佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション
2017/01/10 BIP創立10周年を迎えて嬉しいこと ~ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)もBI(ビジネス統合知)重視に大転換~
新年明けましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。本年もよろしくお願い致します。
お陰様で、BIP株式会社(旧社名ビジネスインテグレーションパートナーズ(株))は、今年2017年1月5日に創立10周年を迎えました。皆様のご支援、ご指導の賜物と深く感謝申し上げます。
1.社名BI(ビジネス統合知 Business Integrative intelligence)に込めた最新実践経営学への思い
第3の職業として、2007年1月5日に会社を設立した時に、社名は迷わずにビジネスインテグレーションパートナーズ(株)として、略称はBIP(ビーアイピー)とし、両方共に商標登録を取得しました。昨年4月、正式社名を簡潔にBIP(ビーアイピー)株式会社へと変更しました。
約40年の職業生活と4つの学術活動を通じて、企業経営に於ける基軸となり、日本のイノベーションに貢献する最新実践経営学のあるべき叡智は、BI(ビジネス統合知 Business Integrative intelligence)と思っています。
最近、経営戦略論の講義が増加していますが、その際に『佐々木マトリックス』と呼ぶ以下の図を示して、BI(ビジネス統合知)の重要性を必ず強調しています。
既存知と実践知の両方を融合した統合知こそが、経営に役立つと確信しているからです。
創立10周年を迎えるにあたって大変嬉しい出来事を知りました。世界トップレベルのビジネススクールであるハーバード・ビジネス・スクール(HBS)が、リーマンショックの深い反省の上に、知識を増やすこと(Knowing)に重点をおいていたのを、実践の場を増やすこと(Doing)へと変更しました。そのためにカリキュラムを統合知性(Integrative intelligence)重視に大転換したのです。アメリカのアカデミズムの実践的姿勢は素晴らしいものですね。
詳細は、昨年8月に出版された山崎繭加『ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか -世界トップのビジネススクールが伝えたいビジネスの本質』(参考文献1)をお読み下さい。
2.BIP創立10周年記念事業としてBIP総合研究所(東京/東北)とコーポレートキャピタル事業部を設置
BIPは創立10周年を記念して、1月に社内組織として総合研究所(東京/東北)とコーポレートキャピタル事業部を設置しました。まだ、規模は小さいですが、日本企業と日本国のイノベーションに特化した活動を展開します。
<上場企業・大企業のイノベーション支援>
アベノミクスで日本経済は回復しつつありますが、日本経済の成長率は先進国で低い水準で、一人当たりGDPは相当離されてしまいました。その大きな原因は、大企業のイノベーションがあまり進まず、グローバル競争で勝てない大企業が増加したことです。もちろん、中堅・中小企業の生産性が更に低い構造も大きな課題です。
2015年の輸出額ランキングは、世界第4位ですが、一人当たり輸出額は世界第44位。
1990年に比してGDP伸び率を比較すると、2014年に日本は1.1倍、米国は2.9倍。
1995年に英国の4.3倍だった日本のGDPが、2014年には1.54倍に縮小。
1990年以降の日本企業の時価総額増加率は、先進国最下位。(参考文献2)
昨年、故郷である宮城県に東北事業所を設立して、東北経済の厳しい現実の要因の1つに、自動車産業と並ぶ1大産業であったエレクトロニクス・IT産業の多くが国際競争で敗退したため、その工場が多く立地した東北経済は極めて大きな影響を受けていたことを再認識しました。
地域創生は、地元企業を強く大きくすることはもちろん、グローバル大企業のイノベーションが不可欠と痛感しました。都市と地方は一体で成長を目指す必要があると思います。
総合研究所東京は、上場企業・大企業を主な対象として、当面以下のビジネスイノベーションとマインドイノベーションテーマの研究開発とプロフェッショナルサービス展開を開始します。
① BM(ビジネスモデル)・BP(ビジネスプラニング)研究開発部会
② AI・IOT研究開発部会~特にBI(ビジネスインテリジェンス)ツール活用
③ マインドイノベーション研究開発部会~働き方改革、人事・組織改革
<金融機関、CVC、VC、ファンドとコンサルタント・専門家が連携し、地域中核企業・ビッグベンチャー共創>
日本経済の成長、地域創生のもう1つの鍵は、創業支援も大事ですが、同時に地域中核企業・ビッグベンチャーを育成することだと思います。経済産業省も中堅企業研究会を設置して、対策を講じつつあります。
BIPは、既存のコンサルティング事業部と新規の総合研究所東北、コーポレートキャピタル事業部が協力してこの課題を進める予定です。
① 大企業と中堅企業・ベンチャーの連携(コーポレートベンチャリング)、日本全国及び世界とのオープンイノベーションを推進する
② 金融機関、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)、VC(ベンチャーキャピタル)、投資ファンドと私達コンサルタント・専門家が連携して、自己資本と借入金のバランスのとれた安定した財務基盤を確立して、第2・第3の成長と企業価値向上を共創する
③ 事業成長と事業継承のためにM&A(合併・買収・譲渡)、PMI(M&A後の統合活動)を推進する
そのために、総合研究所東北は、特に以下の領域の重要性を考えていますが、地域の各界の皆様にご協力頂き、よく議論して上期に開始したいと念願しています。
① 定住を促進する世界に繋がる高生産性・高付加価値産業エコシステム
② 産業と家庭を支える圧倒的に安い自主エネルギーエコシステム
③ 有用な産業・労働政策と金専産官学連携の進化システム(特区活用も含め)
激動(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、不透明性(Ambiguity)が強いVUCA時代とも言われますね。そういう時こそ、鳥の眼、虫の眼、魚の眼をもって本質を探り、目指すべきフィロソフィーやビジョンを持つことが大切と思います。もちろん、行動しながら機敏に修正するのも必要です。
同時に、「君子は其の言(ことば)の其の行(おこない)に過ぐるを恥ず」(参考文献3)という言葉が『論語』にあるそうです。リーダーが自分の言葉ばかりが先走って行動が追いつかないことにならないように自分を戒める言葉もしっかりと噛みしめていかなければなりませんね。
すべての経営資源を自社で用意するのが困難な時代。まだまだ小さいBIPですが、劇的な変化を共創するBI(ビジネスイノベーション)テーマに特化し、アライアンスを広げて、企業価値向上、日本の国富向上に貢献する所存です。
今後共、温かいご支援、ご協力を切にお願い申し上げます。
以上
(参考文献)
1.山崎繭加『ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか -世界トップのビジネススクールが伝えたいビジネスの本質』(ダイヤモンド社 2016年8月 第一版)
2.デービット・アトキンソン『新・所得倍増論』(東洋経済新報社 2016年12月)
3.致知出版社『致知』2017年2月号 巻頭の言葉
https://www.chichi.co.jp/info/chichi/backnumber/2016/2017%E5%B9%B42%E6%9C%88%E5%8F%B7/
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佐々木 昭美(ささき あきよし)
取締役会長 総合研究所所長
経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)
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