佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション
2011/12/26 「明日に役立つ」年末年始にお薦めする本25冊 <ツイッター風140文字コメント付き>
BIエッセイを1年間ご愛顧頂き、本当にありがとうございました。今年最終号をお届けします。
今年の最終号も、毎年大好評の「年末年始にお薦めする本<ツイッター風140文字コメント付き> 」を企画しました。
年末年始は、本を読む時間のある時期の一つですね。
仕事柄、また趣味で2011年後半に読んだ本の中からおすすめの本を25冊紹介します。小説や学術分野は省略。今年は、3.11大震災後の“複合連鎖危機”に個人、企業、日本がどう立ち向かうかを題材とした本を追加しました。(今年前半のおすすめ本エッセイです。参考まで>>2011/08/08 夏休みに「おすすめの本20冊<ツイッター風140文字コメント付き>」)
各本は、「ツイッター」形式を真似て140文字以内のコメントを書きました。レストランをインターネットで探す時のお客様コメント、すなわち口コミと思って気軽にご活用頂ければ幸いです。
それでは、お身体を大切にして、ご家族揃って良き新年をお迎えください。
<日本人は、3.11大震災後にどう向き合うか)>
(1)茂木健一郎+竹内薫『3.11以後』
(中央公論新社 2011年11月 本体1200円+税)
18歳以上の男女必読。11月創刊した中公選書の第1冊。東大理学部物理学科同窓二人が3.11以後を対話。読みやすい。日本人は震災以後、科学的な見方や行動から離れる傾向が起きており、大きな損をし、未来を毀損しているのではないか?!閉塞を打ち破り未来に向かう態度を縦横に論じています。
・参考エッセイ>>2011/12/12 2011年を振り返り、しっかり記憶にとどめたい
(2)坂村健『不完全な時代-科学と感情の間で』
(角川ONEテーマ21新書 2011年7月 本体740円+税)
18歳以上の男女に世界目線の常識を語る。日本発TRONを世界的OSに広げた坂村健東大情報学環教授。現在TRONはデジカメや携帯電話の電波制御、プリンター、自動車のエンジン制御等世界で幅広く普及。地震、津波、原発、電力、円高、政府等の「複合連鎖危機」への日本人の大人の流儀とは!?
・参考エッセイ>>2011/08/01 「災後、大人の流儀探究-理性と感性の間で人間はどうあるべきか?! -坂村健『不完全な時代-科学と感情の間で』を読んで-」
(3)畑村洋太郎『未曾有と想定外』
(講談社現代新書 2011年7月 本体756円+税)
18歳以上の男女必携。リスクへの向き合い方を分かり易く語る。失敗学の権威。現在「原発事故調査・検証委員会」委員長。今年頻繁に使われた「未曾有」「想定外」という言葉を解明。「人が忘れる」法則性の図は衝撃。3日で飽きる、3カ月で冷める、3年で忘れる。安全と技術成熟の研究成果。
<「失われた20年」「リーマンショック」「大震災」に立ち向かい、連続して利益出す企業>
(4)金川千尋『危機こそ、経営者は戦わなければならない』
(東洋経済新報社 2011年8月 本体1680円+税)
成功事例の好著。信越化学工業は、1996年3月期から2008年3月期まで13期連続で最高益を更新続けた。リーマンショック、東日本大震災は信越化学に甚大な影響を与えましたが、利益を出し続けました。金川会長が信越化学の経営内容を驚くほど率直に語って大変参考になります。
・参考エッセイ>>2011/11/14 危機と戦う信越化学の経営。「失われた20年」の間、13期連続最高益更新続けた国際企業
(5)永守重信・牛尾治朗「経営者の器が企業を決める」『致知』2011年10月号
(致知出版社 2011年9月1日発行 本体971円+税)
M&A成功事例。M&A成功の方法は多様ですが、買収した赤字会社を次々と再生する日本電産の要諦は興味深い。日本電産永守重信会長がウシオ電機牛尾治朗会長と紙上対談の中でその内容を述べています。リーマンショックも、売上半減しても赤字にならない仕組みで乗り切った。6Sは企業の原点。
・参考エッセイ>>2011/09/12 M&Aの時代。買収した赤字会社30社すべてを黒字化した日本電産の経営。
