2011/03/01 第4回「相手目線で仕事をする(実例その①) 」
■前回、相手目線で仕事をする大切さを提案しました。ちょっと理屈っぽかったナ・・・との反省と、読者の方から 『 もっと実例で 』 との要望もあったので当面、分りやすい実例で、一席お伺い申し上げます。
■私が某電機メーカーでCDプレイヤーの商品企画をしていた頃の話です。
CDが発売された翌年のある日、使い勝手や音質改善などCDの将来の夢を語り合う場を設定しました。 場所は同じグループ企業であるレコード会社の録音スタジオでCDプレイヤー設計者とCD録音技術者が一堂に介してブレストの形で始めた訳です。
ところがスタートから水と油、まったく議論がかみ合いません。
ともあれ、下図の論争パターンをご覧ください。
■私は、思わず吹き出しそうになり、『 これは面白い!予想外の議論が出来そうだ!』 と司会を放り出してスタジオをブラブラすることにしたのです。
すると・・・。
あるミキシング技術者の作業が目に入りました。 それがどうもおかしい・・・。何とデジタル録音した音源を、一度アナログ録音機を通しているのです。その頃は 『 デジタル・レコーディング盤 』 と 『 デジタル・マスタリング盤 』 の2種類が別の価格で売られている位にデジタル録音の音源が良しとされていた筈です。
『 デジタル音源をアナログを通すのは何故?』 と聞くと 『 だってこの楽曲はその方が角が取れてとっても聞き易い爽やかな音になるからだョ 』 ・・・ムム、でしたね。
そうか、アナログだとかデジタルだとか言ってるのはハードメーカーのエンジニアや商品企画、そして専門家の技術志向の発言であって、録音技術者やミキシングで楽曲を創り込む人はこう言う 『 理屈や原理よりも楽曲そのもの、耳に聞こえる音の芸術性や感性を一番大切にしてるんだ! 』 と目からウロコが落ちました。
これは私にとって、正に、相手の目線でモノを考える大切さを自覚した日でした。
■最後にもう一枚・・・ 『 エンジニアの陥り易い罠 』 をご覧ください。コンピュータが内蔵されているからって、お客さんが使わない、無駄な機能を満載して使いにくい商品を作っていませんか? そこのあなた。
石黒 啓司(いしぐろ けいじ)
コンサルタント(商品企画、マーケティング、仕事力改革)
今の日本、政治・経済の停滞の中、特に企業の元気がありません。構造変化への対応、新しい挑戦の欠如が原因と痛感しています。 これらの打開には先ず、戦略力、創造力・統率力などの仕事力が必須。至近な実例を元に仕事力&元気玉の復活を目指して発信します。
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