佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2009/08/10 経営品質・現場品質統合経営の時代④:織田裕二主演 『踊る大捜査線』全17巻を楽しみ・学ぶ

 私は、織田裕二主演『踊る大捜査線』シリーズ(以下、『踊る』と略称する)の熱烈な大ファンである。楽しみながら、同時に学ぶことも多いテレビドラマ・映画であると思っている。

「事件は現場で起きているんだ!」

私も、前職のネットワンシステムズ(株)時代には、何回も叫んだことがある。組織人として、経営者として、共感する的確なキーワードであった。

 今年夏に、思い切って『踊る大捜査線 COMPLETE DVD=BOX』シリーズ全17巻を買った。私はDVDオタクではないが、織田裕二『踊る大捜査線』には特別の思い入れがある。

「感動する書籍を読むことも大事だが、感動する映画に出会うことも貴重な経験だ。楽しんで見ている映像を教材にするのは野暮なことかもしれないが、学ぶことの多そうな映像から生まれる、身近で、何か楽しく、自然に学べるようなレッスンなら、受けたいと思い人も多いのではないだろうか。・・(略)・・世代を問わず大きく話題となった作品といえば、何といっても、『踊る大捜査線 』THE MOVIEの2作だ。」(参考文献2)

 神戸大学大学院経営学研究科 金井壽宏(かない・としひろ)教授の著書『踊る大捜査線に学ぶ組織論入門』冒頭のことばである。

 『踊る』に登場する柳葉俊郎演ずる警察キャリア室井管理官が、私と同じ東北大学出身という設定も、身内びいきに一役買っているかもしれない。

 先日公開された織田裕二・天海祐希主演映画『アマルフィ 女神の報酬』もすぐ観ました。フジテレビ50周年記念の映画作品は、やはり織田裕二主演であった。『踊る』の若い青島刑事とは違った新しい成熟した大人の男を演じている。共演の天海祐希さんは本当に美しい。イタリア全面ロケのサスペンスであるが、むしろ大人のラブストーリーかもしれない。皆様は、どうでしたか?

(1)『踊る大捜査線 COMPLETE DVD=BOX』シリーズ全17巻を買った

参考資料DVD
 邦画作品史上、依然として興業日本一に輝き続ける『踊る大捜査線 MOVIE』1.2を、何回も自宅で見ている。1997年1月テレビドラマから始まって『踊る』は12年経つが、依然として若い世代を中心に多くの共感を得ている。私は、テレビドラマやスペシャル版の多くを見ていなかったこともあり、今年7月に思い切って『踊る大捜査線 COMPLETE DVD=BOX』シリーズ全17巻(参考文献1)を買った。

 SPECIAL BOOKLET『踊る大捜査線全事件簿』が付いている。亀山千広プロデューサー、君塚良一脚本家、本広克行監督の対談。東海林秀文プロデューサー、澤田謙作演出家、高井一郎プロデユーサーの対談である。製作の現場の実際の出来事は、「SECRET STORY」と自称するだけの面白さに満ちている。

 今年の夏は、最近ブームと言われる“巣ごもり”生活スタイルに似て、自宅居間は映画小劇場となっている。

 織田裕二『踊る』への私の特別な思い入れの理由を探してみた。

第1は、映画が趣味で多くの映画作品が好きであるが、何よりもエンタテイメントとして『踊る』は抜群の面白さであるから。
第2は、経営品質・現場品質を両面から自然に学ぶ映画は、『踊る』の他は知らない。
第3は、『踊る』で重要な役割である警察キャリア室井管理官が、私と同じ東北大学出身の設定に、少しは感情移入があるかもしれない。

(2)組織の人間行動の本質を考察する金井壽宏教授『踊る大捜査線に学ぶ組織論入門』

参考文献
 あの『踊る大捜査線』に関する著作の存在を、皆さんはご存知だったでしょうか?

 2005年9月、神戸大学大学院経営学研究科 金井壽宏(かない・としひろ)教授が、『踊る大捜査線に学ぶ組織論入門』を出版された。当時、すぐに読んで面白かった記憶が鮮明に残っている。

 本書は、『踊る大捜査線』MOVIE1.2の名台詞(めいせりふ)の中から20の名台詞を取り上げて、4章で構成。第1章は組織のダイナミズム、第2章は組織とミッション、第3章は組織のカタチ、そして第4章は組織とリーダーシップについて考察している。その一部を紹介します。

