佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション
2015/12/24 恒例! 年末年始にお薦めの本25冊
BIエッセイを1年間ご愛顧頂き、本当に有り難うございました。
今年も恒例の「お薦めの本25冊」をお届けします。年末年始は、本を読む時間のある時期の一つですね。
今年の年末年始は、「未来に挑戦する仲間達」を考える時間にしませんか!
私は、昨年・今年を“See(調査・視察) & Think(仮説・検証)”の2年として、仕事の合間に、未来を考える視察や読書をして来ました。
いよいよ2016年は、皆様と共に未来への新しい実践を始めたいと念願しています。
2015年後半に私が読んだ本の中から、小説や学術書は基本省略し、「未来への新しい実践」に繋がる本を中心に選びました。
皆様の未来にとって参考になれば嬉しい限りです。
厳寒の季節、お身体を大切にして、ご家族揃って良き新年をお迎え下さい。
(ご参考まで。過去の「お薦めの本」はこちらからご覧頂けます。)
<未来のために~日本人に希望と知恵と勇気をくれた人々から学ぶ>
(1)岬龍一郎 『まんがでわかる新渡戸稲造 武士道』
(あさ出版 2015年11月 本体1200円+税別)
日本精神の源流を海外に紹介した新渡戸稲造の『武士道』は、1900年に米国で刊行、世界各国に翻訳され広がりました。この本は、『武士道』についてまんがで紹介しています。『武士道』の著者新渡戸稲造は、岩手県盛岡に生まれ、札幌農学校に学び、国際連盟の事務次長を務めるなど世界的に活躍した人物です。京都帝国大学教授、東京女子大初代学長も務めました。旧5000円札の肖像画の人物です。
(2)馬場錬成 『大村 智 2億人を病魔から守った化学者』
(中央公論新社 2015年11月6版 本体1300円+税別)
今年ノーベル賞を受賞した大村智先生。その人物史と偉大な業績を伝える書です。山梨県に生まれ、山梨大学学芸学部自然科学科卒業後、都立墨田工業高校夜間部教師。更に一念発起して東京理科大理学研究科に進み、山梨大学助手として研究生活開始。大村先生は、海外研究の後に北里大学教授となり、メルク社との共同研究でノーベル賞の対象となった寄生虫の病気オンコセルカ症に劇的効果のある「エバーメクチン」を発見する。メルク社のヒト用商品名は「メクチザン」。世界で年間数千万人が感染していたが激減した。
(3)コマツ相談役坂根正弘 『ダントツの強みを磨け』
(日本経済新聞出版社 2015年10月 本体1600円+税)
建機メーカーであるコマツ(石川県本社の株式会社小松製作所)相談役(元社長)の著書。前著『ダントツ経営』では書いていなかった最近のICTで進化する製造業のビジネスモデル「スマートコンストラクション」について新規に追記されており参考になります。また、安倍政権発足以来、「産業競争力会議」の、そして「まち・ひと・しごと創生会議」のメンバーとして、多面的からの視点で具体的提言を述べています。
(4)大沢ワインズ・オーナー大沢泰造 『55歳の男がゼロから海外で農業をはじめ、奇跡のワインを造った話』
(PHP研究所 2015年11月 本体1600円+税別)
私がこの本を紹介するのは、海外での起業をすすめる意図ではありません。人間の生き方及び新しい事業始めることの本質を率直に伝えていて大変参考になると思ったからです。夢をかなえるには、「一にも、二にも自分の努力次第」。滋賀県米原氏で生まれ、父の経営する建設業大沢興業(株)に就職後、社長に就任。不動産事業、砕石事業、ソフト開発事業等を拡大し、現在は大沢HD代表。
(5)人間学月刊誌 『致知』
(致知出版社 1年間購読料 10300円消費税・送料込み)
『致知』は月間定期購読雑誌で、多分野の具体的人物が登場する生きた人間学雑誌です。2月号では、駐日外交団長・サンマリノ共和国特命全権大使マンリオ・カデロ氏、作家北方謙三氏、東京大学先端技術センター教授福島智氏、5月号料理研究家辰巳芳子氏、亀の井別荘相談役中谷健太郎氏、6月号は、ミキハウス社長木村皓一氏、千房社長中井政嗣氏、金剛組社長刀根健一氏、小西美術工藝社社長デービッド・アトキンソン氏、7月号なだ万社長木浦信敏氏、城山観光社伊牟田均氏、ホリプロ創業者堀威夫氏、9月ノーベル物理学賞受賞名城大学終身教授赤﨑勇氏、10月号作家・経済評論家堺屋太一氏など。
<未来のために~三喜(働く喜び、学ぶ喜び、遊ぶ喜び)人生を楽しむために未体験・未知の世界を知る>
