」の奥手だったのでしょうか。人生の有限をやっと自覚したからなのでしょうか?
生きる喜びには、「働く喜び」「学ぶ喜び」に加えて「遊ぶ喜び」計画も必要だと、生きる喜びの「三喜計画」の原型がその頃生まれたと思います。(BIエッセイ2010/01/12号『010年初夢(個人編):「働く喜び、学ぶ喜び、遊ぶ喜び」の生きる喜び「三喜計画」を描く-2010年は「再スタート元年」-』詳細はこちら>>)
当時、私の好きな趣味を順番に挙げてみました。①海外・国内旅行 ②美術鑑賞 ③読書 ④映画 ⑤カラオケ等でした。
現在は、①海外旅行、国内旅行、②美術鑑賞、絵画・陶器収集、③アウトプットの読書と趣味の読書 ④CD・オペラ・コンサート・歌舞伎・芸能鑑賞 ⑤カメラ撮影、エッセイ執筆 ⑥映画 と基本は変わりませんが少しずつ拡大深化しているようです。
スポーツも大好きで、若い頃は中学・高校は卓球部、社会人は職場野球のピッチャー、ショートでしたが、今はサッカーを見るのが好きな為、たまにサッカー場に向かいます。腰痛のせいもあり、ゴルフをしない時間分の多くが非スポーツ分野に広がったのかもしれません。
昨年、年50回BIエッセイを執筆しましたが、改めて調べてみると読書以外の趣味・遊びに関連する記事が15回程ありました。①海外・国内旅行 2回 ②美術館・博物館8回 ③読書 17回 ④CD、コンサート3回 ⑤映画 2回 です。
そのせいか、「佐々木さんは閑なので遊びばかりしているのではないか」「もう半分リタイアしたのか」というご心配の声を頂戴しました。繁忙の中でもOFFを楽しむことの大切さという私の40代後半の反省から始まったOFFの姿がWebでオープンとなり、「遊び」記事の多いこととあいまって、誤解に繋がった面もあったようです。
実は、今も繁忙だからこそ身近で気軽な短時間のリフレッシュが多いのです。やはりビジネスリーダーの「仕事」と「遊び」の「シーソー」試論として、忙しい中での「遊び術」「時間工夫術」の一端を交流することは大事なことだと思いました。「遊び」の記事へのアクセス数も多く、期待もありますので、工夫しながら執筆していきたいと思います。
(2)「イチローさん流ヒット型」「王さん流ホームラン型」両方の「遊び」計画
-「見る美」「聞く美」「創る美」プランを雑誌・カタログで練る楽しみ-
「仕事」の緊張感と「遊び」の解放感のバランスをもった活力こそリーダーの命だと思っています。皆様はどう工夫しているでしょうか。2010年「遊ぶ喜び」計画を雑誌情報等で考えてみませんか?私は、仕事はサッカー型ですが、遊びは野球型で考えて実践しています。
【イチローさん流ヒット型】
2時間程度の短い時間は、工夫すれば生み出せます。小さな喜びの積み重ねが大きな喜びにつながります。イチローさんのように、ホームランは少ないがヒットが重なると大きな成果になります。ビジネスリーダーにピッタリの方法だと思って実行している方法です。リーダーにとって、時間管理術は朝飯前の初歩的技術です。
↑参考雑誌 ・ 吉野梅郷の風景
【見る美】
第1は、美術館・博物館・映画館での鑑賞です。事務所や自宅近辺の多くの美術館・博物館を2~3時間程度で鑑賞できます。関東以外も視野にして、全国出張の際はその前後に可能な限り訪問しています。自宅から車で15分あれば映画館にも行けます。
『美術の窓』2月号は、今年必見の日本画・洋画展覧会BEST200を特集。1年まるごと保存版です。『日経おとなのOFF』3月号は、今年日本で見られる世界の名画を紹介しています。
2010年は、4年前に訪問したボストン美術館が改修工事のため、普段貸し出されない作品が観られる『ボストン美術館展』(東京4/17~6/20、京都7/6~8/29)が楽しみの一つです。日本画も、『又兵衛・北斎・広重展』(MOA美術館 5/14~6/7)等多彩です。
【聞く美】
第2は、自宅でのCD鑑賞から始まった音楽への興味が、生のコンサート、オペラ、歌舞伎鑑賞へと広がっています。幸いなことに東京・関東周辺は多くの企画に恵まれています。
『MOSTLY』3月号は、2010年来日アーティスト、来日公演を一緒掲載。今年のオペラハイライトとして、トリノ王立歌劇場(7月)と英国ロイヤル・オペラ(9月)を紹介しています。「椿姫」で競うソプラノ:デセー(7月)、ゲオルギー(9月)も実現。オーケストラは、巨匠指揮者ニコラウス・アーノンクール(10月)、小澤征爾(11月)等華やかです。12月は一度「ベートーベン第九コンサート」を鑑賞したいと思っています。
【創る美】
第3は、交友・コミュニケーションとして、春夏秋冬を職場・友人や家族と味わう近郊美遊を大切にしています。今年は、特に季節毎の花を見たいと思っています。人生は人の縁といわれますが、実を結ぶには小さなコミュニケーションが土台だと思っています。遠くで普段会えない方も多いので、年2回写真入りのハガキも贈らせて頂いております。
