佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション
2007/08/30 猛暑の週末は、涼しい部屋で読書
2007年8月は、最高気温記録を書きかえる猛暑が続いています。週末は、日中の外出はしないで、冷房で涼しい書斎で音楽を聴きながら、最近買った本をしばらくぶりでゆっくり読みました。
書評というよりは、皆様の参考に、著者のまえがきやあとがきの説明、目次を簡単に紹介します。
1.中谷 巌『プロになるための経済学的思考法』
著者は、以前の著書で、プロは、それにふさわしい「心構え」が必要であると説いた。しかし、「心構え」だけではどうも足りないと考えて、この本を書いたと述べている。
プロは、「大局観」が必要である。
本書は、その課題に正面から論じている。
本書は、三部からなる。
1部 「マクロ経済的視点」
人口減少、貯蓄率ゼロ経済、財政危機
2部 「ミクロ経済的視点」
日本企業の強さ、弱さの本質、グローバル化、モジュール化への課題
3部 「文明論的視点」
日本人のアイデンテイテイ
日本人は、特にリーダーは逃げずに立ち向かうべき課題を堂々と論じている。
2.金川千尋『毎日が自分との戦い―私の実践経営論』
12年連続最高益を更新する信越化学(株)の社長の筆です。日経新聞「私の履歴書」を大幅に加筆し本になったものです。
塩化ビニールなど、戦後からの基礎化学メーカーである企業が、長期間にわたって高成長を続けている。意外感をもつ方も少なくないと思われる。
それこそ、経営であると述べている。読んでみて、なるほどと思われることが多い。というより発想や構えが違うという思いをする。
学ぶことが多い1冊である。
3.梅田望夫/茂木健一郎『フューチャリスト宣言』
途中までの読みかけでしたが、読了しました。
この本は、後半が読み応えありました。自分の生き方、仮説、個性、信念などが率直に表明されています。
インターネットの進化が早い。明るい面と同時に克服すべき課題も多い。
著者は、「一人の狂気が、世界を変える」と信じて、明るく楽しく未来に向かって進もうという宣言です。
月刊誌フォーサイトで毎月書いている梅田氏の「シリコンバレーからの手紙」も楽しみに読んでいる。インターネットの解説者からオピニオンリーダーになりつつある一人であると思う。
茂木氏の著作は、何冊か読んだが、今や多くの方がご存じの行動する脳科学者である。
二人の率直な対話を本にしてくれた編集者に感謝したい。
4.アンソニー・ロビンズ著/本田健訳『世界NO.1カリスマコーチが教える一瞬で自分を変える法』
思った以上にアカデミックな神経科学、脳科学の研究に裏付けられた内容でした。ちょっとできの良い自己啓蒙書という予断は、うれしいことに外れました。
本当に人間を変えるかもしれないと感じた本ですね。
もう一度良く読んでみたいと思います。
「行動すること」の意味を深く理解するのがポイントなのでしょうか。
5.バルタザール・グラシアン著/齋藤慎子訳『バルタザール・グラシアンの賢人の知恵』
まったく知らない著者でしたが、タイトル、まえがき、目次を見て買いました。
17世紀のスペインで活躍した著述家で、イエズス会の修道士です。
欧米では、今もマキヤベリ「君主論」と並ぶ不朽の名著として読み継がれているそうです。
人生の現実的手引き書という感想です。人間の普遍的道徳律のエキスが詰まっています。100%肯定はできませんが、人間の現実をよく説いています。
最近、ヨーロッパの著作の紹介は増えているような気がします。
6.渡部昇一『人生の出発点は低いほどいい』
紙面にでていないが、札幌大学教授で最近TVにもよく出演する警抜な哲学者鷲田小彌太教授の問いに答えた問答速記録を本にしたものだそうです。
目次が、お二人の人生の関心テーマを象徴する。
第1章 低いところから出発した者は幸いなるかな
後悔する必要がなかった少年、青年時代
豊かな時代ほど、人は環境を嘆く
幸運をつかむ人、逃す人の違い
第2章 学問の道をひらく
師との出会いが人生を変える
書くこと、読むことで自信が深まる<
第3章 好奇心こそ、後悔しない生き方の秘訣
やりたい仕事をいかに見つけるか
”感動できる心”を大切にする
第4章 あきらめない人が成功する
不条理な世間を生きるヒント
年齢とともに記憶力が良くなる
第5章 ”悔恨の歴史”を取り戻す
自虐史観にならないために
日本人が知るべき歴史観
第6章 ”人生の迷い”を断つ
誰のための宗教、信仰か
子育てで後悔しないために