<アップル・アマゾン・グーグル等は「日本型」経営。「アメリカ型」経営への過信は古い。日本発実践経営で発展する>
(6)ウォルター・アイザックソン著、井口耕二訳『スティーブ・ジョブスⅠ・Ⅱ』
(講談社 2011年10月と11月初版 本体1900円+税)
既に100万部突破した人間スティーブ・ジョブスを知る絶好の書。取材嫌いのジョブス氏が唯一全面協力した「公認」評伝。欠点も含めた生き様を赤裸々に描写。彼は、日本が好きで京都苔寺を訪ね、SONYを尊敬。禅への尊敬も深い。文系と理系の交差点がイノベーションを創るという言葉が良い。
(7)野中郁次郎・遠藤功『日本企業にいま大切なこと』
(PHP新書 2011年9月 本体720円+税)
課長、部長、役員必携。輸入経営学過信を糺し、日本企業成功への号砲。世界的経営学者野中氏と『見える化』の著者遠藤氏が画期的共著。アップルやグーグルなど成功している世界企業は「アメリカ型」ではない。日本企業の価値観に世界が近づいてきた。目次見たら、新書ながら数十冊の内容。
・参考エッセイ>>2011/09/05 「今、日本企業、経営学にとって大切なこと~「災害復興、経済復興、日本再生」の新起点に立って
(8)遠藤功『経営戦略の教科書』
(光文社新書 2011年7月 本体760円+税)
早稲田大学ビジネススクールで学生満足度NO.1の白熱講義を公開した。MOT講義録。経営戦略は”生き物“。経営の実際をよく知っている。テーマ毎にケーススダデイ付き。経営戦略とは、「ゲームのルール」、グローバル競争戦略、「選択と集中」、戦略代替案、M&A経営戦略など18講義掲載。
・参考エッセイ>>2011/09/12 M&Aの時代。買収した赤字会社30社すべてを黒字化した日本電産の経営。
<ビジネスモデルは利益のエンジン>
(9)ジョン・マリンズ、ランディー・コミサー『プランB 破壊的イノベーションの戦略』
(文藝春秋2011年8月 本体1900円+税)
事業リーダー必読書。ビジネスモデル論の最新最良教材。最高のビジネスモデルへのプロセスと枠組み提供。ビジネスモデルは利益のドライバーであるがしっかりと理解していない方が多い。ランディー・コミサーは有名なVCクライナー・パーキンス社共同経営者に加えてスタンフォード大学人気教授。
・参考エッセイ>>2011/10/03 私も11月16日講義します。皆様の大事な方にお薦め下さい! 『BIP第4期事業リーダー実践塾』参加者募集中
(10)マーク・ジョンソン『ホワイトスペース戦略』
(阪急コミュニケーションズ 2011年4月 本体1900円+税)
事業リーダー必読書。ビジネスモデル・イノベーション(BI)の重要な構成要素(①顧客価値②利益方程式③業務プロセス④経営資源)を割り出し体系化。「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌マッキンゼン賞受賞論文。非凡な経営者のひらめきや運でなく、秩序だったプロセスを通じて実行できる。
・参考エッセイ>>2011/11/21 第1回開講 『企業業績を抜本的に変えるビジネスモデル創造の事例と理論』(BIP第4期事業リーダー実践塾)
<日銀・政府・マスメデアの論調任せでなく、デフレ・超円高・マイナス経済の真因と打開策を考える>
(11)竹中平蔵・冨山和彦『日本経済 今度こそオオカミはやってくる』
(PHP研究所 2011年9月 本体1400円+税)
若い人へのエール本! 経済と企業の王道に戻れば日本の夜明けは近いと語る。経済再生と企業再生の現実で結果を出した二人(元経済財政政策担当大臣、元産業再生機構COO)の対談。日本への嘆きや「がんばろう!日本」等情緒的議論でなく、現実を見つめた冷静な議論を展開している。
(12)戸堂康之『日本経済の底力』
(中公新書 2011年8月 本体740円+税)
若者よ、この本を手に世界をめざせ!「週刊ダイヤモンド」2011年『ベスト経済書』ランキング第4位。復興前の日本経済は停滞、震災復興と同時に経済成長が必要。日本の輸出産業はGNP15%前後と先進国で極めて低い。グローバル化の深化と地域産業集積創出で飛躍的成長ができると提案する。
(13)八代尚宏『新自由主義の復権』
(中公新書 2011年8月 本体800円+税)