<第1章「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ」>

 なぜ、この台詞が、多くの人の胸を打つのかと自問する。

『この台詞が発せられた名場面は「情報なき本部」「権限なき現場」という、よくあるジレンマを照射している。多くの人がこの言葉に共鳴したのは、そういうことが世の中の至るところでみられるからだろう。・・(略)・・組織で働く人なら、誰しもこの現場と本部、あるいはボトムとトップの間に立ちはだかる障壁を象徴するこの台詞に、“そうそう、そうなんだよね”と、ポンと膝を打ちたくなるような経験や思いを抱かれたのではないだろうか。』(参考文献2:24ページ)

それでは、トップと現場はどうすべきなのか。

金井教授は、ミッションを大切にしながら、高い志をもった、現場に奉仕するリーダー=サーバント(奉仕する)リーダーに期待する。

『不確実性に満ちた現場で挑戦し続けるような人材には、柔軟な判断力や直感力、自らの意志決定の下に部下を率いていくリーダーシップ能力、そして何よりも仕事への熱意、自らの内から湧いてくる「熱い思い」――青島刑事や室井管理官の「思い」に象徴されるような――が問われるのだ。』(参考文献2:33ページ)

<第4章「リーダーが優秀なら、組織も悪くない」>

 亀山プロデユーサーは、『踊る大捜査線』MOVIE2「レインボブリッジを封鎖せよ!」では、“組織で勝つ”をメインモチーフにしたかったという。よくご存知の場面が展開する。

『その言葉通り、『踊る』2では、「リーダーのいない究極の組織」である犯人グループと、官僚組織の威信をかけた警察とが、真っ向から対決する。・・(略)・・恩田刑事が拳銃で撃たれ、瀕死の重傷を負うことになる。警察組織は、最後の最後まで、犯人グループの思惑通りに翻弄され続ける。現場の我慢が極みに達した瞬間に、室井管理官の「決断」によって自律型組織へと変革を遂げた警察組織のパワーが一挙に炸裂する。』(参考文献2:216ページ)

 変革を成し遂げる「すごいリーダー」の条件として、J・コッターは、「アジェンダ設定」と「ネットワーク構築」を挙げていると紹介している。

『踊る』に見る変革型リーダーシップの7つの条件を以下整理し、自分の持論と摺り合わせてほしいと結んでいる。
①戦略的ビジョンの提示・浸透 ②環境探査(スキャニング)と意味づけ
③実験的試行の奨励(革新的トライアル) ④実施時の極限追求
⑤フォロワーの成長・育成  ⑥コミュニケーションとネットワークづくり
⑦エモーションへの対処

 金井教授は、組織行動論の権威である。モチベーション論、リーダーシップ論、キャリアデザイン論等人間行動科学・組織科学のすぐれた著作が多くあります。


【特報】成熟した大人の男女演じた織田裕二・天海祐希 映画『アマルフィ 女神の報酬』

参考文献
 このエッセイの直接の主題ではないが、織田裕二出演作品は必ずマークしている。先日、織田裕二・天海祐希主演映画『アマルフィー 女神の報酬』が公開され、見ました。フジテレビ50周年記念の映画作品である。日本映画史上初めてのオールイタリアロケに挑戦した作品だという。ローマのサンタンジェロ城・スペイン階段・カピトリーニ美術館、ナポリ近郊のカゼルタ宮殿、そしてローマから南200キロの美しい町アマルフィーが舞台である。映画を見ながら、10数年前に家族旅行で訪ねたイタリアの雰囲気・風景・思い出が心に蘇る。

 『踊る大捜査線』の若い青島刑事とは違った新しい成熟した大人の外交官黒田康作を演ずる織田裕二。娘を誘拐される母親矢上紗江子を演ずる共演の天海祐希。本当に美しい。完璧な美形が強い女の印象を与えることもあるが、女の弱さを見せる場面もあり大人の色気に愛おしさを増す。サスペンスであるが、むしろ大人のラブストーリーの印象を受けた。

 『クリスマス目前のイタリア・ローマ。イタリアでのテロ予告の情報を得て、ひとりの男がローマに降り立った。その男の名は、外交官・黒田康作(織田裕二)。外務省の上司・片岡(中井貴一)からの命を受け、テロから邦人を守るために派遣されたのだ。・・(略)・・亡き夫との思い出の地・イタリアで、最愛の娘を誘拐されて憔悴していく紗江子は、娘の安全よりも犯人逮捕を優先させたイタリア警察とそれを止められなかった黒田にも不信感を募らせる。』(参考文献3)
以上

(参考文献)
1.発売元 フジテレビジョン 販売元 ポニーキャニオン
『踊る大捜査線 COMPLETE DVD=BOX』
2.金井壽宏『踊る大捜査線に学ぶ組織論入門』(かんき出版 2005年9月)
3.フジテレビジョン・東宝・電通・ポニーキャニオン・日本映画衛星放送・アイ・エヌ・ビー・FNS27社 映画『アマルフィ 女神の報酬』カタログ

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