第24回「会社経営の基本的な進め方は何か？」

コラム「ミニ講座」

2016/07/08　第24回「会社経営の基本的な進め方は何か？」

前回まで６回にわたり事業承継やM&Aについてお話をしてきましたので、今回からはテーマを変えて、企業の継続的成長に欠かせない経営の仕組み、その中でもとりわけ重要な予算の仕組みやそのマネジメントについてお話をしていきたいと思います。

皆さん、「経営はどのように進めていきますか？」と聞かれたら、何と答えますか？

もちろん色々な観点からの答えがあろうかと思いますが、私は経営の基本的進め方はＰＤＣＡだと考えます。いわゆるＰｌａｎ－Ｄｏ－Ｃｈｅｃｋ－Ａｃｔｉｏｎのサイクルです。計画を立て、それを実行し、その結果を確認・評価して、必要な改善を行なっていきます。

ＰＤＣＡは、会社経営だけでなく、仕事の進め方でもあります。「ＰＤＣＡなんて知っているよ。」と言われると思いますが、ＰＤＣＡを知っているからと言って、ＰＤＣＡをしっかり行なえているとは必ずしも言えません。“知っている”ことと、“できること”は違うのです。特に会社経営においては、ＰＤＣＡのレベルに大きな開きがあるようです。

プライベートな場面でも、何事か達成したいと思ったら、計画を立て、その計画を実行することで目標達成を目指すものです。

例えば、英検２級合格を目指すなら、合格レベルと現在の自分の英語力との差を見極めて、語彙力、文法力、ヒアリング力などを、どの教材を使って、いつまでにどのくらい勉強して、英語力を高めていくか、計画を立て実行し、試験に備えるはずです。計画を立てずに漫然と勉強していては、合格はおぼつかないでしょう。

会社経営を計画無しで、行き当たりばったり行なっていては、思うように会社を成長させることはできません。こうした経営のやり方を成り行き経営と言います。大切な会社の経営を、成り行き経営してしまうのは、絶対に避けるべきです。

金融機関からの融資を受ける条件として経営計画の提出を求められることは、皆さんご存知だと思いますが、それはなぜでしょうか？

計画の無い、成り行き経営の場合も、経営者は自社の業績を良くしたいと一生懸命に努力されているはずです。しかし、“一生懸命に頑張る”という姿勢では、金融機関は信用してくれません。

いくら「頑張る」と言われても、評価のしようがありませんし、経営計画を基軸にして経営を行なっていくのが経営の基本であると金融機関は認識していますので、成り行き経営を行なっている企業を信用して融資を行なうということはできないのです。

計画を持たすにガムシャラに頑張るという自己流の経営では、なかなか成果が出すことができません。

経営計画としては、中期経営計画（中計）と予算が重要です。成長している企業は、中計や予算をベースにＰＤＣＡのサイクルをきっちり回しながら、毎年予算達成に向け、事業を拡大し、計画的に会社を成長させています。現在の大企業は創業当時から中計や予算の仕組みを使って成長してきたのです。中計や予算は大企業のための仕組みではなく、中小企業を成長させる仕組みなのです。

もし中計や予算をつくっていない会社があれば、是非、つくってみてください。計画的に会社を成長させていくことが重要です。

また、「中計や予算をつくっても、全く実現できない。」という会社もあるかもしれません。実は中計や予算を形式的につくるだけでは、計画が実現できなくとも無理はないのです。

予算の達成ということで見ていくと、「この予算（数値目標）を達成するように！」と社員に発破をかけるだけでは、予算達成できなくとも無理はありません。社員の予算に対するコミットメント、予算達成の戦略的裏づけと行動計画、効果的な予算管理の仕組みがなければ、予算は絵に描いた餅です。

今回はＰＤＣＡの重要性を中心にお話をしました。次回からは、ＰＤＣＡの実効性を上げる方法として、“着実に業績向上を実現するための予算マネジメント”について説明をしていきます。楽しみにしていてください。