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新潟総合学園 事業創造大学院大学との共同研究のご報告1
学校法人 新潟総合学園 事業創造大学院大学とBIP株式会社は、「コーポレートベンチャリングによる新規事業開発ベストプラクティス」に関する共同研究契約を締結致しました。
コーポレートベンチャー投資を深く理解するため、2016年5月から11月にかけて、毎月事業投資研究会を開催し、共同研究を進めています。
本記事では、9月30日開催の第4回BIP事業投資研究会についてご報告します。
第4回の研究会では、元大阪ガスオープン・イノベーション室長、現株式会社ナインシグマ・ジャパン副社長の松本毅氏をお招きし、「オープンイノベーションで切り拓く新たな事業創造 大阪ガスの新事業事例とナインシグマが展開する『HOW TO DO』から『WHAT TO DO』のオープンイノベーション」と題して、大坂ガス時代にオープンイノベーション室を立ち上げ、数々の事業を成功させたご経験と、その成功の要素についてご講演いただきました。
松本氏の大阪ガス入社当時、大阪ガスでは大西社長の指揮の下、新規事業開発が盛んに行われていましたが、自社の技術がビジネス化できるまでに長い期間を要し、また小さなビジネスにまとまってしまうという課題がありました。松本氏は課題解決すべく、新規事業考案に苦心します。
・有益な技術を大きなビジネスに
LNG輸送の廃冷熱の再利用として、大阪ガスとホソカワミクロンとの共同開発で実現された冷凍粉砕機は、粉砕技術のトップを誇る技術でしたが、そのままではビジネスとしては小さいという課題がありました。
そこで大型ハイエンド機を自社導入して、受託粉砕加工ビジネスを企画、起業し、リキッドグループの粉砕センターを設立。保有技術の用途開発や、担い手メーカーの探索、ベンチャーへの技術移転により、酎ハイの果実の丸ごと粉砕、自動計量・自動充填梱包できるごま粉末、化粧品用の鳥の糞の粉砕、すっぽん丸ごと粉砕、ヘリウム精製装置開発、銭湯向け炭酸温泉発生装置等、多方面のニーズを満たす大きなビジネスへとつなげることに成功。
・MOT(技術経営)教育
イノベーションの成功確率を高めるためにはMOT(技術経営)が必要であるとの実感を得た松本氏は、MOTスクール設立に向けて活動開始。第一線で活躍する研究者・技術者のMOT能力を向上させ、技術をビジネスに活かし新事業を想像する人材の育成を目指し、MOTスクール事業を拡大。
・オープンイノベーション(ニーズ公開)への転換
その後再び大阪ガスの新規事業活性化に携わることになった松本氏は、社内で外部ネットワークの提供を試みるもうまく行かなかったため、逆に社内技術ニーズを外部に発信するインバウンドアプローチへの転換を遂行。これにより大阪ガスはオープンイノベーションへとパラダイムチェンジして行きます。
これらの豊富な経験からオープンイノベーションの仕組みを確立した松本氏は、様々な企業のオープンイノベーション支援を志して、ナインシグマ・ジャパンへと転職、現在副社長として精力的に活動されています。
研究成果を迅速に事業化するという課題解決のため、自社のみで課題を解決しようとするのではなく、技術ニーズの公開に踏み切り、他の組織と連携をしながら、グローバル競争に向かっていくという成功事例を多くご紹介いただきました。
オープンイノベーションの神髄は、「技術をつないで、従来のやり方では作れない新しいものを作ることである」と松本氏は言います。
貴重な研究成果を長年埋もれさせることなく、迅速にイノベーションへとつなげるために、従来の業界内相互補完型から、異分野を含めた創造を行うオープンイノベーション型への転換がいかに有効か、意識変革がいかに重要かということが、多くの成功事例を追うことにより、深く理解できました。
その後の質疑応答では、オープンイノベーションの評価指標をどのように考えればよいか、どういった形で共同開発企業を募集するのか、オープンイノベーション事業への国からの補助金の状況について、など活発な質疑が交わされました。
松本氏が目指すのは、研究者の意識が外向けに変わり、チャレンジする人が出てくるという流れが定着すること。
これからの時代は、世界中の技術を結び付けるオープンイノベーションが、多くの新たなビジネス創出機会を生む大きなカギとなると強く感じました。
学校法人 新潟総合学園 事業創造大学院大学とBIPは、研究会で得られた論理整理を実践手法へとつなげ、企業の新規事業開発の戦略について調査研究を進めてまいります。
本共同研究の成果は、共同研究後6ヶ月以内に共著論文にて公開することを予定しております。
>>学校法人新潟総合学園事業創造大学院大学との共同研究についてはこちらをご覧ください。
本件に関するお問い合わせ先:
BIP株式会社 担当 取締役 柳瀬俊一
TEL:03-5542-1417
E-Mail:info@bi-p.co.jp