(6)奥 和宏 『アメリカン・ルーツ・ミュージック ディスクでたどるアメリカ音楽史』
(アルテスパブリッシング 2013年6月 本体1700円+税別)
ここ10年、私の楽しみに音楽鑑賞が加わった。昨年と今年続けて、アメリカ東部を訪ねた旅に持参した数冊の中の一冊です。私は趣味の美術鑑賞もそうだが、ある程度の背景を書物でも楽しみたいタイプらしい。名著『アメリカン・ルーツ・ミュージック 楽器と音楽の旅』の姉妹編。選んだアルバム100曲+関連アルバム2枚で合計300枚。前半は年代順・ジャンル順で後半は楽器順の構成。「ミンストレル・ショウに始まり、フィルベリー、オールドタイム、ジャグ・バンド、ブルース、ブルーグラスからロックまで。ストリングバンドの系譜をたどれるように配列してあるのだ。」
(7)萩原 三雄編著 『謎解き散歩 山梨県』
(新人物往来社 2012年4月 本体800円+税別)
私が代表を務めるBIP(株)が中部事務所、九州事務所を今年の9月開設。来年1月には東北事務所開設予定で、全国を旅する機会が増えました。その為の予習として役立つのが『謎解き散歩シリーズ』。10月に講演で山梨を訪ねる際に、山梨県版を購入し読みました。第1章山梨県ってどんなとこ? 第2章武田信玄編 第3章歴史・考古・遺跡編 第4章人物・文学・芸能編 第5章 宗教・民族・社会編 第6章地理・自然編。
(8)サイエンスジャーナリスト和田美代子 『日本酒の科学』
(講談社ブルーバックス 2015年9月 本体1080円+税別)
今秋、ベンチャー学会の友人と一緒に香港で開催された世界美酒展を視察しました。世界のアルコール各社の一大展示会です。日本からも50社が出展していました。お酒は飲む方ですが基礎知識はゼロなので、予習に軽くめくった本ですが、深い世界ですね。酒造りの技、酒の原料、麹と酵母、伝統技で醸す酒、ラベルが教えてくれること、日本酒のバラエティ、日本酒のおいしい飲み方、日本酒と健康など。
(9)甲南大学理学部教授 田中 修 『植物はすごい 七不思議篇』
(中公新書 2015年6月 16版)
最近、花ビジネスに関わる機会があり、植物生理学を読みました。田中教授は、京都大学農学部博士課程修了後、スミソニアン研究所工学部教授を経て現在は甲南大学理学部教授。専攻は植物生理学。第1章自分のからだは自分で守る 第2章味は、防衛手段 第3章病気になりたくない 第4章食べ尽くされたくない 第5章やさしくない太陽に抗して、生きる 第6章 逆境に生きるしくみ 第7章次の時代に命をつなぐしくみ。
(10)明治大学専門職大学院長、公共政策大学院ガバナンス研究科長・教授 市川 宏雄 『東京一極集中が日本を救う』
(ディスカバー・トゥエンティワン 2015年10月 本体1000円+税)
「地方創生」の時代だからこそ読むべき本です。間違った地方創生をしないための事実と提言に満ちています。「東京一極集中こそが、日本を救うのだ」と強調する。現在社会の中心をなす第3次産業が集積により投資効率を上げるという動かしがたい経済的合理性がある。都市への「一極集中」は、全世界の潮流である。今は、「東京か地方か」で、パイの奪い合いの話をしていればよい時代は終わった。東京が沈めば地方が沈む。
(11)都市再生プロデユーサー 清水 善次 『リノベーションまちづくり~不動産事業でまちを再生する方法』
(学芸出版社 2014年9月 本体2500円+税)
最近、都市地域コミュニティーの再生に取り組む方々と議論する機会が増えて、知識分野の違いを痛感し読んだ。スマートコミュニティーが今後の成長産業と言われるが、その実相に迫りたいと思った。第1章リノベーションまちづくりとは何か 第2章 エリアマーケティング 第3章まち再生のマネジメント 第4・5章公民連携型リノベーション 第6章公民連携型の都市経営。
(12)三菱UFGリサーチ&コンサルティング 尾木 蔵人 『決定版 インダストリー4.0 第4次産業革命の全貌』
(東洋経済新報社 2015年10月 本体1400円+税)
日本の第1人者による初の本格解説書とされる。AIやIOTがビジネスモデルを激変させる。第1章「インダストリー4.0」とはなにか? 第2章ドイツの巨大国家プロジェクトの全容 第3章暮らしはどう変わるか? 第4章アメリカの新産業革命第2ラウンド 第5章アジアの動向 第6章日本の「ものづくり」が進むべき道。
