佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション
2016/07/28 アメリカ大統領選挙から日本の今日・明日を考える
世界一の大国アメリカの大統領選挙が、いよいよ11月に実施されます。共和党はトランプ氏、民主党はヒラリー氏が各党大会で大統領候補者に選出されました。
先般は、英国がEU離脱という歴史的決定をして日本にも大きな影響が起きています。アメリカ大統領選挙は、日本に大きな影響を与えるテーマが争われています。格差拡大に対してTPP・エネルギー・移民政策始め内外経済政策、安全保障政策として同盟国や中ロとの関係等。
かつて熾烈な戦争をして和解をした日米の同盟は、日本と世界の平和と繁栄の公共財だと私は思います。そんな私にとって、アメリカウォッチは毎年の重要テーマで、情報収集を続けています。昨年は、実際にアメリカ東海岸、一昨年はニューヨークを旅行して、最近のアメリカを体験しました。街は活気があり、いたる所で建設工事が再開されて、アメリカはマクロ的には好況局面の印象がありました。でも、共和党トランプ旋風や民主党サンダース旋風で格差が大きなテーマになっているアメリカの実相をしっかりと理解したいと思っていました。
最近出版された元ヒューストン総領事の高岡望『アメリカの大問題 百年に一度の転換点に立つ大国』(PHP新書 840円 税別)は、有用と思いましたのでご紹介します。
(1)百年に一度の転換点となる3つの大問題~格差、力の行使、エネルギー
本書は、格差、力の行使、エネルギーという3つがアメリカの大問題であり、アメリカの百年の歴史を変えるかもしれないと指摘しています。
筆者の高岡氏は、偶然にもその実相を観察する絶好の場所に住む機会に恵まれたと言います。2013年秋より2年間、アメリカ南部テキサス州の最大都市ヒューストンに総領事として駐在していた方です。
① 移民と格差の最前線は、テキサスです。特に増大するヒスパニック系不法移民はテキサスが多い。それでは、民主党が圧倒的に有利かというと、共和党を支持するティーパーティー運動が強い地域でもあるのです。格差はあるが、貧しい国からすると豊かになれる現実。毎年100万人の移民を受け入れて来た移民国家アメリカは、どう内外と向き合うのでしょうか?
② 銃社会のイメージを持つアメリカは、銃規制が話題になりながらテキサスは銃保持が更に緩和されています。世界の警察官として力を行使するイメージもあったが、オバマ大統領は、「世界の警察官ではない」と言明して世界の秩序が不安定化しつつある印象です。アメリカ人は、力の行使をどうするのでしょうか?
③ アメリカは石油の輸入大国でしたが、2015年に世界最大の石油・ガス産出国に変わりました。その原動力はシェール革命です。100年分のエネルギーをアメリカは手に入れたのです。テキサスは世界のエネルギー企業トップ数社の本社が集中しています。日本への歴史的輸出が2017年にも実現します。地政学的変化はどう変わるのでしょうか?
(2)3つの大問題の実相を日本人に分かり易く知らせてくれる
以下紹介する目次で、本書の実際性と最新性、歴史的視点が総合的に理解できます。
第1章 格差の大問題――移民とティーパーティー
1.格差の風景
2.格差、人種、移民
3.日系移民の苦難の歴史
4.格差をめぐる左右対立
第2章 力の行使の大問題――銃と地政学
1.アメリカ社会と銃
2.アメリカをとりまく地政学
3.アメリカの世紀は続くのか
第3章 エネルギーの大問題――シェール革命の本質
1.シェール革命と日本
2.シェールを求めて
3.シェール革命の経済的帰結
4.21世紀のアメリカのシェール戦略
以上
参考文献
1.高岡望『アメリカの大問題 百年に一度の転換点に立つ大国』(PHP新書 初版2016年6月 840円 税別)
≪BIP ブックモール≫
読者の皆様へより便利に参考情報・参考書籍をご紹介するために、Amazon.co.jpアソシエイト・プログラムを採用しています。
佐々木 昭美(ささき あきよし)
取締役会長 総合研究所所長
経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)
◆ご質問・お問い合せはこちらから
専門コンサルタントへの、ご質問、ご相談等、お気軽にお問い合せ下さい。