2013/07/01 第18回「経営戦略 シリーズ④(石黒啓司)■成長戦略と競争戦略」
経営戦略シリーズも第4回を迎えました。
今回は 今ホットな話題の『 成長戦略 』を基本に『競争戦略との違い』を加味した展開です。
今、何故『成長戦略』が注目されているのでしょうか。
そこには日本が謳歌してきた『高度成長期』がとっくに終わっているのに、その栄華を忘れ従来の経営から脱却できない落とし穴に気付いた日本経済・日本企業が垣間見えます。
『競争戦略』とは既存の業種・商品・サービスの中で如何に売上や利益を確保するかと言う言わば過去を引きずるビジネスと言えるでしょう。
それに対して『成長戦略』は新しいビジネス創造への挑戦、過当競争に陥らず創業者利益を得る経営スタイルを言います。
理解を深める為に、下記、競争戦略との比較チャートをご覧ください。
1枚のチャートで表し切れない面もありますが、概ねこのような比較が成り立ちます。
この比較表を元に成長戦略の特徴を述べると・・・
①過激な価格競争の市場で収益性の悪いビジネスを行なわず、
②自社の得意技術を活かした提案型・創造型の商品を開発して、
③成熟市場でなくこれから成長する新しい市場を創造して、
④流通業界に買い叩かれず、安売りされず、
⑤創業者利益を確保するビジネスで
⑥No.1 もしくはOnly 1を狙う ・・・と言うことになります。
言い方を変えれば、従来型の市場で消耗戦を闘うのではなく、新市場に土俵を変えてビジネスを行うように経営を変革させるとも言えるでしょう。
デジタル家電の普及で電子デバイスさえ手に入れれば中国でも韓国でも容易に商品を設計生産出来る時代が到来しています。
テレビ・ビデオ機器・パソコン・デジカメ・・・もうこれらは完全な成熟期を迎えており、日本企業が従来の延長で競争戦略を勝ち切れるとは思えません。
これ以外の様々なビジネスフィールドでも同じことが言えるでしょう。
正に今、日本企業に必要なのは得意技術を生かした新しいフィールドのビジネス創造です。
一定の商品(市場)にはライフサイクルがあることは以前にも述べました。
成長戦略の本質とは、このライフサイクルが成熟期・衰退期を迎えた収益性の悪い、過当競争の商品(市場)に固執せず、新しいビジネスに積極的に取り組む姿勢に他なりません。
その意味からも、ライフサイクルのチャートをじっくり眺めて、土俵を変える決断力を養って頂ければ幸いです。
石黒 啓司(いしぐろ けいじ)
コンサルタント(商品企画、マーケティング、仕事力改革)
今の日本、政治・経済の停滞の中、特に企業の元気がありません。構造変化への対応、新しい挑戦の欠如が原因と痛感しています。 これらの打開には先ず、戦略力、創造力・統率力などの仕事力が必須。至近な実例を元に仕事力&元気玉の復活を目指して発信します。
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