(13)熊谷 徹 『ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか』
(青春出版社青春新書 2015年8月 本体880円+税)
元NHK記者で1990年からドイツに25年間暮らすフリージャーナリストの著書。我々日本人が共通に持つ疑問に応えてくれる。第1章有休30日、消化率100%・・・でも仕事が回るドイツの働き方 第2章休みが多いのにドイツ経済は絶好調 第3章 日本の1.5倍 ドイツの高い労働生産性の秘密 第4章ドイツの「社会的市場経済」 第5章ドイツ流の問題点 第6章日独“いいとこ取り”のススメ。
<企業経営の未来のために、日本人リーダーの既存経営学理解の間違い・誤解を解く>
(14)早稲田大学ビジネススクール准教授 入山 章栄 『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』
(ダイヤモンド 2014年4月 本体2400円+税別)
企業経営者の間の経営学への誤解を解明してくれる好著です。最新の経営学では、世界的な経営学者の世界は、科学=サイエンスとなるエビデンスを目指している。MBA教育を中心とするビジネススクールは1980年代頃までの経営学のフレームワーク中心であった。しかし、世界的経営学者が、企業経営に役立つ研究への動きが起きている事を教えてくれます。
(15)IMD学長 ドミニク・テュルパン+高津尚志 『ふたたび世界で勝つために-グローバルリーダーの条件』
(日本経済新聞出版社 2015年11月 本体1600円+税別)
フランスに生まれ、ESSCA経営大学院を卒業後、日本に渡り、上智大学で経済学博士号を取得。IMD教授として四半世紀にわたり、世界各国の企業に対する教育や調査研究に従事。日本企業がグローバル化で苦労しているズレや勘違いを正す好著。第1章枠組みを超えて考える 第2章技術だけにとどまらず、和音を奏でる 第3章効率を求めず、最適解を見出す 第多くの引き出しを持つ 第5章 自らの行動をマンジメントする。
(16)ユタ大学マーケティング学部教授 アビー・グリフィン等『シリアル・イノベーター 「非シリコンバレー型」イノベーションの流儀』
(プレジデント社 2014年4月 本体2000円+税別)
今秋、組織学会の定期セミナーで直接アビー・グリフィン教授の講義を聞きました。既に日本の大企業数社で共同研究が始まっています。「長い歴史を持った大企業でミドルというという難しい立場にありながら「シリアルserial 」、つまり幾度となくイノベーションを起こす人のことだ。それが本書の題名である「シリアル・イノベーター」である。」彼らの存在こそ、今日本企業が必要とする「第3のイノベーション・プロセス」と述べている。
(17)トヨタ自動車(株)相談役・技監 佐々木眞一 『現場からオフィスまで、全社で展開するトヨタの自工程完結 -リーダーになる人の仕事の進め方』
(ダイヤモンド社 2015年11月 本体1600円+税)
今、トヨタが全社で取り組んでいる特にホワイトカラーの生産性向上の改善です。「心がけ」=一生懸命にやっているだけではうまくいかない。科学的な仕事のしくみを基本から遣り直す取り組みが2007年から全社で進んでいます。「自工程完結」とは、良い仕事しかできない、良いものしか作れないという条件とは何なのか、ということを徹底的に、科学的に追求しようとする考え方です。
(18)シンギュラリティ大学専務サリム・イスマイル他 『シンギュリティ大学が教える飛躍する方法-ビジネスを指数関数的に急成長させる』
(日経BPマーケティング 2015年8月 本体 1800円+税)
私は、本書が、飛躍的企業=指数関数的に急成長する企業の解明とその実現を研究していることに強い興味を抱いた。無限のコンピューティング資源、センサー、ネットワーク、AI、データサイエンス、ロボット、デジタル製造、バイオテクノロジー、デジタル医療、ナノマテリアル、エネルギー等の分野を有望と考えている。
(19)Xプライズ財団CEO ピーター・H・ディアマンディス、スティーブン・コトラー『ボールド突き抜ける力』
(日経BPマーケティング 2015年10月 本体2000円+税別)
ピーター・H・ディアマンディス氏は、15以上の宇宙・ハイテク関連の会社を創立した起業家。グーグル、3-Dシステムズ、NASAの協力を得て、シリコンバレーにシンギュラリティ大学を創立してエグゼクティブ・チェアマンに就任。第1部突き抜けるテクノロジー 第2部突き抜けるマインドセット 第3部 突き抜けるクラウドの力。突き詰めると、大富豪になる一番いい方法は10億人の抱える問題を解決することだ。
