2019/07/11 「シリコンバレー ベンチャー事情」第1回 シリコンバレー訪問、まずはどこへ行くか
初めまして、BIPコンサルタントの安藤千春です。この5月からBIPのパートナーコンサルタントとして迎えていただきました。今月より、シリコンバレー発のコラムをお送りします。よろしくお願いいたします。
■自己紹介
私は日本で育ちましたが、米国に渡って在米30年となりました。現在はサンフランシスコ郊外(米国で言うとベイエリア、いわゆるシリコンバレー)を拠点とし、日米の企業間の提携をサポートするコンサルタントをしています。もとは証券会社で国際間のM&A、提携を扱った経験があり、現在の案件も米国ベンチャー企業と日本企業間の業務・資本提携のケースが多いです。
具体的には販売・生産提携、ライセンス、ベンチャー出資などのケース、及び、その前段階としての市場トレンド・相手候補先の探索・スクリーニングなどもあります。最近では特にフィンテック、人工知能(AI)、自動運転、クリーンテックに注力しています。
略歴:
●旧日本興業銀行サンフランシスコ支店にてベンチャー・ファンド投資担当
●大和證券ニューヨーク現地法人にてM&A、企業提携担当
●オンライン株式トレーディング・システム開発ベンチャー、ファイテック研究所の設立に参加
●米国CFA(Chartered Financial Analyst、米国証券アナリスト資格)
●東京外国語大学英米語学科卒、スタンフォード大学MBA。
初回は「シリコンバレー視察の際にまず訪問しやすい、シリコンバレーの歴史と今がわかる名所」をご案内します。
■シリコンバレー訪問、まずはどこへ行くか
「第三次シリコンバレー・ブーム」の入り口として
今、第三次シリコンバレーブームとも言われるようになって、テクノロジーの企業を中心に景気が良いこともあり、日本からもシリコンバレーへの出張、視察ツアー、駐在などがとても増えていて人気があるようです。確かに、シリコンバレーには米国のベンチャーのみでなく、世界中の技術をもとに、ベンチャー資金の獲得・ベンチャーエコシステムのなかでの会社の成長を目指した様々な企業が集まっており、トレンドの観察には良いかも知れません。
そのなかで、シリコンバレーはまずどこを見に行けばいいのかという質問があります。
シリコンバレーは特にそういった「見に行く場所」があるわけではないので、ここさえ行けばシリコンバレーが見える、というような場所はありませんが、確かに、とりあえずまず雰囲気を見てみたいというニーズもあるかなと思います。そういった時にまず行けばいい所としてどういうところがあるでしょうか。
例えば社内のイノベーションの活性化、若手社員の刺激のために「一度肌で感じてみたい」というような時、まずはともかく体験、というケースに便利なように、在米30年のベテランコンサルタントとして「入り口の初級編」からご用意してみました。
(1)歴史的名所編
もちろんシリコンバレーにどっぷりつかるとか、肌で感じるとか、地元の企業とのコラボするというにはかなり腰を据えるつもりでネットワーキングや勉強会に出る必要があるのですけれど、それは別として今回は「初級編」のその(1)、歴史的名所を挙げてみました。
HP (Hewlett-Packard) ガレージ
シリコンバレーのベンチャー企業はよく、「ガレージ(車庫)で始める」と言われますが、その草分けとも言えるシリコンバレー企業がHewlett-Packard(HP)。通称HPガレージと呼ばれ、シリコンバレーのちょうど真ん中辺にあるスタンフォード大学の近くにあります。共同創業者のDavid Packard氏がこの家に住み始めたのが1938年です。2007年に「シリコンバレー誕生の地」と指定されました。中へは入れず、通りから見るだけ。中の写真などはこちらのHP Museumサイトで見られます。
写真: HP Museumサイトより
場所: 367 Addison Ave, Palo Alto, CA 94301
スティーブ・ジョブスのガレージ
これもアップルが1976年に最初の小さいガレージで創業した場所。ジョブズが両親と住んでいた家でここでアップルの最初の50台のコンピューターが作られたとのことです。これも今や歴史的名所と言えるでしょう。スティーブ・ジョブスは非常にプライバシーを大事にしてあまりマスコミとか人が寄ってくるのを嫌ったので、静かな住宅地の簡素な一軒家に住んだとのことです。
場所: 2066 Crist Dr, Los Altos, CA 94024
コンピューターヒストリーミュージアム
もう少し本気でシリコンバレーの歴史をしっかり勉強して見て帰りたいと言う向きには、Mountain Viewのグーグル本社近くにあるComputer History Museumが是非おすすめです。私も1回行っただけなのですけれども、昔のトランジスタから始まってHPやIBM、アップコンピューターなどを経て、先に至るまでのコンピューターの歴史が非常によく整理されていて、ざーっと歴史を見るにはうってつけ。また、コンピューターオタクさんにはよだれモノの展示も多いのではないかと思います。
写真:Computer History Museumサイトより
ウェブサイト:https://www.computerhistory.org/
場所: 1401 N Shoreline Blvd, Mountain View, CA 94043
その他の「名所」も集めた英文記事「シリコンバレーの16の名所」はこちらをご参照ください。
安藤 千春(あんどう ちはる)
コンサルタント(日米企業提携・提携投資、米国ベンチャー企業発掘・調査)
シリコンバレー在住コンサルタントとして、現地ベンチャー企業の最新情報や 日本企業の提携・投資事例をご紹介していきます。