『和楽』4月号は、美の「東京」・和の「東京」として都心の歴史と文化に彩られた街を紹介しています。先週末、東京郊外の青梅「吉野梅郷」を初めて訪れました。赤、ピンク、白の多彩で鮮やかな梅の色と香りに満ちた広い丘稜をゆっくりと歩きました。東京は都心も郊外も奥深い魅力が一杯です。3月末から4月初旬は「桜」の季節。楽しみですね。
【王さん流ホームラン型】
楽しみも大きいが、時間やお金のかかる「王さん流ホームラン型」と呼ぶ遊びは、3つの重点に絞って実行しています。↑トルコ“カッパドキア”の風景 ・ 書斎の様子 ・ 弊社事務所に飾っている絵
【見る美】
第1は、海外・国内旅行です。
旅は癒しと同時に新しい体験・気付きをくれます。身体が元気な内に毎年1回の海外旅行と1回以上国内旅行を心がけています。昨年はトルコ、2年前はギリシャ、3年前はオランダ・ベルギーでした。約10年間継続している時間が味方となって、少しずつ広がってきました。
今年の夏期休暇は、ヨーロッパで未踏の北欧、英国、ポルトガル等から選ぼうと考えています。ゴールデンウィークの国内旅行は、NHK大河ドラマ『篤姫』と『龍馬』の鹿児島を予定しています。
【創る美】【聞く美】
第2は、約10年前の自宅リフォームの際に、読書の環境整備として書斎の造りにも投資しました。
読書は本の保管・保存が一番難しいのです。CD鑑賞の静かな場所でもあります。書庫を整備した効果は、仕事と趣味の両面で劇的でした。蔵書を分類整理することが出来ました。また新しく購入した本の場所、研究・執筆の書籍を置く場所が確保できるようになりました。それでも、すでに満杯ですが。
2007年7月よりBIエッセイというブログを執筆し始めました。読者の方々の要望に背中を押されて2008年8月より素人カメラマンも開始。毎週月曜日掲載のために、土曜日半日を執筆に使うようになりました。公表するアウトプットのため、インプットの取材、勉強が一層深くなったことに気づきました。当然、少しは負担ですが、それを数倍勝る創造・表現の喜びを初めて味わいました。
【見る美】
第3は、手頃な好きな絵画、陶器を少し収集し始めたことです。
好きな絵を飾って毎日見ることができることは嬉しい限りです。私は、「琳派」が好きで現代琳派の作品を少し収集始めています。ささやかですが、自宅で使う陶器も楽しみです。旅行や出張の際に掘り出しものを探します。“鑑定団”のTV番組は老若男女に親しまれていますね。
(3)佐々木流ハイブリッド型の時間工夫術
経営者・リーダーは24時間仕事を考え、実践しています。私も30才頃より限られた時間の中で、公私の時間配分を考える経験を積み重ねてきました。30代で知ったコンサルタント城功氏は『「公私混同」のすすめ』を説いていました。ビジネスマンにも、農業、商工業等自営業店主や経営者の発想の必要性を勧めていたもので、今でも心に残っています。第1は、映画と関連本、コンサートと関連本、展示会と関連本、旅行と関連本等のハイブリッドな楽しみ方です。
見る・聞く喜びと知る喜びの両方を欲張りに追求しています。読書の時間は自由に設定できますので、まとまった時間をとらなくても二重の喜びを体験できます。
第2は、公私統合した週末時間利用の工夫です。
特に経営者・リーダーにとっては24時間が仕事時間です。私は出張が金曜日や月曜日の際は、土曜日や日曜日は自費で追加宿泊して小旅行が可能か検討します。逆に、学会はほとんど秋の土日開催です。前後平日を小旅行できないか考えます。公私ともに、同じ都市に行く機会はそんなに多いものではないのです。
第3は、事務所と自宅をインターネット環境で統合して24H仕事可能にしています。先輩の経営コンサルタントが、「24時間365日営業」を名刺に印刷していると著書で知りました。私もコンサルタントの1人として同じ思いで働いています。
PC、プリンター、コピー、FAX、携帯電話等は誰でも簡単に用意できる時代です。書斎には、関連資料や本がありますので、平日夜と土日は自宅が職場です。事務所勤務中心より相当実質仕事の時間は長いと思います。自宅勤務は、今は多くの方が当たり前に実施していると思います。お客様第1で時間配分をし、残りの公私の時間は自分で自由に活用できるようになりました。
「仕事」と「遊び」の「シーソー」ゲームを皆さんもやってみてください。早く初めて、時間を味方にすれば、小さな喜びの積み重ねが大きな喜びにつながると確信しています。
以上
(参考文献)
1. 生活の友社『美術の窓』2010年2月号
2. 日経BP社『日経おとなのOFF』2010年3月号
3. 産経新聞社『MOSTLY』2010年3月号
4. 小学館『和楽』2010年4月号
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