(20)FMIC CEO大岩和男他編 『フューチャーマネジメント -未来をつくる「自らイノベーション」』
(インプレス 2015年12月 本体1580円+税別)
第1章 フューチャーマネジメントとは何か 一言でいえば「自分たちの未来を、自分たちでつくること、変えること」。 第2章 創りたい未来をデッサンする 第3章 共感共鳴チームをつくり未来へ向かう 第4~6章事例 村田製作所、富士通研究所、田中貴金属工業 第7章 仕事スタイルのSHINKA無くして成長無し。
<未来のために~常に日本・米国・欧州・中国の4極の動きを知る>
(21)ハドソン研究所中国センター長 マイケル・ピルズベリー 『China 2049 ~秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』
(日経BP 2014年9月 本体2000円+税別)
日本にとって衝撃の書籍が刊行された。「「パンダハガー(親中派)」のひとりだった著者が、中国の軍事戦略研究の第一人者となり、世界の覇権を目指す中国の長期的戦略に警鐘をならすまでの驚くべき記録」と元CIA長官R・ジェームス・ウールジーは述べている。衝撃の事実とは、米国は中国との秘密特別協定を結び支援をして来たが、中国の敵対目的を見抜けず間違いであったという事。一方で日本には秘密協定は明かさず最近まで敵対国のように対応して来た面もあるという。米国は中国に延々と騙され続けて来たと言う。
(22)慶応義塾大学SFC教授 渡辺 靖 『沈まぬアメリカ ~拡散するソフト・パワーとその真価』
(2014年9月 本体840円+税別)
アメリカ研究の第一人者が、米国のソフト・パワーの光と影に迫る現代アメリカ論。ハーバード、リベラル・アーツ、ウォルマート、メガチャーチ、セサミストリート、政治コンサルタント、ロータリークラブ、ヒップポップ。テーマ・コミュニティーから米国を知るという試みである。
(23)ドイツ文学者西尾幹二、ドイツ居住作家川口マーン惠美 『膨張するドイツの衝撃』
(ビジネス社 2015年8月 本体1400円+税別)
ドイツから遠い日本にも急浮上した「ドイツ帝国」論。その真相に興味を持った。川口マーン惠美氏は、こう述べる。「フランスの歴史家エマニエル・トッドは、現在のドイツを、第四の「ドイツ帝国」と名づけた。・・・私は、いまのドイツにはEUの頸木があるので、どちらかでいうと、神聖ローマ帝国の復活だと思っている」 対談からは、ドイツと中国の関係はすごくいい。日本は「ドイツ帝国」と中国で対決するシナリオもあるのか?。
(24)古壮 光一 『誰が「南京大虐殺」を捏造したか』
(ワック(株) 2015年12月 本体1700円+税別)
歴史認識をめぐる歴史戦争は、朝日新聞が「従軍慰安婦」報道の誤報を認め、米国政府の調査結果も事実を確認できない結果となり、今や「南京大虐殺」問題のみになりつつある。「南京大虐殺」は、かつて支那の蒋介石政権による捏造と宣伝であるとするエビデンスに裏打ちされた研究書が増加しているようです。本書は、アメリカ議会図書館、ドイツ外務省文書館等の資料も調査したフリージャーナリストの実証研究書。政治・信条とは別に、歴史の真実と日本の名誉に向き合うのは、未来の子孫に対する日本人の義務だと思う。
(25)京都大学名誉教授中西 輝政 『日本がもっと賢い国になるために』
(海竜社 2015年2月 本体1500円+税)
国際政治学、文明史等専攻の中西氏の講演が基礎なので分かりやすい表現です。国の盛衰は、結局国民の意識や心のありようが大事と述べています。第1章日本が賢くあるために 第2章日本とはどんな国か 第3章世界の中で「日本の価値」 第4章 外圧に打ち勝つ日本の座標軸 第5章世界に勝つ物心のバランス 第6章世界が驚いた小国日本の強さ 第7章今、重要な天皇の存在。
以上
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佐々木 昭美(ささき あきよし)
取締役会長 総合研究所所長
経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)
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