第26回「オリンピックメダル獲得の裏にある２つの要素とは？」

コラム「ミニ講座」

2016/08/25　第26回「オリンピックメダル獲得の裏にある２つの要素とは？」

つい先日、リオ・オリンピックが閉会しました。今大会では多くの日本人選手が活躍、たくさんの感動をもらうことができました。史上最多の41個のメダルを獲得しています。残念ながらメダル獲得はできなかったものの、懸命にファイト溢れるプレイをする選手の姿も感動的でした。

そうした活躍の裏には２つの要素があったと思います。１つは、もちろん、選手たちの凄まじい努力です。まさに肉体の極限に挑戦するような、血のにじむ練習を長年続けてきたからこそ、世界で戦えるトップアスリートになれたのだと思います。

もう1つの要因は、勝つための戦略戦術です。世界で戦ってメダルを獲得するためには、選手自身の強み・弱みを客観的に分析し、また、世界のライバルを研究して、どうしたら勝てるのか、どのように練習を進めていったらよいのかを徹底的に分析・検討していたと思います。根性論で闇雲に練習するだけで勝てるような甘い世界ではありません。

男子7人制ラグビーの日本チームは、優勝候補筆頭のニュージーランド（ＮＺ）に勝利、大番狂わせと世界を驚かせました。私もテレビで観ていて、最初のトライを奪ったものの、まさか勝てるとは思わなかったので、最後にＮＺの攻撃を止め、ノーサイドの笛が吹かれたときは、驚きました。試合終了後、選手たちは大喜びしていましたが、まぐれで勝ったわけではなく、勝つべくして勝ったと感じていたことが、選手のコメントからもわかります。

体格で劣る日本チームが、世界の強豪チームに勝つための戦い方、例えば、走り勝つこと、複数人で相手のプレイヤーを止めること、セットプレイでのサインプレイ、モールでのトライ等々の戦術が立てられていました。そして、そうした戦い方ができるようにするため、フィジカル、スピード、組織プレイの強化を重視した厳しい練習を積み重ねて、チームづくりを進めてきたわけです。ＮＺ戦に勝つために、ＮＺチームを研究し尽くしての秘策もあったのではないかと思います。

奇跡の勝利と言われていますが、日本チームは勝つための戦略・戦術を持ってチームづくりを行ない、試合に臨んでいるわけで、選手たちからすると、決して奇跡でも何でもなく、自分たちの努力と戦略・戦術が実を結んだということだったのです。

男子400mリレーの銀メダルにも本当に驚き、感動しました。ファイナリスト、9秒台の選手が一人もいない日本チームがメダルを獲得するためには、バトンリレーが鍵を握ります。世界の主流のオーバーハンドパスではなく、アンダーハンドパスを採用してきた日本チームは、今大会、そのアンダーハンドパスを、距離を稼げるように改良しています。また走順についても、第一走にスタートダッシュの得意な山県選手を、カーブを高速で回る走力が必要となる第三走に桐生選手を、そして代表経験の少ないケンブリッジ選手をバトンの受け手だけとなるアンカーに起用するといった戦術を立てました。バトンの受け渡しの位置も綿密に計算したそうです。

スポーツは遊びで行なうのであれば、楽しめればよいわけなので、綿密な分析や戦略戦術など無くともかまいません。しかし、トップを競うようなレベルのスポーツであれば、緻密な分析や戦略戦術が必要となってきます。根性だけで猛練習しても成果にはつながり難いのです。どうすれば勝てるのか、分析し、戦略戦術を立案する必要があります。さらにその戦略戦術に則ったプレイができように、トレーニングの計画をつくり、それを実行しながら、必要に応じて練習のやり方を変更していくというような、いわゆるＰＤＣＡを行なっていって結果を出すということが、トップアスリートの世界では当たり前のように行なわれています。

我々のビジネスの世界も、遊びで行なっているわけではありません。オーナー社長は社業に命を懸けているわけです。真剣勝負のビジネスですので、トップアスリートの世界を見習い、どうしたらビジネスの競争に勝っていけるのか、分析して戦略戦術を考え、経営計画に落とし込んでＰＤＣＡを回して結果を出していくことが重要となります。

経営者の皆さん、業績を伸ばすために、分析を徹底的に行い、戦略戦術を考え抜いていますか？
戦略戦術を経営計画に落とし込み、経営者を筆頭に、社員全員が必死になって計画を実行していますか？

以　上

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