「週刊ダイヤモンド」2011年の『ベスト経済書』第2位。経済学の常識である新自由主義ほど日本で批判される経済思想はない。その見方は正しいのだろうか?「小泉改革」や世界金融危機、さらに日本経済史を通じて、その誤解を解く。日本の長期停滞の真因と日本経済再生ビジョンを示す。
(14)岩田規久男『デフレと超円高』
(懇談社現代新書 2011年2月 本体740円+税)
デフレと超円高という根本課題を取り上げているので読んだ。「本書は、日銀の金融政策をどのように変えれば、デフレと超円高から脱却して、雇用も、財政も、年金も大きく改善できるかも明らかにしようとしたものである。」インフレ目標でデフレも円高も止められると述べる。日銀の責任は重い。
<30~40代の生き方が、60代以後のゴールデンエイジをつくる>
(15)外山滋比古『ライフワークの思想』
(ちくま文庫 2009年7月 本体588円+税)
いよいよ日本はライフワークの花を咲かせる時代。そのためには、忙しい30~40代をどう過ごすかが大切。「自分の生きがいとして、人生の豊かさにつながるところで、能力の備蓄、可能性のゆとりを持つことである。毎週末の、あるいは毎日の自由時間は・・ライフワークの花を咲かせるために使われるべきだ。」
・参考エッセイ>>2011/09/26 ライフワークから見た30~40代
(16)齋藤孝『最強の人生時間術』
(祥伝社新書 2011年9月 本体819円+税)
50代を迎えた齋藤教授が、ライフワークについて「新・四住期」を提案。人生には2つの山脈があると言います。30~40代の「一人前山脈」を築く為に、努力やパワーが必要です。TV出演では優しく語る齋藤教授が、「戦い」という激しい言葉を使って競争魂と能力を持てと叱咤激励してくれる。
・参考エッセイ>>2011/01/11 凡人1年の計。2011年『三喜計画(働く喜び、学ぶ喜び、遊ぶ喜び)』を作りませんか!
・参考エッセイ>>2011/09/26 ライフワークから見た30~40代
(17)リチャード・ワイズマン博士『運のいい人の法則』
(角川文庫 2011年11月 本体705円+税)
18歳以上の男女にお薦め。運はある、運は変えられるという本書に出合って嬉しくなりました。ロンドン大学教授が10年の科学的調査で解明した事実を読んでみませんか。運を鍛える四つの法則①チャンスを広げる②虫の知らせを聞き逃がさない③幸運を期待する④不運を運に変える。幸福のレッスン付。
・参考エッセイ>>2007/08/02 大先輩に学ぶ情熱の力
<感動を生み出す音楽家・美術家から学ぶもの>
(18)久石譲『感動をつくれますか?』
(角川OPENテーマ21 2006年8月 本体724円+税)
音楽に素人の私が、作曲家久石譲さんに興味を持った。『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』『おくりびと』など名曲を生み出し続けている。その究極の創作術という宣伝文句。感動とはどうつくるのだろうか?「感性の正体」も知りたいと思ったのです。作曲にもビジネスにも共通の姿勢があった。
(19)小松長生『リーダーシップは「第九に学べ」』
(日経プレミアシリーズ 2011年9月 本体850円+税)
昨年末、初めて生の「第九コンサート」を聴く機会があり、大変感動しました。今年の締めも「第九」と決めています。東京フィルハーモニー交響楽団等多くの交響楽団で指揮者をされ、金城学院大学教授の小松長生氏。指揮者は企業でいう「経営者」「管理職」だという。専門家を統合し感動創造する。
・参考エッセイ>>2011/12/19 2011年、「第九」に寄せる強い思い
(20)平野暁臣『岡本太郎の仕事論』
(日経プレミア新書 2011年11月 本体850円+税)
今年『生誕100年 岡本太郎展』を訪ねた。美術館鑑賞エッセイを書くようになって、美術の楽しみと同時に画家達の生き方に衝撃を受けた。例えば岡本太郎とゴッホである。「群れない、媚びない、ブレない」というスジを最後まで通し抜いた芸術家岡本太郎の生き方を更に知りたいと思った。
・参考エッセイ>>2011/04/11 生涯絶対に忘れられない『生誕100年 岡本太郎展』
・参考エッセイ>>2010/10/12 秋美遊② 画期的な『没後 120年 ゴッホ展-こうして私はゴッホになった』東京・福岡・名古屋で開催!
