2015/07/01 第12回「ビジネス数字はなぜ重要か?」
このコラムでは今まで戦略に関する内容を中心にお伝えしてきました。この辺で少し観点を変えて、ビジネス数字について考えてみたいと思います。
ビジネス数字の代表的なものには、会計財務関連の数字が挙げられます。しかし、会計財務数字だけでなく、市場規模、マーケットシェア、顧客数、商品数、売上高の内訳など多くの種類のビジネス数字があります。このコラムでは事業に関連する数字を広く、ビジネス数字ととらえていきます。
さて、ビジネス数字は重要だと言われますが、なぜ重要なのでしょうか?
その理由として、ビジネスの活動が数字で捉えられるということがあります。典型的なビジネスのサイクルは次のようなものです。まず、元手の資金を使って商品を購入したり、生産します。その商品を販売して利益を獲得します。そしてまたその利益を資金として商品を購入・生産し、販売して利益を売るという形でサイクルを回していきます。つまり、ビジネス活動はお金(資金)と切っても切り離せない関係にあります。会計とは、まさにビジネスの活動を取引として捉え、全ての取引をお金という物差しで記録(記帳)していきます。そしてその記録を集計し、財務諸表という形で表します。財務諸表にはビジネス活動の結果が表現されていると言えます。また、マーケティングの世界でも、市場規模や自社の売上高やマーケットシェアなどの数字を通して事業を捉えていきます。
近年、スポーツの世界でも数字、データの分析が重視されています。プロ野球では、昔、野村監督のID野球が有名でした。IDとはImportant Dataの略です。データを駆使して勝利する野球というイメージです。特にヤクルトの監督時代に1995年、オリックスと日本シリーズで優勝を争ったときに、2年連続の首位打者のイチローをデータ分析で完全に押さえ込んだエピソードは有名です。これはアソボウズという会社のデータ解析システムを使ってイチローの弱点を徹底的に分析し、その結果をもとにイチローを討ち取っていったのです。
プロ野球界ではこれを契機にデータ野球が各球団に広まり、データ分析のレベルが格段に上がっています。最近では、バレーボールやサッカーでもデータ分析が行われるようになってきています。サッカーのテレビ放送を観ていると、チームのボール保持率や選手別のスプリント回数、走行距離などのデータが紹介されるようなってきています。実際には、パス成功率、ボールロスト率、シュート成功率、アシスト成功率などなど多種多様なデータ分析がなされており、そうしたデータが戦術に活かされています。
数字は客観的です。自社の事業活動の実態を正しく把握するためには、数字による客観的な分析が不可欠なのです。戦略立案のためには内部環境、外部環境の分析が必要となるとの話を以前のコラムでしたことがありますが、環境分析には数字を用いた客観的な分析が重要となります。ビジネス数字はビジネスの実態を正しく客観的に捉えるために、そして戦略を立案していく上でとても重要なものなのです。
以 上
大塚 直義(おおつか なおよし)
コンサルタント(経営戦略、事業計画、経営管理の仕組み、海外事業、M&A)
経営戦略、事業計画の作り方、経営管理の仕組み等、役立つ情報を事例を交えてご紹介していきます。
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