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2014/12/15 第5回「善し悪しの判断をくだす」

【縦のコミュニケーションと横のコミュニケーション】
経営とは、経営する立場の上司(経営者であれ、管理者であれ)が経営によって統御される側の人々、つまり組織で働く人々の行動を、望ましい方向へと導いていく仕事である。その「動かしていく」ために行われる働きかけの重要な部分が上司から部下へのタテの方向での働きかけである。一方、組織の中で人々が自分たちなりに行動を決めようとしているときに考えるのは決してタテからの影響の要因だけではない。組織の他のメンバーの行動を彼らは互いに見ている。互いにコミュニケーションをしている。いわば、ヨコの相互作用も組織の中では常に起きている。そしてその相互作用のインパクトによって、人々の行動や努力、あるいはものごとの理解や心理的エネルギーも左右される部分がある。つまり組織のメンバー同士の間でヨコに情報的相互作用や心理的相互作用が起きている。しかも、その相互作用の結果、誰にとくに指示されるのでもなく、自然発生的に共通理解や心理的エネルギーが生まれてくることがしばしばある。しかし、そのヨコの相互作用とそこから共通理解や心理的エネルギーが生まれてくるプロセスは、決して単純に100%自然発生なのではなくて、そうしたプロセスが起きる土台あるいは土壌のかなりの部分は、経営者や管理者の働きかけの結果としてつくられる部分がかなりある。(伊丹敬之: 場の論理とマネジメント)
日本の経営者は、この「ヨコの相互作用」を重視し、人々の間の関係が受け入れやすい状況作りの場、例えば、フェイスツーフェイスのオフィス、キャフェテリアでの自由な空間、自由な雰囲気で語り合う早朝会議、などを導入している。


【CEOの人間関係の罠】
ところが、企業の現場をカネの流れと命令の流れを中心に見てしまうと、管理者、特に社長が発する言葉の重要性に本人が気づいていないことがある。
 Marshall Goldsmith がまとめた対人関係の行動にかかわる20の問題点がある。その一つの例として、CEOが会議に出て、ある問題について提案を求め、一人の提案に「それはすごいアイデアだ」と言う。そして別の部下の発言には「それはいいアイデアだ」と言う。だが三人目の部下の発言には何も言わない。最初の人はCEOに認められて喜び、勇気づけられるだろう。二人目はやや喜びが薄らぐ。三人目は勇気づけられもしなければ喜びもない。だが、二つのことは確かだ。第一に会議室にいた全員が、CEOが順位づけをしたことに気づく。第二にCEOが意図するところはよいとしても、部下の発言をコメントなしに受け入れるのではなく、順位づけする評価を加えたために、他の社員は発言を躊躇し、守りの体制に入ってしまう。(What Got You Here Won’t Get You There : Marshall Goldsmith with Mark Reiter 斉藤聖美=訳)
「感情の流れ」を重視した場で、他人に意見を求めた時に、「善し悪しの判断」を加えるのは適切でないことにCEOは気づいていない。人は批判されることを好まない。人が役に立とうと思って意見を述べたが、善し悪しの判断をくだされると人は二度と役に立とうとしなくなる。これらの問題点を気付かせ改善させるのがコーチングである。


thumbnail_yamagishi山岸 敏彦(やまぎし としひこ)

コンサルタント 顧問(Stakeholder Centered Coaching)

Stakeholder Centered Coachingライセンスを取得し、社長や経営者のコーチング活動をしています。社内外に絶対的な影響を与える経営者の良き相談相手です。
このコラムでは、Stakeholder Centered Coachingについてご紹介してきます。

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