<実践的知的生産法、文章術のわかりやすい指南書)>
(21)内田和成『プロの知的生産術 BCG前日本代表が教える情報活用の秘訣』
(PHPビジネス新書 2011年12月 本体800円+税)
情報収集ではなく情報活用(アウトプット)に主眼を置いた方法論の書に注目。アウトプットとは、企画書提案、会議や会話での発言、面談での応対も含みます。背景は、情報収集(インフォメーション)が簡単になり、差がつかなくなり、提供する知的価値(インテリジェンス)が大事な時代に。
・参考エッセイ>>2009/01/19 夢を形に!Web3.0時代の2009年夢を考えた
(22)外山滋比古『文章力 かくチカラ』
(展望社 2010年11月 本体1500円+税)
18歳以上の男女必携。わかりやすく具体的な文章力本。文章は料理のように、読む人間のことを考えて書くべし。「文章は料理のように、おいしく、つまり、おもしろくなくては話にならない。」上達は必ずできる。「時間はいくら短くてもよい。かならず何か書いてみるようにきめる。決して休まない。」
・参考エッセイ>>2008/07/10 Web時代の言葉力を求めて。刺激をくれた池上・子駒・上原3氏の本
・参考エッセイ>>2009/05/11 言葉力を求めて-小椋桂『言葉ある風景』・齋藤孝『1分で大切なことを伝える技術』・松岡正剛『多読術』に出会う
(23)上阪 徹『文章は書く前に8割決まる』
(サンマーク出版 2011年9月 本体1400円+税)
有名なライターの一皮向ける文章論は必携。メールはもとより、ブログ、SNS当たり前の時代。ビジネスパーソンに文章力が求められる。実践文章論58のルール詳述。文章がうまいと言われる人たちが密かに心掛けていることを公開。事前の創造力=考える力を持つことが上達の王道だと述べます。
・参考エッセイ>>2010/07/05 BIエッセイ3周年。読者の皆様と一緒に自然・人間に寄り添い、楽しみ、学び続けたい!
・参考エッセイ>>2011/01/24 150回記念号――書くことで、「嬉しかったこと」「霧が晴れたこと」「仲間ができたこと」。
<世界目線、歴史目線で日本、米国、欧州、新興国の歴史を見つめ直す>
(24)猪瀬直樹『黒船の世紀』(上)(下)
(中公文庫 2011年6月 本体648円+税)
日本国難の真実を探る書。「本書はペリー艦隊の来航によって、日本人の根深い部分に植え付けられた「脅威」の正体を、日米未来戦記をキーワードに探ってみた作品です。」失われた20年余、日本・世界を改めて見直しが必要な段階で新たな視点をくれる良書。御厨貴教授との巻末特別対談が秀逸。
・参考エッセイ>>2011/01/04 2011年新春にあたり “新サムライ 複眼二刀流で 未来拓く”
(25)中西輝政『日本人が知らない世界と日本の見方』
(PHP研究所 2011年10月 本体1500円+税)
人気の京大中西輝政教授の国際政治学講義。国際政治学は「大人の学問」だという。難しい知識を持っているかどうかよりも、「人間」というものを肌身でわかって理解できるかが大切。露仏同盟が欧州近代を変えた発火点。「一超多強」の現代世界はどう変わるのか? 第6講は「日本文明が生き残るために」。
以上
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佐々木 昭美(ささき あきよし)
取締役会長 総合研究所所長
経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)
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