2015/05/12 第10回「経営計画を全社展開させるためには」
今まで経営計画のつくり方を中心にお話をしてきました。今回は経営計画書を完成させた後の実行について見ていきたいと思います。
中期経営計画書は、一般的には3年間の計画です。その初年度は年度予算として編成されます。中期経営計画書と年度予算が完成したら、それを全社に徹底させる必要があります。どのような方法で徹底させますか?
色々な方法がありますが、大事な経営計画書ですので、最初にやることとして社員全員を集めて説明会を開催することをお薦めします。会社規模が大きくて全員が一同に集まることができないのであれば、地域ごとに何回かに分けて行なうのも手です。何万人もの社員がいる大手企業では社員全員に対する説明会は無理ですが、中堅企業、中小企業では全社員に対して社長が直接説明をすることが可能です。実はこれが、大手企業には無い強みなのです。
是非、社長が自らの言葉で、これからの会社の目標、計画を全社員に対して説明してあげてください。そして、こういう会社にしたいという社長の想いを社員に語ってください。社長の熱い想いに社員が共感できれば、会社の組織力は格段に高まります。いくら素晴らしい経営計画をつくっても、実行するのは社員ですので、社員が会社の目標達成にやる気を起こさなくては大きな成果は期待できません。昔、戦国武将が戦うための「大義」を必要としたのは、まさにこれと同じです。社員が共感できる会社の夢、目標が必要なのです。中期経営計画の社内説明会は社員が計画目標の達成に向けてやる気を起こしてもらうための重要な最初のステップです。
営業が強い会社の場合は、この説明会は決起大会という位置づけになることが多いかと思います。説明会のやり方は会社の社風などにより、異なってくるでしょうが、大切な社内イベントなので工夫を凝らして効果的な説明会としてください。
中期経営計画の説明会がキックオフとなり、全社に戦略が展開されます。全社員を対象とする目標管理の仕組みも、中期経営計画書や予算と連動させることが重要です。
その後は、例えば月次会議などの会議体で、予算を中心に進捗をフォローしていきます。ただ、ここで注意しないといけないのは、予算の数字のフォローばかりに気をとられて、中期計画の戦略的打ち手の進捗フォローがおろそかになることです。目の前の数字だけでなく、未来のための打ち手を確実に打っていくことが大切です。従って、部門の評価にも、予算数字の達成度合いだけでなく、戦略的打ち手の実行度合いを反映させることが必要となります。また、社長が予算数字の必達を訴えることはもちろん大切ですが、数字を強調するだけでなく、その数字を実現することの意味、そしてその先にある目的について語っていくことも、社員がやる気を持って予算達成に向け頑張っていくためには重要なことなのです。
経営計画の実行段階では、社員が意欲的にその目標達成に向けて頑張っていけるか、そうした組織運営が勝負の鍵を握っています。
以 上
大塚 直義(おおつか なおよし)
コンサルタント(経営戦略、事業計画、経営管理の仕組み、海外事業、M&A)
経営戦略、事業計画の作り方、経営管理の仕組み等、役立つ情報を事例を交えてご紹介していきます。
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