2014/05/01 第23回「商品企画 シリーズ② (石黒啓司) ■商品企画の本質とは?・・・企業の行く末を照らす灯台」
前回、商品企画は、正に、経営戦略であると明言しました。
得てして、単に新商品を造り上げるのが商品企画だと思いがちですが、それ以前に戦略を
明確にする責務が商品企画には求められます。
①どのような理念でビジネスを展開するか
②競争戦略、成長戦略のどちらを取るか
③どの市場(B2B、B2C)、どの国、どの地域で展開するのか
④No.1を狙うのか、Only 1を狙うのか
⑤どんなベネフィットを社会に提供するのか
⑥自社の強みと弱みはどこにあるのか
ここに挙げたこと以外にも、まだまだ戦略的に俯瞰して方向性を明確にする点は多くあります。
それらをクリアにしてからこそ、初めて 【 商品創り 】 が始まるのです。
これは商品企画の本質をレクチャーする際に良く使うチャートです。
市場をあらゆる視点で分析し、時代や顧客の変化を把握、開発投資やR&I など、企業にとってどの道を選ぶべきか、方向性を示す灯台やサーチライトになること
の重要性を示したものです。
特に、個別設計や製造事業所を社内に持つべきか、アウトソーシングすべきか、
また既存市場で競争するのか、別市場へ走るのか、新たな市場を創造するのか
など広範囲な戦略を明確にしてから、初めて次のステップである、商品をどうするか
・・・に行きつく訳です。
商品企画・・・経営戦略・・・これは企業に依って考え方が大きく異なります。
ひとつの例としてSONY 対 松下 の経営戦略の差が取り沙汰された時期があり
ました。 当時は両社の違いが、大きな話題となったものです。
下記のチャートをご覧ください。
これはあくまでも過去の例です。 現在では大きく変化していますね。
デジタル家電の提案型企業だったSONYも、その後、次世代向けの先進商品提案
が出来ず、悩みが見えます。
むしろ、昔の SONY を彷彿させる成功企業は Apple と言えるでしょう。
そのAppleでさえスマートフォンで追い上げられています。
松下も同様に苦戦しながらも、事業を整理し、選択と集中で業績を回復しつつあります。
家電業界で言えば、競争戦略でアジア勢に対抗するのは無理があり、成長戦略での
先端技術開発や、新しい提案商品などで差異化するのが肝なのは言うまでもありません。
先を照らす、灯台や、サーチライトになること、 いきなり商品の機能・性能やデザイン
に入る前に商品戦略・経営戦略を考えること、 これが今回お伝えしたい、現在の企業にとって重要な商品企画の原形なのです。
石黒 啓司(いしぐろ けいじ)
コンサルタント(商品企画、マーケティング、仕事力改革)
今の日本、政治・経済の停滞の中、特に企業の元気がありません。構造変化への対応、新しい挑戦の欠如が原因と痛感しています。 これらの打開には先ず、戦略力、創造力・統率力などの仕事力が必須。至近な実例を元に仕事力&元気玉の復活を目指して発信します。
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