佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

 INDEX 

2013/07/01 佐々木流 BI経営進化論 第21回 事業リーダーの皆様、アベノミクスへの経営戦略を描いていますか?

各自の政治的価値観は別にして、現実のマクロ経済政策とミクロ経済政策をセットしたアベノミクスへの現実的対応を事業リーダーが当然描かねば、無責任と言われる段階になったと思われます。

今回は、アベノミクスの経済メカニズムを再度理解し、事業リーダーが検討すべき戦略テーマ10項目を挙げ、一緒に考える機会にしたいと考えた次第です。模範解答を示すことではなく、各自演習し、仮説形成を促進することになれば幸いです。

(1)アベノミクスは、マクロ政策(日本全体へ影響)とミクロ政策(個別企業へ影響)が一体です。

先週、国会が閉会しました。参議院民主党の突然の変身による首相問責決議案賛成可決と審議拒否によって、民主党が衆院で賛成した多くの重要法案も廃案になりました。ねじれで「参議院独裁」ともなる憲法の不備が、日本政治の安定と経済回復の最大の障害であることが一層明白になりました。

日本人にとって、両院対等に近い現在の憲法である限り、政治信条は色々あるが、経済回復・安全保障のため、当面は参議院も与党過半数による政治の安定が不可欠な事態であるという現実を再び突きつけられました。多くの日本国民は、この国の困難を乗り越えるために、7月21日参議院選挙で、日本国憲法の不備を超越するために与党過半数を選択する可能性が高くなったと思われます。真逆に、もう諦めて再度政治の停滞と日本の長期的没落を選ぶのでしょうか?

企業経営の中核である事業リーダーは、冷静に政治経済というマクロ外部事業環境を分析し、対応戦略を用意しなければなりません。

アベノミクスの再度正確な理解を進め、変化するメカニズムを知る好著3冊を紹介します。デフレ脱却による経済回復のプロセスを理論的、実証的事例含め理解できます。

静岡県立大学教授 内閣官房参与 本田悦郎『アベノミクスの真実』
早稲田大学政治経済学術院教授  若田部昌澄『解剖 アベノミクス』
責任編集 田原総一朗・著者 慶応義塾大学教授 竹中平蔵『竹中先生、日本経済次はどうなりますか?』

アベノミクスの3本の矢は、マクロ政治経済政策とミクロ経済政策が一体であるという理解が必要です。以下3本の矢が企業経営に与える影響を考えるとマクロ・ミクロ不可分が自然にわかると思います。

検討すべき戦略テーマを10項目挙げてみました。実際は各社で緊急タスク等設置して、もっと詳細に分析すべきと思います。回答欄は、企業毎に対応策が異なることもあり敢えて空白にしました。各社各自で立案をお勧めします。

(2)第1の矢~大胆な金融緩和によるデフレ脱却戦略の影響を考える

表:アベノミックスによる為替と日経平均株価の推移

【戦略テーマ1.中期的円安への見極めとメリット最大化・リスク最小化】
リーマンショック前は、ドル円が120円であった。依然として行き過ぎた円高に対る調整過程ではないか?

【戦略テーマ2.株価、不動産等資産価格上昇のメリット最大化・リスク最小化】
リーマンショック前は、日経平均18,000円。まだ、戻っていない。バブルなどを心配する状況ではない。

【戦略テーマ3.インフレ期待による長期金利動向への機敏な対応】
インフレ期待率は1.4%まで数字が変化して来た。日銀の長めの長期国債購入と購入額倍加政策。異次元での大胆な金融緩和後の名目金利の動向を、先行して実施済みの欧米の実証結果も含め注視する。

(3)第2の矢~機動的な財政政策の影響を考える

【戦略テーマ4.財政支出分野の見極めとメリット最大化とリスク最小化】
補正予算と本予算の財政支出はこれからが本番。同時に、中期的なインフラ補修と国土強靱化の具体的分野とPFI、PPP等による民間運営開放への対応を用意する。

【戦略テーマ5.需給ギャップ縮小による失業率低下と労働力確保への対応】
求人率は上昇中。一部業界と職種は人材確保が困難な状況に逆転し始めた。女性、高齢者、外国人の就労策を急ぐ必要がある。また、生産性低い分野から需要拡大する分野への労働力の流動化促進も大事ですね。

【戦略テーマ6.消費税増税、社会保障政策の見通しと対応】
4~6月景気によって、10月に来春消費税実施の可否判断が出る。夏の中期的財政健全化ビジョン、秋以降の社会保障国民会議等の社会保障費政策が本番となる。

(4)第3の矢~民間投資を喚起する成長戦略の影響を考える

【戦略テーマ7.ターゲティングポリシー分野の動向と対応】
IPS細胞関連分野への産業政策は決定された。他の分野の動向を注視する。

【戦略テーマ8.アベノミクス戦略特区による規制改革分野と対応】
世界にあっと言わせる首相主導での大胆な戦略特区ができるかも?

【戦略テーマ9.電力はじめとするエネルギーコスト高への対応】
日本企業の6重苦の一つがエネルギーコスト。安全保障と安いエネルギーコストへの国家政策総動員がどう進展するか? 海外へ移転した工場が戻れるレベルか?

【戦略テーマ10.投資減税、法人税減税の時期見極めと対応】
秋は「投資減税国会」が表明された。自社の中期的投資計画・資金計画を検討する。

バブルの過激な解消による失敗、日銀の金融緩和不全による円高・デフレの20年。少子高齢化でもすべての国がインフレ基調だったが、唯一デフレに苦しんだ日本企業と日本国民。政治の停滞と民主党政権交代の失敗・・・。

長かったですね! しかし、今異次元の大変化の時代を迎えています。

事業リーダーは、変化を事業機会として前向きに考え、お互いに前進したいと思います。
率直な意見交換と事業連携を強く願っています。

以上
(参考文献)
1.本田悦郎『アベノミクスの真実』(幻冬舎 2013年4月)
2.若田部昌澄『解剖 アベノミクス』(日本経済新聞出版社 2013年4月)
3.責任編集 田総一朗・著者 竹中平蔵『竹中先生、日本経済次はどうなりますか?』(アスコム 2013年6月)

≪BIP ブックモール≫
読者の皆様へより便利に参考情報・参考書籍をご紹介するために、Amazon.co.jpアソシエイト・プログラムを採用しています。

>>佐々木昭美へのご相談はこちら


thumbnail_sasaki佐々木 昭美(ささき あきよし)

取締役会長 総合研究所所長

経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)

>>詳しいプロフィールはこちら

◆ご質問・お問い合せはこちらから
専門コンサルタントへの、ご質問、ご相談等、お気軽にお問い合せ下さい。

BIPコンサルティング無料相談会のご案内 IT系企業/フランチャイズビジネス/M&A/組織・人事/小売業/建設業関連企業

各分野プロコンサルタントとの無料相談会を実施しています。
お気軽にお申し込みください。

受付中の無料相談会はこちら

トップへ

サービスのご案内

無料相談会

お問い合わせ

コラム「ミニ講座」

BIエッセイ

特集コラム

採用情報

無料メルマガ

無料メルマガ
BIPニュース
配信中!

BIPからのお知らせ、ビジネスに役立つ情報、佐々木昭美のBIエッセイ要約等、月2回配信!

メールアドレス:

東北復興支援

ページ上部へ戻る
Top