佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2009/03/09 三井物産 槍田社長、一橋大学 野中郁次郎名誉教授対談等、『致知』で先達に出合い、生きた人間学を学ぶ

 人生には、人間力を問われることが多い。私は、人間力涵養の一つとして「人間学を学ぶ月刊誌」と自称する『致知』を定期購読して長い。『致知』は、創刊30年周年を迎えた長期に続いている人間学専門の月刊誌である。人間力を学ぶプラットホームの一つとして私は勉強させて頂いている。海外の理論と実践を学ぶだけでなく、同じ日本人が実践し、創造した知恵を学ぶことをもっと大事にしたいと思う。
皆様は、人間力涵養にどう向き合っていますか。

 各界の会いたいと思う人、あっと驚く意外な人に誌上で出会うのが楽しみである。1月号、2月号だけで以下の方々含め多くの方が登場する。創業650年を迎えた饅頭の元祖・塩瀬総本家の川島英子会長、五井平和賞を受賞し来日したビル・ゲイツ氏、全国高校駅伝名門校西脇工業高校の渡辺監督、北京オリンピックで金メダル北島選手等水泳陣活躍を助言した日本大学大学院林医学教授、ジョン万次郎の子孫中濱氏、二宮尊徳の子孫中桐万里子さん、生涯現役90歳の映画監督木村氏等毎号が待ち遠しい。

 毎月、特集を読む。『致知』1月号は、“成徳達材”を特集している。三井物産槍田(うつだ)社長と一橋大学野中郁次郎名誉教授が対談し、「人材を育成し、社徳を創る」のテーマで論じている。『致知』2月号は、“富国有徳への道”を特集している。“富国有徳”という言葉を提唱した静岡文化芸術大学川勝平太学長のインタビュー、ウシオ電気会長牛尾治朗氏とデフタ・パートナーズグループ会長原丈人氏が、「真の富国を目指そう」と対談している。また、社会貢献支援財団日下公人氏と上智大学名誉教授渡部昇一氏が、「富国有徳の国『日本』への発想」のテーマで論じ合っている。その一部を紹介します。

「致知」1・2月号

(1)“成徳達材”を論ずる三井物産槍田社長と一橋大学野中郁次郎名誉教授

 三井物産は2度の大激震(国後島のディーゼル発電所の建設を巡る入札妨害、「DPF問題」)で社会的指弾を受ける。「人の三井」という信頼への危機でもあった。逆風の中で社風の改革を「良い仕事」という価値観で成功させた槍田社長が、その経緯を率直に語る。世界的経営学者の第一人者である一橋大学野中郁次郎名誉教授は、自らの研究の中からこう述べる。

「最近、私が研究を通して思うのは、知を持続的に生み続けるキーになるのは、やはりリーダーだということです。リーダーシップのコンセプトは何だろうかと考えまして、行き当たったのがアリストテレスのフロネシス、日本語でいうところの賢慮ないし実践的知恵といったものでした。そこから研究を展開していく過程で、現実の動きの中で様々な問題や条件をジャッジするためのコモングッド(共通の善)について考えたんです。組織がコモングッドを得るには、経験を積み上げながら知を磨き上げて知恵にまで高める努力が必要です。これが組織的に知恵を生み出すリーダーシップのコンセプトではないかというところまで行き着いたのですが、考えてみると槍田さんが取り組んでこられたのは、まさにそれだと気づいたんです。」(参考文献1:12ページ)

(2)静岡文化芸術大学川勝平太学長のインタビュー「日本の文化力が世界を導く ~富国有徳のポスト東京時代」

 『富国有徳論』(初版は紀伊國屋書店、現在は中公文庫)で“富国有徳”を提唱した静岡文化芸術大学学長川勝平太(かわかつ・へいた)氏。その歴史観が新鮮である。

日本文明は、東洋文明を吸収し、西洋文明も卒業し、新しい日本の文化文明を確立する時代と述べています。

東洋文明と日本との関係について、奈良、平安、鎌倉、室町、江戸時代と、日本の歴史の時代区分は首都となる地名によると説明しています。

「奈良、平安時代には中国文明を入れました。その場所が奈良・京都でそれが時代の名称になった。・・(略)・・黄河流域の世界都市・長安は、中国の文物だけでなく、ヒマラヤを越えてきたインド仏教、シルクロードを運ばれたペルシャ文化も含む古代東洋文明の花の都です。・・(略)・・(その後)南宋独自の五山文化が鎌倉にフルセットで入りました。・・(略)・・黄河流域と長江流域に咲いた東洋文明の花を統合したのが室町京都です。・・(略)・・これで東洋文明の受容は終わり、それ以後日本独自の文化が出現してきます。・・(略)・・場所を江戸に移した。ここで大事なのは「和」という概念です。東洋文明の花を京都に残したまま、それを破壊せず、場所を変えて、新しい文化を育てた。両方を生かす、それが和ですね。」(参考文献2:22ページ)

 江戸時代の次は、東京時代。

「東京時代は、前半は戦前で、そのモデルはイギリスです。・・(略)・・戦後はアメリカン・ライフスタイルを取り入れ、ものにしていった。そのスピードは速い。」(参考文献2:23ページ)

1985年(昭和60年)で、日本は西洋文明を卒業しポスト東京時代に入ったとして、日本は世界のリーダーになるべきと説く。

「モデルは外にありません。フロンティアは日本の中にある。文化は生き方であり、それに花があることが大切です。足元を学び直す。自分の生き方を見直し、リセットすることです。」(参考文献2:25ページ)
 
以上

(参考文献)
1. 致知出版社『致知』2009年1月号
2. 致知出版社『致知』2009年2月号

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